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アメリカとロシアが核戦争をすると50億人以上が飢えて死ぬとの試算


ロシアがウクライナに侵攻してから、アメリカやヨーロッパなどの西側諸国とロシアの対立が再び激しくなっています。アメリカとロシアの間で核戦争が勃発した場合、紛争後の農作物生産量を推定すると50億人以上が飢餓で死亡するという予想を、ラトガース大学環境科学科のリリ・シャ助教授やアラン・ロボック特別教授らの研究チームが発表しました。

Global food insecurity and famine from reduced crop, marine fishery and livestock production due to climate disruption from nuclear war soot injection | Nature Food
https://dx.doi.org/10.1038/s43016-022-00573-0

Nuclear war would cause a global famine and kill billions, study finds
https://phys.org/news/2022-08-nuclear-war-global-famine-billions.html

シャ助教授とロボック特別教授は、核兵器の爆発によって土砂や煤(すす)がどれだけ大気中に入り込むかを調べるため、インド・パキスタン間の核戦争やアメリカ・ロシア間の核戦争など合計6つのシナリオを想定し、それぞれの国の核兵器の規模に応じた煤煙(ばいえん)の飛散量を計算しました。

この煤煙の飛散量は、国立大気研究センターが支援する機構予測ツール「Community Earth System Model(コミュニティ地球機構モデル)」に入力されました。そして、このコミュニティ地球機構モデルで、米や小麦、大豆、トウモロコシといった主要作物の各国における生産量、家畜の牧草地面積や海洋漁業の水揚げ量などの変化を予測しました。


もちろん大気中に煤煙が飛散すると太陽の日照量が減少し、作物の生産量にも大きな悪影響を及ぼします。主要作物の収穫量が減ると、ロシアやアメリカなどの中~高緯度の主要輸出国に大きな打撃を与え、各国は輸出を制限せざるを得なくなります。すると、アフリカや中東など、作物を輸入に依存している国は深刻な混乱を引き起こす可能性があります。

研究チームは、世界の作物収穫量が7%減少するだけでも観測史上最大の異常事態となり、6つの戦争シナリオのうち最大規模となるアメリカVSロシアのシナリオでは、2年以内に地球上に住む人類の75%以上、すなわち約58億人以上が飢餓に陥ると予想しています。研究チームによると、家畜の飼料にしている作物を人間に回したり、食料ロスを極力減らしたりしても、その効果は焼け石に水だったそうです。


シャ助教授は「今後の研究では作物モデルの粒度をさらに細かく見ていく予定です。例えば成層圏の加熱によってオゾン層が破壊され、地表に多くの紫外線が照射された場合の影響も加味する必要があります」と述べました。

ロボック特別教授は「核兵器がある限り、人類はそれを使うことができ、世界は何度も核戦争の危機に脅かされています。核兵器を禁止することが唯一の長期的な解決策です。国連の核兵器禁止条約は66カ国が批准していますが、核保有国9カ国は1つも批准していません。私たちの研究によれば、その9カ国が科学と世界の声に耳を傾けて、核兵器禁止条約に調印する時がついに来たのです」と語りました。

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in メモ,   , Posted by log1i_yk

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