無料で核戦争で生き残るためのスキルや道具の作り方が学べる書籍「Nuclear War Survival Skills」
2022年2月24日にロシアがウクライナへ侵攻してから、第三次世界大戦がいつ始まってもおかしくない状況となり、世界情勢は非常に緊迫したものとなっています。さらにロシアのプーチン大統領は核抑止部隊に特別態勢を取るよう命じたことを明らかにし、核兵器を使用する可能性を示唆したため、核戦争という最悪の事態も考えられます。そんな核戦争に備えるべく、1970年代の冷戦時代に研究された内容をまとめた1987年の書籍「Nuclear War Survival Skills(NWSS)」が公開されています。全編が英語で著されていますが、核戦争の中で生き残るために必要な知識や道具の作り方がまとめられており、無料で公開されています。
Nuclear War Survival Skills - nwss.pdf
(PDFファイル)http://oism.org/nwss/nwss.pdf
NWSSの著者は元アメリカ陸軍士官でオークリッジ国立研究所の民間防衛プロジェクトのメンバーだったクレッソン・カーニー氏。NWSSが執筆された1970年代当時はアメリカとロシアの冷戦真っただ中であり、世界が全面核戦争に巻き込まれる可能性が常にありました。さらに国家間の核戦争だけではなく、小型の核兵器を複数個用いたテロ攻撃
カーニー氏は「ヒトラーが最初にロンドンを爆撃した時、爆弾が引き起こしたパニックは、爆弾そのものよりもはるかに大きな被害をもたらしました。ロンドン市民は空爆に対する恐怖がなくなってようやく日常生活が送れるようになりました。核攻撃も同じことです」と述べ、核兵器による攻撃そのものよりも、核兵器や放射能に対する恐怖が引き起こすパニックを警戒するべきだとしています。
NWSSの本編は以下の18章で構成されています。
01:核兵器の危険性について~作り話と事実~
02:心理学的準備
03:警戒とコミュニケーション
04:避難
05:シェルターは最も重要
06:シェルターの換気と冷却
07:炎と一酸化炭素の対策
08:水
09:食糧
10:放射性降下物測定器
11:照明
12:シェルターの衛生と常備薬
13:医者がいない状態で生き残る
14:用途に沿ったシェルター用家具
15:即席の服と防護アイテム
16:転ばぬ先のつえ
17:軍民両用で長持ちする家庭用シェルター
18:太平洋を越えてやってくる放射性降下物
また序文には、「水爆の父」として知られ、映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」に登場するストレンジラブ博士のモデルにもなった物理学者のエドワード・テラーが寄稿しています。
さらにNWSSでは、核戦争に備えるためのシェルターや、カーニー氏がプロジェクトの中で開発した「カーニー式空気清浄機」「カーニー式放射性降下物測定器」の作り方が図入りが紹介されています。カーニー氏は「必要になる前に放射性降下物測定器の使い方を覚えておけば、不合理な恐怖をなくすことができますし、緊急時にパニックにならずにすみます。緊急時の行動がわかれば、自分の命だけでなく、周りの多くの人の命を救うことができるかもしれません」と述べています。
NWSSは電子書籍化もされており、Amazonで税込393円で購入可能。
Amazon.co.jp: Nuclear War Survival Skills: 2001 Edition (English Edition) 電子書籍: Kearny, Cresson, Teller, Edward: 洋書
以下はAmazon.comに寄せられたNWSSのレビューを一部抜粋したものです。
この本は、私が今まで見た中で、核戦争で生き残るための最も良い参考書です。内容は明確に書かれていて理解しやすく、詳しい図やダイアグラムで、シェルターや道具の作り方をわかりやすく教えてくれます。核戦争で生き残るための最前線にいた2人の人間が生涯にわたって得た経験です。FEMAが出しているくだらないものは忘れて、この本を手に入れましょう。この本には値段の何倍もの価値があります。この本がきっとあなたにとっての参考文献になることでしょう。
簡単に言えば、これは市民防衛のためのマニュアルです。核攻撃の前に何をすべきか、そして攻撃後の多くの危険(特に放射性降下物)をどのように回避するか。実はこの情報がアメリカで広く普及していないことにびっくりです。実際に一般市民の間では、「政府」が大災害に対処する計画を立てておかなければならないということだけが認識されていて、市民防衛についてはほとんど認知されていません。詳細な情報が満載で分厚い本書ですが、このマニュアルの中のわずかな情報でも、すぐ近くに核兵器が投下された後も生き残るために必要といえます。
この本は、核戦争について書きたい作家にとっても非常に役立つだろう、という他のレビュアーの意見に同意します。核攻撃の可能性がそれほど高くないと思っていても、あるいは自宅周辺が爆心地となって最初の爆発を生き延びられないとしても、「自分が何をすべきか」について興味深くかつ読みやすく説明していると思います。このマニュアルはオンラインで無料で見ることができますが、素敵な製本版は間違いなく20ドル(約2300円)の価値があると私は思っています。とても、とてもお薦めです。
なお、製本版もAmazonで購入可能ですが、記事作成時点では2万1481円と、かなりの値段がついています。
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