取材

新型コロナウイルスに海外から帰国したら感染していたので自宅療養していましたレポート


2019年末に発生してから世界中で感染拡大の勢いは止まることを知らず、日本国内でも感染者は増加の一途をたどっています。厚生労働省によると、記事作成時点で新型コロナウイルスの陽性者数はのべ979万人を超えており、BA.2株BA.5株などの変異株も登場しています。そんな中、イギリスに行ったらなんと新型コロナウイルスに感染してしまい、帰国後即自宅療養することになってしまったので、感染してから回復して自宅療養解除になるまでの経緯をまとめてみました。

◆出国前の準備
◆現地でPCR検査を受けてみた
◆イギリスでの新型コロナウイルス対応はこんな感じ
◆帰国、再度PCR検査を受けてみたら「陽性」
◆そして自宅療養解除へ

◆出国前の準備
出国前の時点で新型コロナウイルスワクチンは3回接種済み。なお、3回ともすべてファイザー製のワクチンでした。


記事作成時点で、日本人を含むすべての日本への入国者は入国時に、出国前72時間以内に受検した検査の陰性証明書が必要となります。日本の厚生労働省が認める陰性証明書を発行できる検査診療機関は大使館のHPなどにまとめられており、イギリスの場合は以下のページに掲載されています。

英国から日本へ入国・帰国時の留意事項 | 在英国日本国大使館
https://www.uk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00672.html

今回はConcepto Clinicを選択しました。

Same Day RT-PCR Travel Test in The UK | Concepto Clinic
https://conceptoclinic.co.uk/same-day-rt-pcr-travel-test/

上記ページにアクセスして、右の「RESULT SAME DAY*URGENT PCR TRAVEL TEST」の「Book Urgent Test Now!」を選択します。なお、検査は有料で、記事作成時点で79ポンド(約1万3000円)です。


Concepto Clinicはイギリス国内に12医院あり、今回はロンドン市内にある「LONDON WIMPOLE STREET」を選択。表示されるカレンダーから、受検したい月と日、時間を選択します。


名前・電話番号・メールアドレス・敬称・性別・生年月日・パスポートに記載されている名前・住所・郵便番号・国籍・イギリスを出国する予定日時・帰国先・過去の新型コロナウイルス感染歴を記入。そして、新型コロナウイルスワクチン接種の有無とページの見つけ方を回答し、チェックボックス2つにチェックを入れて、「Pay Now」をクリック。


クレジットカード情報と郵便番号を入力して、「Pay&Confirm」をクリック。


支払いに成功したら、申込み終了。登録したメールアドレスに予約受付完了メールが届きます。


◆現地でPCR検査を受けてみた
そして検査当日に、検査診療機関であるConcepto Clinicにやってきました。住所は「75 Wimpole St, London W1G 9RS」です。


スマートフォンの地図を見ながらたどり着いたのが以下。日本と違い、外から見て医院であるかどうかはわかりません。イギリスには国民健康サービス(NHS)という国民健康保険制度がありますが、「General Practitioner(GP)」と呼ばれるかかりつけ医制があります。日本では病気になるといきなり大学病院や専門病院に行くこともできますが、イギリスではまず自分のGPの診療を受けなくてはならない決まり。その代わり、イギリスは国民が通うべき診療所がすべて決まっているので、診療所が看板をかかげて宣伝する意味が日本より薄く、外からは診療所であるかがかなりわかりづらいケースも多くあるそうです。


入口横の呼び鈴を押すと、入口のロックが解除されました。


入口から入ってすぐはこんな感じ。


Concepto Clinic以外にも診療所が同じ建物に入っており、建物内ではマスクをつけるように指示されていました。


Concepto Clinicは2階。なお、イギリスでは地上階が「Ground Floor」となり、その上の階が「First Floor(1階)」と数えます。つまり、イギリスでの2階は、日本でいうところの3階に当たります。


エレベーターに乗って2階へ。


2階に着いたら左へ向かうと、Concepto Clinicがあります。


そんなわけで、Concepto Clinicに到着。受付で予約受付完了メールと自身のパスポートを見せれば、PCR検査を受けることができます。


検査結果はおよそ半日で出て、登録したメールアドレスに送られてきます。結果は「Negative(陰性)」でした。


ただし、帰国に必要な陰性証明書は厚生労働省が推奨する検査証明フォームがあります。検査結果を送ったメールに陰性証明書のテンプレートとなるPDFファイルを添付し、「Could you please send me the certificate for Japanese government lile I attached?(日本政府発行の証明書を添付しますので、送っていただけますか?)」と返信したところ、以下の通りに陰性証明書が送られてきました。


厚生労働省の推奨する検査証明フォームは、以下からダウンロード可能。

COVID-19 に関する検査証明
(PDFファイル)https://www.mhlw.go.jp/content/000799426.pdf

◆イギリスでの新型コロナウイルス対応はこんな感じ
イギリス政府によると、イギリスの新型コロナウイルス感染者数は2022年1月にピークを迎えていましたが、感染者数は減少傾向にありました。また、ワクチン接種率は2022年7月時点で約80%まで進んでいます。感染者減を受けて、ジョンソン首相は屋内公共施設でのマスク着用義務の撤廃を宣言しました。

ロンドンのウエストランドに並ぶミュージカル劇場には、マスクを着用するように促す注意書きが貼られていました。


また、街中にある児童公園にもソーシャルディスタンスの維持と手洗いを促す注意書きが貼られています。


しかし、公共機関では引き続きマスクの着用が義務付けられているにもかかわらず、実際は地下鉄の中でマスクをつけている人はほとんどいない状態。


リバプール・ストリート駅前でも、マスクをつけている人を探す方が難しい状態。


ロンドン滞在時、ロンドンでちょうど大規模なプライド・パレードPride in London 2022」が開催されており、ロンドン市内のパレードが通る場所はどこもかしこも密の状態。そして、ここでもほとんどの人がマスクを着用しておらず、ほとんどの人がマスクをつけている日本とのギャップを強く感じました。


出国手続き中のヒースロー空港の様子。ヒースロー空港は新型コロナウイルス流行の影響で需要が激減したことを受けて人員を大きく削減した影響で人員不足に陥っており、機能が少しマヒしている状態。出国待ちの人が長蛇の列を作っていましたが、並ぶ人のほとんどがマスクをつけていません。


◆帰国、再度PCR検査を受けてみたら……
そんなわけで現地で得た陰性証明書を抱えて、予定通り帰路に着きました。


空港に到着。厚生労働省の質問票My SOS Webと陰性証明書を提示して、検疫を通過すれば、日本に入国できます。これで無事帰国できるはずでした。しかし、帰国直後に「同行者がPCR検査で陽性と診断された」という一報が飛び込んできて、事態は急変。

濃厚接触者となったため、その場で急いでPCR検査を受けた上で、自宅で待機することとなりました。

自宅等で待機が必要な方に守っていただきたいこと|水際対策|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00263.html

また、PCR検査は結果が出るまで少し時間が必要なので、自治体が定める診療・検査医療機関で抗原抗体検査を受けることにしました。なお、診療・検査医療機関は各自治体のHPにまとめられており、大阪府の場合は以下のページで確認できます。

大阪府/診療・検査医療機関について
https://www.pref.osaka.lg.jp/iryo/osakakansensho/sinryokensa.html

診療所に連絡して予約を行い、抗原抗体検査を受けたところ、なんと陽性判定。この時点で自覚症状はなく、「いわれてみると、わずかに喉がイガイガするかも?」といったところ。この時点で診療所から保健所に発生届を出してもらいました。


自宅に戻って次の日にPCR検査結果が届きました。結果はもちろん陽性。


これで新型コロナウイルスに感染したことが完全に確定。発症日は7月5日で、ここから最低でも10日間は自宅療養となり、外に出ることができません。家から出られないということはすなわち生き延びるための食糧を買いに行くことができないので、死活問題。Amazonがスーパーの宅配をしてくれるサービスを利用して、置き配で食べ物を買い込みました。他にも置き配に対応したフードデリバリーサービスが新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに普及していることもあり、自宅療養中に飢えてしまうことはなさそうです。今回は症状が軽かったので自分で用意できましたが、高熱が出て動くのも大変だという場合は、乾麺や多少の調理が必要なものよりも、冷凍食品やパックの総菜など調理の手間をほとんど必要としないものを買いだめておくのがお勧め。


新型コロナウイルス感染症の発生届が自身の携帯電話番号と共に登録されたことで、自治体の保健所から携帯電話に確認の電話がかかってきました。詳しい病状や感染が疑われる状況について尋ねられたので、「今から考えると、帰国直後にわずかに喉がイガイガした」と回答。

携帯電話宛にSMSでMy HER-SYS(新型コロナ健康状態入力フォーム)のURLが届きました。HER-SYSは厚生労働省が運営する新型コロナウイルス感染者向けの健康情報管理支援システムで、新型コロナウイルス感染者の体温や酸素飽和度などの健康状態を医療関係者や国・自治体の衛生当局者が管理できるデータベースにする仕組み。一緒に送られてきたHER-SYS IDをコピーして、URLにアクセスします。


My HER-SYSはブラウザからアクセスできます。「新規登録」をタップ。


メールアドレスを入力して、送信されてきた確認コード、使用するパスワードを入力したら「作成」をタップします。


名前と生年月日を入力し、コピーしたHER-SYS IDをペーストして「入力内容を確認する」をタップして、ユーザー登録を完了します。


登録が完了したらトップに戻り、登録したメールアドレスとパスワードを入力して「ログイン」をタップ。


My HER-SYSでは、毎日の健康状態を入力して管理することができます。「現在の健康状態を入力する」をタップ。


体温と酸素飽和度のほか、顔色や咳(せき)、息苦しさなどの自覚症状の有無を登録できます。


なお、帰国して次の日の健康状態が以下。帰国時は自覚症状はほぼなかったのですが、次の日に微熱が出たほか、咳が出て喉の痛みと頭痛があり、やや体がだるいかもといったところ。ただし、日常生活を送ることは十分可能な体力はあり、味覚障害や嗅覚障害もなく、酸素飽和度は95%とわずかに低くなっていますが、息苦しさは特に感じられませんでした。


基本的に1日1回体温と酸素飽和度を測定し、My HER-SYSに登録していました。1週間分の体温の推移はこんな感じ。自宅療養3日目にはすでに体温が36度台に下がり、平熱で安定しています。


体温は、自宅療養5日目にはもう36度4分という平熱といっていいラインまで下がりました。喉の痛みも3日目にはほぼ引き、けん怠感もなくなり、まれに咳込むことがあるといったところ。それでも自宅から一歩も出ることはできません。リモートワークで仕事は十分可能なのですが、むしろ気晴らしに散歩に出たりコンビニへ買い物に行ったりという行動が封じられてしまうのがやや辛いところ。普段の休日は一歩も外に出ずにゲームをしたり映画を見たりということも多いのですが、「一歩も外に出られない」と意識すると逆に「外に出たい」という気持ちが強くなりました。


さらに、発生届が提出されてすぐに厚生労働省から新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」への陽性者登録を促すメールも届きました。陽性者登録に必要な処理番号は、厚生労働省からのメールに記載されています。


COCOAを起動し、「陽性情報の登録」をタップ。


「同意して陽性登録する」をタップします。


自覚症状の有無について尋ねられるので「ある」を選択し、処理番号を入力したら、「登録する」をタップします。これで陽性登録されるので、帰国してから自宅に帰るまでの間に自分と濃厚接触が疑われる人のスマートフォンで接触通知が行われるはず。


◆そして自宅療養解除へ
感染日とされる7月5日から1週間が経過した7月12日に、自治体の保健所から「症状軽快したまま72時間経過すれば、7月15日で療養解除となります」というメールが届きました。


7月13日時点で体温を測ると35度9分でした。自覚症状は咳がたまに出る程度で、心配だった味覚障害や嗅覚障害もなし。


新型コロナウイルスに感染した場合の自宅療養期間は「発症日から最低10日間」と定められており、抗原定性検査は義務づけられていません。今回は念のためにあらかじめかかりつけの診療所で予約し受検したところ、療養解除予定日の前日である7月14日時点で陰性と判断されたため、7月15日で晴れて自宅療養は終了。


今回、新型コロナウイルスに感染はしてしまったものの、症状は微熱・咳・喉の痛みで終わり、高熱にうなされたり呼吸困難に陥ったり、味覚障害などの症状に悩まされることはありませんでした。新型コロナウイルスワクチンを接種することで重症化リスクを抑えられていたものの、結局どれだけの症状を発症するのかは体質によるので、かなり幸運だったといえます。HER-SYSで自宅療養中の健康状態をアップデートすることで、自治体や厚生労働省の対応がスムーズだったのもありがたく感じました。

発症から自宅療養まで詰まったところがなかったのは、かかりつけの診療所がたまたま自治体が推奨する検査医療機関だったからというのもあったので、将来的に感染した場合に備えておきたい人は、自宅から最も近い検査医療機関がどこなのかを把握しておくべき。また、インターネットさえあれば、置き配による食料品・飲料品の購入が可能ですが、「自宅療養で10日間も外に出られない」という状況自体が精神的に辛い部分があったので、映像ストリーミングサービスや音楽配信サービスなど、多様的な娯楽にアクセスできる環境がかなり重要だと感じました。

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in 取材, Posted by log1i_yk

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