メモ

イギリス貴族の結婚市場の変化が公共政策に影響を与えたという指摘


伝統的に、イギリス貴族には独身女性をマッチングするための場が存在していましたが、場が提供されない時期があったことで市場に変化が発生し、最終的には公共政策にすら影響が出たという論文が発表されました。

Assortative Matching at the Top of the Distribution: Evidence from the World's Most Exclusive Marriage Market - American Economic Association
https://doi.org/10.1257/app.20180463


What happened when the rich stopped intermarrying
https://www.axios.com/2022/07/02/what-happened-when-the-rich-stopped-intermarrying

この研究はノルウェー・ベルゲン大学の経済学者Marc Goñi氏が発表したもので、「American Economic Journal: Applied Economics」の2022年第14号に掲載されました。


Goñi氏は、イギリスの貴族の結婚に関する新たなデータを用いて、探索コストの低さと結婚市場の隔たりが選別につながることを見いだしました。

Goñi氏によると、19世紀のイギリス貴族には、独身女性を貴族の子弟とマッチングする「ロンドン・シーズン」と呼ばれる仕組みがあったとのこと。1860年ごろが「ロンドン・シーズン」のピークで、この時期のイギリス貴族は「最も排他的だった」と考えられています。「ロンドン・シーズン」の招待状が届くのは高い社会的地位にある貴族のみで、さらに高額な参加費用が必要で、生まれつき豊かな貴族の子弟でなければ参加できなかったためです。

しかし1861年12月、ヴィクトリア女王の夫・アルバートが亡くなります。ヴィクトリア女王が喪に服したため、1861年から1863年の「ロンドン・シーズン」は中止となり、貴族の娘たちは貴族の子弟に出会えず、「ロンドン・シーズン」に参加できないぐらいの貴族や平民と結婚しました。Goñi氏の調べでは、平民との婚姻が40%増加し、富による選別は30%減少したとのこと。

この種の結婚は女性の兄弟や父親にも影響を与え、兄弟が議員になる割合が50%減少しました。地元貴族が議員から外れた選挙区では、1870年代に法制化された公教育の導入が潤滑に進むようになったとのこと。

なお。ニュースサイトのAxiosによると、最低料金1万5000ポンド(約250万円)で「適切な人と適切な人に引きつけるコネクションとネットワーク」を売りにして、「ロンドン・シーズン」的なものを再現しようとしているマッチメーカーは現存しているそうです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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