「ミツバチは魚である」という判決が下る
カリフォルニアの環境団体がミツバチの一種であるマルハナバチの保護を州に訴えた件について、カリフォルニア州控訴裁判所はマルハナバチがカリフォルニア州法の下で絶滅の危機に瀕した「魚」であると認め、保護される資格があるという判決を下したと報じられています。
Bees are ‘fish’ under Calif. Endangered Species Act – state court | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/bees-are-fish-under-calif-endangered-species-act-state-court-2022-06-01/
Bees Are Fish, California Court Rules
https://www.vice.com/en/article/5dgnn8/bees-are-fish-california-court-rules
今回の裁判は、カリフォルニア州にある複数の環境団体が、カリフォルニア州絶滅危惧種保護法(CESA)のもとでマルハナバチを保護対象とするべきと訴えたもの。カリフォルニア州の野生生物保護機関であるカリフォルニア州漁業狩猟委員会によると、ミツバチは年々個体数を減らしており、一部の種は絶滅の危機にひんしているとのこと。すでに複数の野生動物保護団体が2018年の時点で、4種のマルハナバチをカリフォルニア州の絶滅危惧種リストに登録するべきだと陳情しています。
一方で、Almond Alliance of California、California Farm Bureau Federationなどの農業団体は「CESAは昆虫を保護していない」と述べ、マルハナバチの絶滅危惧種リストへの登録に反対していました。マルハナバチの個体数減少には農薬散布の影響が指摘されており、マルハナバチが絶滅危惧種リストに登録されると農薬の使用が困難になるというのが、各農業団体の反対理由の1つです。
農業団体の指摘通り、CESAで保護対象として明示されているのは「鳥、哺乳類、魚、両生類、ハ虫類、植物」のみで、昆虫は保護対象となっていませんでした。CESAの中では「魚」とは何かが定義されていませんが、CESAの上位にあるカリフォルニア州漁業狩猟法では、「『魚』には軟体生物、甲殻類、無脊椎動物が含まれる」と定義されており、裁判ではこの「魚」にマルハナバチが含まれるかどうかが争点となりました。
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