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デジタル情報を整理するための完璧なシステム「PARAメソッド」とは?


仕事や趣味の資料・タスクなどさまざまなデジタル情報を扱う人は、どのアプリでどのプロジェクトを管理し、どのフォルダ内の資料が何に用いるものなのか、また今はどれくらいの進行度合で何を目標としているのか、整理に苦労した経験も多いはず。そんなデジタルプロジェクトを整理するために、テクノロジーを使用して労働者の生産性が向上することを目標に掲げるForteLabsが提唱した方法論が「PARAメソッド」です。

The PARA Method: A Universal System for Organizing Digital Information - Forte Labs
https://fortelabs.co/blog/para/


ForteLabsの創設者である生産性に関する専門家のティアゴ・フォルテ氏は、「人間中心の仕事の未来」を掲げてテクノロジーで知的労働者の生産性を向上したり、アイデア管理スキルを取得したりするための講座を世界中に届けています。そんなフォルテ氏が「作業をサポート・強化し、情報をどこに置くか、そして必要なときにどこでそれを見つけるかを正確に教えてくれる完璧な組織システム」の要件として挙げているのが、「普遍的で網羅された情報」「柔軟性」「シンプルで手間や再整理が不要」「実用的」「あらゆるアプリで適用可能」「結果指向」「ニーズに応じて詳細を選択できるモジュール式」「新規に導入するのではなく実行中の作業へ負担なく利用できる」という8点。

この8つの要件を全て満たす、デジタル情報を整理するためのシステムとしてフォルテ氏が開発したのが「PARAメソッド」です。PARAとは「P(プロジェクト)」、「A(エリア)」、「R(リソース)」、「A(アーカイブ)」の頭文字を取った略で、仕事や生活で直面する可能性のあるあらゆる種類の情報を網羅したトップレベルカテゴリになっているとのこと。

PARAのうち「プロジェクト」とは、「期限付きの、目標にリンクされた一連のタスク」を指します。タスクの内容は制限なく、大規模なプロジェクトからブログの執筆、会議の参加なども含まれます。


「エリア」とは「責任のある領域」を指し、「長期にわたって維持されるべき基準を備えた活動の領域」のこと。フォルテ氏はこの例として、製品開発やネット上の描き込み、個人の健康や財政管理、友だちとの関係を挙げています。


「リソース」は「継続的に関心のあるトピックまたはテーマ」を指し、習慣となった日常の行動や趣味、仕事上のルーティンとして行うチェックや管理のこと。


「アーカイブ」は他の3つのカテゴリに含まれない「その他」。期限が終わった・完了したプロジェクトや、維持する努力が必要なくなった領域、興味がなくなったリソースが該当します。


この「PARA」の要素をそれぞれどのように扱うのか、フォルテ氏が図を使って解説しています。私たちは普段、「責任のある領域(エリア)」のタスクを完了するために日々を過ごします。これは仕事でも日常でも同様で、健康維持のために食事を取ることなども含みます。この「責任のある領域」の中では各タスクが自然にグループ化され、どのグループに取り掛かるかを選択していきます。


たとえば「責任のある領域」の中の「製品開発(Product Development)」グループのプロジェクト「製品Xの発売」には、さらに細かいタスクとして「ブログを投稿するための下書き作成」があります。これは、他の「財務報告」「採用/人員配置」「ビジネス戦略」という自身が担当すべきグループのうちの1つにすぎません。このように、今自分が行っているタスクがどのような領域に属しており、全体像がどんな感じで現在はどこに位置しているのか、ということを把握することが大事だとフォルテ氏は述べています。


またフォルテ氏は、「プロジェクト」と「責任のある領域」を混同して考えてしまう人が多く、それが個人の生産性に根深い問題を与えていると指摘しています。「プロジェクト」には達成すべき目標があり、また期限や日時の設定があることが重要で、対照的に「責任のある領域」にあるのは目標ではなく「維持すべき基準」であり、無期限に継続するため常に一定レベルの注意が必要になるとのこと。大まかな「責任のある領域」と個別の「プロジェクト」を分割しないと、個人の作業負担がどれくらいで何を改善すべきか具体的に見えてこなかったり、個別のプロジェクトが達成していくことによるやりがいを感じられず常に継続する責任領域に悩んでしまったり、個別の進行度が見えにくくなったりと問題が発生します。


明確なプロジェクトリストを作成するためには、プロジェクトリストと目標リストを並べ、対応するプロジェクトと目標に線を引きます。ここでは対応する相手が存在しないプロジェクト・目標がしばしば発生します。対応する目標のないプロジェクトはただ楽しみのために行っている「趣味」であり、対応するプロジェクトのない目標は「夢」でしかなく何の進歩も達成できません。趣味や夢には何の問題もありませんが、それをプロジェクトや目標と混同することは問題であり、何を進めるべきで何が重要かを明確にするプロセスとして「プロジェクト」と「責任のある領域」のイメージが重要になるとフォルテ氏は説明しています。


プロジェクトのリストを作成する際には、複数のアプリやサービスをまたいで作業する際に「プログラム間の移行がシームレスになるように、スペルや句読点、大文字小文字をまったく同じにして命名する」こと、過剰な階層構造で複雑化しないように「タスクや資料を追跡するための階層は4つ程度に収める」こと、実行可能な情報と不可能な情報を区別し「必要な情報のみ使用し他の情報は保存しておく」ことが重要だとフォルテ氏は説いています。これらを実行するためにもタスクの全容を把握し分類する「PARAメソッド」が役立つとのこと。

次にフォルテ氏は、PARAメソッドの操作マニュアルを解説しています。フォルテ氏はPARAの特徴が「動的なシステム」にあると述べ、4つのカテゴリの間で絶えず進化する情報の流れを引き出すことが重要になると強調しています。


例えばプロジェクトが始点となるケースでは、期限付きのプロジェクトが長期継続的な責任領域に転じることがあり、またプロジェクトで実行・検討されたあらゆる「中間作業」は今後の他のプロジェクトに役立つリソースとなり得るものです。そしてプロジェクト全体を後から参照するためにアーカイブしておくように、単一の案件が異なる4つのカテゴリを流れる運用が考えられます。これは責任領域・リソース・アーカイブからスタートする場合も同様となり、この「再編成」を必要に応じて行っていくことが大事になります。


最後にフォルテ氏は、いくつかの注意点を挙げています。まず、まだ具体的な中身が存在していない段階で、プロジェクト・責任領域・リソース・アーカイブの空のフォルダを作成するのはワークスペースを乱雑にするだけであり、実際に何かを入れる場合にのみドライブやタスク管理にフォルダーを作成するべきという点。ただ例外として、スマートフォンで多くの情報を獲得していくような場合、PCと違ってフォルダを作成していくのが難しいため、予めノートブックないしフォルダーを作成してそこにキャプチャを配置していく、というようなケースは有用とのこと。

また、なぜ責任領域を細かく分割するのかという点について、ただ「個人」「仕事」と分けるだけでは、「何が足りないか」「どこに変更を加えるべきか」が特定しにくくなるとフォルテ氏は述べています。フォルテ氏は特定の分野で何かを達成・向上することを目指す場合、自身の責任領域を主に22個に分けることで、より客観的に各領域を評価してそれにあったプロジェクトを作成しやすくなっているそうです。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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