科学に裏打ちされた「運動したくないときにモチベを高める方法」10選
「運動で大事なのは日々の積み重ね」といったフレーズを耳にタコができるほど言われても、「今日はいいや……」という気分の日もあります。そんな日にモチベーションを高める10種の方法について、南オーストラリア大学でウェアラブルデバイスを使った健康改善法について取り組むキャロル・マーハー氏らが解説しています。
How do I improve my motivation to exercise when I really hate it? 10 science-backed tips
https://theconversation.com/how-do-i-improve-my-motivation-to-exercise-when-i-really-hate-it-10-science-backed-tips-179761
モチベーションを高める具体的な方法に入る前に、マーハー氏らは運動に関するモチベーションを考える上で最初に考慮すべきは「人類は運動するように進化していない」という点だと説明します。マーハー氏らによると、人類の歴史は食べ物不足の歴史と言っても過言ではなく、我々人間は何千年もの間にわたって「食べ物を探すために移動し、食事を終えたら次の食べ物が得られる方向がわかるまで休息してエネルギーを節約する」という行為を続けてきました。人間にとって「運動自体を目的として活動する」というのは近代に入って初めて出現した選択肢なので、「ジムに行くよりNetflixでも見ていたいな」と考えてしまったとしても、自分の体がごく自然な欲求に従っているだけなので、まずは安心するべきだとマーハー氏らは語ります。
とはいえ、車などの移動手段の発達やテクノロジーの普及によって、日常生活の中で運動する機会は減り続けた結果、「運動を怠ると大腸がんのリスクが30~40%、乳がんのリスクが30%、2型糖尿病のリスクが20~60%、早死にするリスクが30~50%高くなる」という研究結果も登場しているため、これから先の人類にとっては運動はやっぱり大切なわけです。健康を保つために必要な運動量について、マーハー氏らは、「早歩きやサイクリングなどの強度が中程度の有酸素運動ならば毎週合計150~300分、ジョギングなどの強度が高い有酸素運動ならば毎週合計75~150分。これに加えてウェイトリフティングや腕立て伏せの筋トレもやるべき」と主張します。
しかし体力的にも時間的にもつらい生活を送っている現代人には、上述の運動量はちょっとキツめ。そんな現代人のために、マーハー氏らは科学に基づく「運動のモチベーションを高める方法」を解説しています。それが以下。
◆1:何のために運動するかを考える
「健康のために運動する」「子どものために運動する」など、何のために運動するのかを明確にすることでモチベーションが高まり、行動を起こす意欲が湧くという研究結果が存在します。
◆2:友達を誘う
「○○時集合」という風に時間を決めて運動の約束をすると、友達をガッカリさせないように運動に出る可能性が高まります。他人と一緒に運動するメリットは、そのほかにも「友達や家族と運動すると、1人で運動するよりも運動時間が長くなる」という研究結果が報告されています。
◆3:自分へのご褒美を設定する
2016年の研究では、金銭的なインセンティブが運動のモチベーションを改善することが示されているため、「一定量の運動を達成できたら、欲しかったスポーツウェアやスポーツシューズを買う」というご褒美を設定することがオススメとのこと。
◆4:フィットネストラッカーを購入する
フィットネストラッカーにはセルフモニタリングや目標設定などのモチベーションを高める機能が多数搭載されており、フィットネストラッカーが実際に身体活動量を増加させるという研究結果は多数報告されています。
◆5:毎日同じ時間に運動して習慣化させる
人間は習慣で動く傾向のある生き物なので、運動したい場合には習慣を付けることが大切。マーハー氏らによると、朝の運動は夜の運動に比べて習慣化が早いという研究結果が存在します。
◆6:楽しい種目に専念する
新しい運動習慣を身につけるというのは困難なことなので、イヤなことはやらずに楽しいと思える種目に専念するほうがベターとのこと。同じ運動を続けると運動強度が上げられないという懸念については、「続けるうちに運動強度が上がっていくこともある」とマーハー氏らは回答しています。
◆7:最初はほどほどにする
「これからはちゃんと運動するぞ!」と思って運動しても、1日で運動意欲が萎えたりケガしたりしてしまうこともあります。マーハー氏らによると最初はほどほどにして「もっと運動したい」という程度にとどめておくほうが、モチベーションを維持できる上にケガをする可能性が低くなるとのことです。
◆8:テンポの早い音楽を聴く
テンポの早い音楽を聴くと運動が楽に感じるようになるため、運動量を増やせるようになるとのこと。音楽の効果はウォーキングやランニングなど、リズミカルで反復的な種目で特に高くなるそうです。
テンポの早い音楽を聞きながら運動すると「運動が楽に感じる」ことが判明 - GIGAZINE
◆9:イヌと散歩する
イヌの散歩をする人はしない人に比べて、散歩の頻度が高い上に散歩の時間自体も長く、さらには「隣人に対して社会的なつながりと安心感を覚える」と回答する率が高くなります。
◆10:達成できなかったら募金するといった金銭的な罰則を設定する
行動経済学の分野では人間は何かを「得る」よりも「失わない」ために行動する傾向が特に強いと示されています。近年では「目標を達成できなかったらお金を没収する」というネットサービスも登場しており、運動やダイエット、禁煙などで効果があるという研究結果が多数報告されています。
以上のモチベーションを高める方法について、マーハー氏らは「運動習慣を身につけるためには3~4カ月かかるとされており、一度運動習慣が身についた後は自発的に運動を続けられるようになります」とコメントしています。
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