生き物

赤ちゃんの「かわいさ」は若い男性にはあまり伝わらない


乳幼児や小動物などには、人間が見て「かわいい」と感じる「ベビースキーマ」と呼ばれる特徴が備わっています。白人の赤ちゃんの顔に関する研究は進んでいましたが、大阪大学大学院人間科学研究科の入戸野宏教授らの研究グループは、初めて日本人の赤ちゃんの顔をベースにした体系的研究を行い、「かわいさ」が個人の好みによるものではなく、複数人が「かわいい」と思うような客観的な特徴に基づくものであることを明らかにしました。また、女性や中高年男性に比べて、若い男性は「かわいさ」の感度が低いこともわかりました。

Frontiers | Creation and Validation of the Japanese Cute Infant Face (JCIF) Dataset | Psychology
https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.819428


日本人赤ちゃんの顔で明らかになった 客観的な「かわいさ」次元の存在 - リソウ
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220218_1

「ベビースキーマ」は動物行動学者のコンラート・ローレンツが提唱した概念で、「体の大きさに比べて頭の割合が大きい」「丸くて大きな目が顔の下側にある」「丸みのある体形」などの特徴を指します。ベビースキーマに関して、欧米では赤ちゃんの顔を用いた研究が進んでいますが、日本人の赤ちゃんの顔を用いた研究は行われてきませんでした。

Die angeborenen Formen möglicher Erfahrung - Lorenz - 1943 - Zeitschrift für Tierpsychologie - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1111/j.1439-0310.1943.tb00655.x

入戸野教授らは、保護者から生後6カ月の赤ちゃん80名の無表情・正面顔の写真の提供を受け、20歳から69歳の日本人男女200名に「かわいさ」を1点から7点で評価してもらいました。

「かわいさ」の得点が高い方から10名の顔をもとに、合成して作られた「かわいさが高い顔」。


同様に作られた「かわいさが低い顔」。


研究チームは、50枚の赤ちゃん顔に対して「かわいさを増やした顔」と「かわいさを減らした顔」を作成。20歳から69歳の日本人男女587名に「よりかわいい」と感じる方を選んでもらうインターネット調査を行いました。


すると、9割の人が「かわいさを増やした顔」を選びました。このことから、赤ちゃんの顔の「かわいさ」は、個人の好みのみで決まっているのではなく、客観的な特徴として存在しているということが示されました。

なお、女性や中高年男性に比べて、若い男性は「かわいさを増やした顔」を選ぶ割合が低く、「かわいさ」の高低を認識するのが苦手だと考えられるとのことです。


ちなみに、今回の研究の目的は、「かわいさ」研究に利用可能な、肖像権のない日本人赤ちゃんの顔データセットの作成にあるとのことで、作成された「日本版かわいい乳児顔データセット」はインターネットで公開されています。

OSF | Japanese Cute Infant Face (JCIF) dataset
https://osf.io/pseym/

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「赤ちゃんから放出される化学物質」は女性を攻撃的にして男性を従順にすると判明 - GIGAZINE

「食べたくなるほどかわいい」赤ちゃんの匂いに麻薬のような効果があることが判明 - GIGAZINE

なぜ赤ちゃんはどこの国でも最初に「ママ」と言うのか - GIGAZINE

赤ちゃんが「唾液」を手がかりにして人間同士の親密さを見分けているとの研究結果 - GIGAZINE

赤ちゃんアザラシは「周囲に理解されやすいように声を変える」という珍しい能力を持つことが判明 - GIGAZINE

in 生き物, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.