フィットネスバイクで心臓発作を起こすシーンがドラマに登場、メーカーが同じ役者で安全性をアピールするものの再び心臓発作マシンとして使われてしまう
アメリカの大手エクササイズ機器メーカー・Pelotonのフィットネスバイクがドラマキャラクターの死亡シーンに使われてしまい、Pelotonがキャラクターを演じた役者をCMに起用してイメージの回復を図るも、再び別のドラマで製品がパロディに使われてしまうという事例が発生しました
Yet another TV show features a character having a heart attack on a Peloton - The Verge
https://www.theverge.com/2022/1/23/22895860/peloton-billions-heart-attack-mr-big-showtime-tv
Second TV Show Emerges With Peloton Twist As A Plot Point – Deadline
https://deadline.com/2022/01/peloton-billons-ssecond-tv-show-emerges-with-peloton-twist-as-a-plot-point-1234918194/
問題の死亡シーンが描かれたのは、2021年12月9日からスタートしたドラマ「And Just Like That...」です。第1話の終盤、主人公であるキャリー・ブラッドショーの夫、ミスター・ビッグことジョン・ジェームズ・プレストンが、Pelotonのフィットネスバイクで運動を終えた直後に心臓発作で死亡します。このドラマは1998年から放送がスタートし一世を風靡したラブコメディドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の18年ぶりの続編で、映画も含めると11年ぶりの新作とのことで人々に大いに期待されていたものですが、なじみのあるキャラクターの突然の死に怒りを表明するファンも少なくありませんでした。
劇中では「あのバイク」などと呼ばれたのみで「Peloton」という名前は登場しなかったのですが、このエピソードの放送当日に同社の株価は約11%下落。制作側と広告契約を結んでいたPelotonもこのシーンに関する声明を発表しました。Pelotonの広報担当者は、同社のインストラクターを務めるジェス・キング氏がPelotonのインストラクターとしてドラマに出演し、フィットネスバイクが使われるということは知らされていたものの、守秘義務の関係から具体的な脚本については知らされていなかったと主張。
同社のヘルス&ウェルネス諮問委員会に予防心臓専門医として所属するスザンヌ・ステインバウム氏は同作のファンであることを公言したうえで「ミスター・ビッグは日ごろからカクテルや葉巻などを楽しんでおり、前のシーズンでも心臓疾患を抱えているというシーンが描かれていました。このライフスタイルが死の要因であり、フィットネスバイクはむしろ死を遅らせることに役立っていたかもしれません」「心臓疾患による死の80%は生活習慣を変えることなどで予防可能であり、心拍数を計測できるPelotonのフィットネスバイクは予防のために安全に使用できます」と述べました。
そして、Pelotonはミスター・ビッグを演じたクリス・ノース氏を起用したCMを急きょ作成しました。CMはノース氏が前述のキング氏と一緒に暖炉の前に座り、Pelotonのフィットネスバイクをバックに談笑するシーンからスタート。クリス氏が「新たな始まりだ。もうひと乗りしよう」と述べた後、ナレーションで「そしてこのように(And Just Like That)、サイクリングは血行を促進し、心血管疾患のリスクを減らします。彼は生きています」と語られました。
“He’s alive.” And Just Like That…Peloton quickly hires Chris Noth and pushes out new ad to show he’s fine and restore their image, after Mr. Big suffered a heart attack from riding a Peloton. pic.twitter.com/27lgnQvGuC
— Mike Sington (@MikeSington) December 13, 2021
しかし、このようなイメージ回復が行われたにもかかわらず、別のドラマでもPelotonのフィットネスバイクが使われてしまう事態が発生します。問題の作品は法曹界を描いたドラマシリーズ「ビリオンズ」で、2022年1月に放送されたエピソードで、登場キャラクターの1人がPelotonのフィットネスバイクを使用中に、心拍数をリアルタイムで計測していた医療専門家から「心臓発作を起こしている」と使用を止められるというシーンが描かれます。今回そのキャラクターは死亡せず、オフィスに戻ったあと意気揚々と「ミスター・ビッグのように死ぬことはないよ!」と発言しました。
Pelotonは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による巣ごもり需要から売上を大幅に伸ばしたものの、需要の落ち着きにより生産数の低下を余儀なくされ、製品の値下げと共にマーケティングに本腰を入れ始めていると報じられています。しかし、死亡事故の発生によるリコール問題や前述のイメージダウン、ノース氏の性暴力問題が明るみに出たことによる契約打ち切りなどが重なり、大きく打撃を受けていることが伝えられています。
by Tony Webster
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