サイエンス

はしかの流行は深刻な健康被害をもたらすだけでなく国家に大きな経済的損失も与えるとの指摘


麻しん(はしか)は非常に感染力の強い感染症であり、風邪のような症状に続いて39度以上の高熱と発疹が現れ、肺炎や脳炎といった合併症を起こして死亡する割合も高い危険な病気です。近年アメリカではかつて排除されたはずの麻しんが再流行しており、ブラウン大学の疫学教授であるジェニファー・ヌッツォ氏らが、アメリカの麻しん再流行がもたらす影響や今後起りうる事態について解説しました。

We study pandemics, and the resurgence of measles is a grim sign of what’s coming
https://theconversation.com/we-study-pandemics-and-the-resurgence-of-measles-is-a-grim-sign-of-whats-coming-275059


アメリカでは2000年、12カ月間にわたって麻しんの感染が確認されなかったことを受けて、「麻しん排除国」の認定を受けました。しかし、近年は再び麻しんが流行し始めており、2026年3月時点では1年以上にわたって継続的に麻しんが流行しているとのこと。

2025年1月~8月にはテキサス州で麻しんの流行が発生し、その後もユタ州アリゾナ州サウスカロライナ州などで感染が広がりました。2026年に入ってから麻しんの症例が確認されたのは30州に達し、保健当局は3月6日時点で1300件もの症例を確認しているとのことで、このペースが続けば過去35年で最多だった2025年を上回る見込みです。

ヌッツォ氏らは、「アメリカにおける麻しんの再流行は、今後起こりうる事態の暗い兆候だと考えています」と述べ、麻しんが再流行していることの意味や影響について解説しています。

◆なぜアメリカで麻しんが再流行しているのか?
麻しんが再流行している根本的な原因は、ワクチン接種率の低下です。アメリカ全体で見ると、麻しん・おたふく風邪風疹の弱毒化ウイルスを混合したMMRワクチンの接種率は約90%で、一部地域では60%を下回っています。集団免疫を達成するのに必要なMMRワクチン接種率は95%とされていますが、2019~2020年以降はこの水準を下回り、麻しんが流行しやすい状態となっています。


◆人々の健康に対する影響は?
記事作成時点におけるアメリカの麻しん流行は人々に深刻な健康被害をもたらしており、2025年には2000年以降で最多の3人が麻しんで死亡しました。2025年にアメリカで確認された麻しん患者2283人のうち11%は入院が必要なほど重症で、一部の州では麻しんの合併症による入院の報告義務がないことから、実際に麻しんの影響で入院した患者数はもっと多いと考えられます。

麻しんは単に風邪や発熱を引き起こすだけでなく肺炎などの合併症を引き起こし、1000人に1人ほどの割合で死に至ります。また、同じく1000人に1人の割合で脳炎も発症し、難聴や知的障害などの後遺症が生じる危険性があるほか、麻しんウイルスが免疫系に影響してその後の人生における感染症リスクを高める可能性があると、ヌッツォ氏らは警告しています。まれなケースですが、幼少期に麻しんへ感染すると感染から5~10年後に亜急性硬化性全脳炎を発症し、死に至る場合もあるとのことです。

◆麻しんは国家にとって多大な経済的損失をもたらす
麻しんが引き起こすあまり注目されていない被害として、国家にもたらす多大な経済的損失が挙げられます。ヌッツォ氏らは、「各国が麻しんの撲滅を目指してきた理由のひとつは、ウイルスの国内感染を阻止することによる明確な経済的利益があるからです」と述べています。

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in 無料メンバー,   サイエンス, Posted by log1h_ik

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