Twitterでフェイクニュースが拡散される速度は真実のニュースと見分けがつかないという研究結果
近年はフェイクニュースがアメリカ大統領選にまで影響を与えているとされており、TwitterやFacebookなどはその一助になっていると言われています。Twitter上のフェイクニュースにまつわる「真実の情報よりも間違った情報の方がより拡散されやすい」という2018年の研究結果について、新たに「フェイクニュースと真実のニュースが拡散されるメカニズムは見分けが付かないほど類似している」という研究結果が発表されました。
Comparing information diffusion mechanisms by matching on cascade size | PNAS
https://www.pnas.org/content/118/46/e2100786118
Viral news – true and untrue – moves equally through Twitter | Cornell Chronicle
https://news.cornell.edu/stories/2021/11/viral-news-true-and-untrue-moves-equally-through-twitter
新聞などでも昔からフェイクニュースは存在してきましたが、近年はインターネットの普及によってフェイクニュースの作成・拡散が容易になった結果、「誰でもフェイクニュースで世論をゆるがせる」という時代になっています。
こうした状況に対して、2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが2006年から2017年までの11年間でTwitterで計450万回以上リツイートされた12万5000以上のストーリーを調査することによって、「真実の情報よりも間違った情報の方がよりツイートされ拡散しやすい」と判明したという研究結果を発表しました。
この研究結果については、以下の記事で詳しく解説しています。
フェイクニュースを拡散するのはTwitterボットではなく普通の人と判明 - GIGAZINE
Twitterも2020年からフェイクニュースと思わしきツイートに対してラベルを付与するというシステムを導入していますが、その成果については芳しくないというのが世評です。こうした点についてコーネル大学のJonas L. Juul氏とスタンフォード大学のJohan Ugander氏は、特定のツイートとそれに対するリツイートが構成する「カスケード」という構造に着目した研究を行いました。
カスケードは、リツイートの到達範囲・深度・幅・伝播速度などが生み出す構造を指しており、Juul氏らは「真実の情報と間違った情報はカスケードから判断できる」と考えたとのこと。しかし、Juul氏らが真実の情報と間違った情報が生み出したカスケードをそれぞれ比較したところ、2種のカスケードは見分けが付かないほど類似しているということが判明しました。
2018年のMITの研究では、「間違った情報のほうがはるかに速く・深く・広く拡散する」という結果でしたが、今回の研究結果は同規模のカスケードならば速度は共通しているという点を示唆しています。このことからJuul氏らは、TwitterなどのSNSが「フェイクニュースの拡散を抑制する」という観点の対策を立てているが、真実の情報と間違った情報はアルゴリズム的な判別が困難だと指摘。既存の介入策では効果は限定的になってしまうと語りました。
2018年の研究が示した「人は真実の情報よりも間違った情報を共有する傾向がある」という点については今回の研究も事実としており、Juul氏らは今回の結果から、ユーザーのデジタルリテラシーを向上させることがフェイクニュース抑制に効果的と主張しています。
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