「アメリカに才能が一極集中する状況」がリモートワークの普及により緩和、次に才能が集まる国はどこ?
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、世界中でリモートワークが急速に普及しています。そんなリモートワークの普及を受けて「アメリカに才能が一極集中する状況」に変化が訪れているとして、その原因やアメリカに代わる才能の行き場を都市開発に関するウェブサイトを運営するソフトウェアエンジニアのデヴォン・ズーゲル氏が解説しています。
Remote work will break the US monopoly on global talent | devonzuegel.com
https://devonzuegel.com/post/remote-work-will-break-the-us-monopoly-on-talent
ギャラップ調査で知られるGallupが2013年~2016年にかけて実施した調査では、「別の国や地域への移住」を考えている人の移住先候補として有力視されている国として、2番手のドイツに大差を付けてアメリカ首位についています。このことから、ズーゲル氏は「才能ある人材を求めてアメリカと競争することは困難でした」と指摘しています。
しかし、リモートワークの普及によって遠隔地からの共同作業や取引が容易になったことで、才能ある人材がアメリカ以外の国への移住を志す可能性が増しました。この状況は、以下のような特徴を持つ国々にとって歓迎するべきことだとズーゲル氏は述べています。
・経済の多様化を求める国
経済が観光業などの一部の産業に集中している国では、長期的に持続可能な経済を成り立たせるために経済を多様化する必要があります。これらの国では、才能ある人材を移民として受け入れることで迅速に新たな経済を構築することが可能です。
・世界の技術変化に追いつきたい国
世界の技術は日々進歩していますが、進歩に追いつけていない国もあります。それらの国では、該当技術の熟練者を移民として受け入れることで自国の技術進歩を加速できます。
・人口ピラミッドが逆転している国
日本などの高齢者が増加傾向にある国や、人口の減少が続いている国では移民を受け入れることで傾向を逆転させられるとズーゲル氏は主張しています。
上述の通り、才能ある移民を受け入れることには多くのメリットが存在していますが、「政治的に移民の受け入れに消極的な国」「人口が多い国」「経済的に裕福な国」では才能ある移民を受け入れることが比較的困難な状態となっています。それに対して「いくつかの経済大国と一致するタイムゾーンに位置する」「経済大国への地理的距離が短い」「移民の母国への地理的距離が短い」「英語が通じる」「生活費が安い」といった国では移民を受け入れやすい状況が整っています。ズーゲル氏は才能ある移民を受け入れやすい国として以下の国々を挙げています。
・ウルグアイ
ウルグアイは、アメリカとヨーロッパの両方と協力するのに適したタイムゾーンに位置し、「移民の受け入れ」を重要政策の1つとして掲げています。
・カナダ
カナダには「経済的に安定している」「世界クラスの大学を含む優れた教育システムが存在する」「アメリカに近い」「主に英語が用いられる」「移民を歓迎している」といった才能ある移民を受け入れるための強力な地盤があります。
・クロアチア
EU加盟国のクロアチアは他のEU加盟国と比べて生活費が低く、さらに世界で最も安全な国の1つに数えられます。また、飛行機でロンドン・パリ・ベルリンへすぐに移動できます。
・シンガポール
シンガポールは治安が比較的良く、英語が通じる国です。また、シンガポールは富裕層の人々が政治的不安や高い税率が逃れるための場所として長年人気を保っています。
・カリブ海の島国
カリブ海の国々も比較的治安がよく、英語が通じます。また、アメリカと地理的に近く、過ごしやすい気候も特徴です。
・パナマ
パナマは近隣の南米アメリカ諸国と比べて経済的に安定しており安全です。また、南米で多く使われているスペイン語が公用語とされているため、南米に住む人々の移住先として魅力的です。加えてパナマではアメリカドルが流通しています。
・コスタリカ
パナマと同様に周囲の国々と比べて経済的に安定しています。また、バイオテクノロジー分野の経済活動が積極的に行われています。
また、ズーゲル氏は「国民が高い教育を受けているものの、経済的・政治的不安により移住希望者が多い国や地域」としてアルゼンチン・キューバ・ナイジェリア・ブラジル・ベネズエラ・香港・レバノンを挙げています。加えて移民を受け入れる国が解決すべき問題として「国によって異なる労働法」「言語・文化・タイムゾーンの違い」「信頼の構築」「賃金の平等性の確保」を挙げ、これらの問題を解決するために多くのビジネスが構築されるべきだと語っています。
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