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「人類はかつてないほど危険な時期を迎えている」とホーキング博士が警告

By elhombredenegro

世界的な理論物理学者にして「車いすの物理学者」としても知られるスティーヴン・ホーキング博士が、イギリスやアメリカで起こった選挙結果を引き合いに出して、「人類は歴史上、かつてないほど危険な時期を迎えている」と述べました。

This is the most dangerous time for our planet | UNLIMITED*
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世界有数の大学の一つであるケンブリッジ大学を中心として町が形作られているイギリス・ケンブリッジで、20代を研究者として過ごすことができた自身のキャリアを非常に恵まれたものだと感じていたホーキング博士は、大きく変わろうとしている世界の流れの中で、自分が経験したような世界はますますまれになると考えています。


ホーキング博士は「イギリスのEU離脱」と「アメリカのドナルド・トランプの大統領選出」という2つの出来事は、世界が変わっていることを示す象徴的なものだと考えています。そして、この2つの出来事の背景には、これまで十分にはケアされてこなかった中間層の存在があり、指導者たちに忘れ去られたと感じている中間層による「エリート層の否定」があるとのこと。そして、筋萎縮性側索硬化症という重い障害を持つにもかかわらず、科学技術の力によってコミュニケーション能力を維持して、研究を続けてこられた自分自身は、多くの人に否定された「エリート層」に含まれると述べています。エリート層の否定は学術・研究の否定につながり得るとホーキング博士は危惧しているようです。

このような事実を踏まえた上で、「最も重要なことは、イギリス・アメリカの選挙で示された民意に対してエリートたちがどのように反応するかだ」とホーキング博士は述べています。選挙結果を否定して、無視するような行動は完璧な間違いだとホーキング博士は考えています。


ホーキング博士によると、科学技術が進歩してグローバル化が進んだ影響で伝統的な製造業の雇用が減少してきており、今後は人工知能(AI)技術の発展によって中間層の雇用にさらなるダメージが与えられる可能性があり、創造的な仕事や管理する立場の仕事と職を失う人たちとの間で生じる経済的な不平等は世界的に拡大・加速していくとのこと。ホーキング博士は「これは避けられないことで、進歩でもあり、しかし社会にとっては破壊的なものだ」と述べています。そして、この経済的な不平等の加速には、インターネットが寄与していくとホーキング博士は指摘しています。

インターネットやソーシャルメディアが普及したことで、富を持つものと持たざるものの現実の姿を、誰もが簡単に知ることができるようになりました。例えば、Instagramで公開されているセレブリティの華麗な生活や、戦争のない豊かな世界での日常生活を、苦しい生活を強いられている世界中の誰でも簡単に知ることができるというのが一例です。苦しい生活から脱出して、より幸せな生活を送りたいと考えて、国外に移住する人や難民が増えることは避けられないとホーキング博士は述べています。そして、移り住んできた人たちの生活を支えるために必要となる新たなインフラ整備のコストから、移民を排斥する不寛容な意見が噴出し、政治的なポピュリズムの傾向に拍車がかかることも避けられないとホーキング博士は考えています。


ホーキング博士によると、私たちが生きている世界は、気候変動、人口過剰、食糧危機、海洋汚染などかつてないほどの多くの重大な問題を抱えており、人類の歴史の中で最大の危機を迎えているとのこと。人類が地球環境を破壊する技術を持つようになったものの、いまだに地球から脱出して他の惑星に移り住むまでの技術には到達していない現状では、たった一つの地球をみなで守るために協働することが必要だとホーキング博士は訴えています。

そして、人類が共同して地球を守るためには、国と国との間にある障壁を取り除く必要があるとのこと。このような国と国との垣根を越えた協働について、これまでことごとく失敗してきたこと、そして失敗し続けていることを、世界の指導者たちは認識することだとホーキング博士は指摘しています。限られた一部の人の手に富が集中している現状では、これまで以上に富を共有するべきで、失われようとしている職業だけでなく失われようとしている工業全体に対して、新しいモノを創出することを援助し、それまでの期間を経済的に支えるべきだとホーキング博士は述べています。仮に、移民を現状のペースで受け入れるのが不可能だと言うのならば、世界中の地域の開発・発展につながるようにより多くのことをするべきであり、それが唯一、移住しようとする人たちを思いとどまらせる手段だとホーキング博士は指摘しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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