がん関連ウイルスを大幅に減少させるチューインガムが開発される

ペンシルベニア大学の研究者らが、がん予防効果のあるチューインガムを開発しました。チューインガムをかむだけで、首から顔の領域にできる「頭頸部(とうけいぶ)がん」に関連する微生物を標的としてウイルス1種と細菌2種を大幅に減少させたことが報告されています。
Ex vivo HNSCC clinical studies using saliva and antiviral or antibacterial chewing gums reveal reduction in carcinogenic microbes | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-026-39062-w
Cancer-fighting chewing gum cuts HPV levels by up to 93% | ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2026/08/260803080917.htm
口や喉の粘膜組織に発生する一般的ながんの一種である「頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)」は、がんの中でも特に進行が早く、進行期に発見された場合に予後不良となることが多くなっています。研究者によると、近年承認された多くの抗がん剤でも患者の生活の質や5年生存率に大きな改善をもたらしておらず、既存の治療法と併用できる新たなアプローチが必要となっているそうです。
そこでペンシルベニア大学歯学部のヘンリー・ダニエル氏が率いた研究チームは、HNSCC患者の口腔(こうくう)サンプルを用いて、がんに関連する3種類の微生物を研究しました。これには、1種類のウイルス「ヒトパピローマウイルス(HPV)」と、2種類の細菌「ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg)」および「フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fn)」が含まれています。ダニエル氏によると、世界的な口腔咽頭がんの増加は特にHPV感染と関連しており、PgおよびFn感染は手術やリスク調整後の補助療法、あるいは補完療法を受けた後の再発性または転移性口腔がんの生存率を悪化させるとのこと。
それらのがんに関連したウイルスや細菌を標的とするため、ダニエル氏はフジマメから作られたチューインガム「豆ガム」に関するこれまでの研究に基づいて、HPVやPg・Fnへの影響を調査しました。豆ガムには天然由来の抗ウイルス性タンパク質である「FRIL」が含まれていることが知られています。

試験の結果、豆ガムに含まれるFRILがHPVを凝集・捕捉することで、評価した14人の患者の唾液サンプルのうち13人(約93%)でHPVレベルを低下させました。HPVの凝縮率は患者ごとに異なり、5人は100%、5人は86~99%、1人は61%、2人は50%未満となっています。また、別の患者30人から採取したうがい液サンプルでは、HPV陽性だった22人のうち13人でHPVの100%の凝集が確認され、全体としてはHPV陽性患者の約80%で67~100%の凝集が確認されました。

研究者たちは次に、有害な細菌を殺すことができる抗菌ペプチドである「プロテグリン」と豆ガム抽出物を組み合わせました。その効果を調べた結果、1回の投与で、PgとFnのレベルはほぼゼロにまで低下したことが報告されています。

さらに重要な点として、豆ガムによる治療法は口腔内に常在する有益な細菌に害を与えないように見えたと研究者らは述べています。一般的な放射線療法は、悪性の細菌を標的とする一方で、有益な細菌を減少させたり病原性酵母の増殖を促進したりする可能性があります。
ダニエル氏は「2022年、唇と口腔のがんは、世界中の青少年、若年成人、中年成人におけるがん罹患率と死亡率で7番目に多いがん種でした。私たちの研究結果は、これらの治療法を既存の治療法の補助療法として、あるいは感染や伝播を防ぐための予防療法として、臨床試験に進めることの価値を裏付けています」と語っています。
今回の研究は唾液またはうがい液サンプルを用いた体外実験であり、口腔内微生物叢の長期的な変化をモニタリングするヒト臨床研究ではないため、実際に豆ガムをかむことで体内のウイルスや細菌に効果があるかどうかは今後の臨床研究を必要とします。今後の研究では、腫瘍細胞を対象とし、特にFRILとプロテグリンの腫瘍細胞への浸透、およびHPVや病原性細菌の殺傷効果を評価する予定であるそうです。
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in サイエンス, Posted by log1e_dh
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