ちゃんとしたUSBケーブルを作るのに4年もかかった理由

テクノロジー系YouTuberのLinus Tech Tipsは「LTT TrueSpec Cable」という自作のUSBケーブルを開発し、販売しています。このLTT TrueSpec Cableは開発開始から発売までおよそ4年の歳月がかかったそうで、Linus Tech Tipsがその苦労を動画で語っています。
Why It Took Me 4 YEARS to Make a USB Cable - YouTube

Linus Tech Tipsは、ケーブル業界には、わかりにくい表記、割高な価格、低い耐久性、仕様を満たさない製品の横行といった問題があると指摘しています。

多くの人は高価な測定機器を持っていないため不良ケーブルを見抜けず、機器の不調を本体側の問題だと思い込みやすいことから、Linus Tech Tipsは仕様通りに動作する「LTT TrueSpec Cable」を作ろうとしたそうです。

最初の1年は別の製品開発で忙しかったため、シンプルに開発プロジェクトを後回しにしてしまったそうですが、その次の1年は製造委託先探しに費やしたとのこと。

Linus Tech Tipsは30社以上に連絡し、数百本のサンプルを評価したものの、信号品質の基本試験を安定してクリアできる工場がなかなか見つからなかったとしています。

また、「見かけ上は動くケーブルでも、実際には性能不足かもしれない」とLinus Tech Tips。試験では不合格でも、PCにつなぐと一応動くことがあるのは、USBがエラーを検出して再送する仕組みを持っているからで、表面上は正常でも実際は通信が乱れている可能性があります。

そのため、ケーブル評価は「つながるかどうか」だけでは不十分で、「どれだけきれいに信号を通せるか」を見なければならないというわけ。

そこで、速度や長さが違っても安定して信号品質を保てる工場を探す段階に入ります。初期のサンプルでは100本単位で見ても全数合格が出ず、しかも1本だけの偶然の不良ではなく、特定の長さや仕様のロット全体が駄目ということも多かったため、単なる品質のばらつきではなく工場の製造能力そのものが足りていないことがわかりました。

2年目の終わりになって、ようやく全サンプルが信号試験を通る工場に出会い、そこから本格的な設計に進めるようになります。Linus Tech Tipsの目標は単に「売れるケーブル」を開発することではなく、各長さで達成可能な範囲の中で最良の仕様を狙うことでした。

USB Type-C、USB4、USB PDには膨大な規格文書があり、本来は従うべき条件が非常に多い一方で、市場にはその基準を緩くしか守っていない製品も多いため、Linus Tech Tipsは内部構造をしっかり作り込む方向を選びました。

LTT TrueSpec Cableは安価な一般的ケーブルと比べて、電力線やシールドだけでなく高速信号線の作りが大きく違うとのこと。特に高速信号部分で、一般的なツイストペアだけでなく同軸構造を使うことで、信号品質を優先しているとLinus Tech Tipsは述べています。

ただし同軸構造には欠点もあり、コストが高く、太くなりやすく、柔軟性も落ちやすくなります。そこでシリコン被覆を採用し、紫外線への強さ、折れぐせのつきにくさ、収納しやすさを確保して、性能と使い勝手の両立を図ったとのこと。

さらに故障しやすい根元部分について、柔らかすぎても支えにならず、硬すぎても逆に新しい折れ点を作ってしまうため、ストレインリリーフの設計にかなり苦労したそうです。最終的には、適度にしなる一体成形の構造にすることで、分解しにくく、力が一点に集中しにくい形に落ち着いたとのこと。

コネクタ先端についても、規格上できることには限界があるものの、その範囲でできるだけ頑丈にしたとLinus Tech Tipsは説明しています。継ぎ目のない金属ハウジング、銅テープ、はんだ付け構造などを採用した結果、LTT TrueSpec Cableはやや大きめのコネクタになってしまい、一部の奥まったポートには入らない場合があるそうです。

つづいてUSBの認証について。LTT TrueSpec CableはUSB-IF認証を取得していないものの、Linus Tech Tipsは「認証がなくてもUSB互換製品は販売でき、しかも認証の主な利点はわかりにくい公式ブランド表示を使えることにあるので、自分たちはそこに価値を感じなかった」と述べています。

ただし、認証を取らない代わりに試験を省いたわけではないとのこと。各SKUごとに独自試験を行い、USB4については第三者試験機関でも確認し、さらにかなり乱暴な耐久テストまで実施したとしており、「認証がない=未検証」ではないと主張しています。

LTT TrueSpec Cableは40Gbps対応のCtoCケーブル(10cm)で29.99ドル(約4800円)と、かなり高価なケーブルになっています。しかし、Linus Tech Tipsは「自分たちは高品質で適正価格の製品を否定しておらず、批判してきたのは中身以上に価値があるように見せる誇大広告のほうである。LTT TrueSpec Cableは必要以上に高価なわけではない」と主張しています。

Linus Tech Tipsは、LTT TrueSpec Cableについても「映像がより美しくなる」「音が良くなる」といったオカルト的な宣伝はしないと明言し、「デジタルケーブルは基本的に仕様通りに動くかそうでないかの問題であり、LTT TrueSpec Cableはそこを真面目に満たすことを目的にしたケーブルだ」と論じました。

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