Google製iOSアプリがマテリアルデザインに固執しない方針にシフト
Googleは自社プラットフォームのAndroidだけでなく、AppleのiOS向けにもアプリを提供しています。このようなAppleプラットフォーム向けにGoogleが提供しているソフトウェアのデザインを担当しているJeff Verkoeyen氏が、Google製のiOSアプリではGoogleのデザインガイドラインである「マテリアルデザイン」に固執しない方針にシフトすることを明らかにしました。
Google’s apps to embrace iOS on iOS – Six Colors
https://sixcolors.com/link/2021/10/googles-apps-to-embrace-ios-on-ios/
Google Is Moving Its iOS Apps Toward Platform UI Conventions and Away From Material Design — Pixel Envy
https://pxlnv.com/linklog/google-ios-apps-immaterial/
Googleが提供する各種ウェブサービスやモバイルアプリは、同じ手法のデザインを取り入れることでサービスやツールを横断して馴染みのある使い心地を実現させる「マテリアルデザイン」というデザインにおけるガイドラインを採用しています。このマテリアルデザインを、Googleが製作するサービスやアプリ以外にも簡単に取り入れることができるというフレームワークが、「マテリアルコンポーネント(MDC)」です。このMDCを使えばAppleのプラットフォームであるiOS上でもマテリアルデザインに沿ったUI設計のアプリをリリースすることが可能。実際、Googleが提供するGoogleマップなどのアプリはMDCを利用してデザインされてきました。
Components - Material Design
GoogleのAppleプラットフォーム向けアプリデザイン担当チームのリーダーを務めるJeff Verkoeyen氏は、2021年10月8日に自身のTwitterアカウントを更新し、Google製のiOSアプリでマテリアルデザインに固執しない方針に変更すると発表しました。Verkoeyen氏によるツイートは以下の通り。
「今年、我々のチームはiOS向けのオープンソースのマテリアルコンポーネント(MDC)ライブラリをメンテナンスモードに移行することとしました。なぜでしょう?2012年にiOS向けにGoogleマップをリリースして以来、我々のチームはGoogle全体で共有UIコンポーネントの作成と保守をサポートしてきました。これはもともと、UIKitにおけるデザイン言語のギャップを埋める必要性から生まれたものでした」
Since 2012 and the original launch of Google Maps iOS, my team has supported the creation and maintenance of shared UI components across Google. This was originally born out of a need to fill gaps in UIKit's design language.https://t.co/1GIntCmQMT
— Jeff Verkoeyen (@featherless) October 7, 2021
「『UIKit間のギャップを埋める』という目標は、その過程で『プラットフォーム間のデザイン言語のギャップを埋める』というところまで拡大していきました。そして、Googleはマテリアルデザインを生み出し、そこからiOS向けのMDCまでリリースすることとなりました。クロスプラットフォームでデザインの類似性を求めていくこととなったわけですが、Appleプラットフォームにおける基本デザインも年々進化しているため、マテリアルデザインから徐々に離れていくこととなりました」
But as we continued on the pursuit of cross-platform pixel parity, our iOS components were slowly drifting further and further from Apple platform fundamentals because those fundaments were also evolving year over year.
— Jeff Verkoeyen (@featherless) October 7, 2021
「我々がUIKitにおけるギャップを埋めるようになって約10年が経過し、MDCが埋めてきたギャップの多くがUIKitにより埋められるようになりました。これにより、MDCを利用するよりも合理的かつ緊密なOSとの統合が可能となっています。そのため、2021年初頭にGoogleのデザインチームはAppleのプラットフォーム上でGoogleの特徴的なエクスペリエンスを構築することについて、『実用性』と『ブランドの重要なモーメント』という2つを中心に批判的に評価し、その2つを達成するのに必要な要素を深く検討しました」
So at the beginning of this year, my team began a deep evaluation of what it means to build a hallmark Google experience on Apple platforms by critically evaluating the space of "utility" vs key brand moments, and the components needed to achieve either.
— Jeff Verkoeyen (@featherless) October 7, 2021
「具体的には、アプリ内に配置されたボタンのデザインをカスタム構築する必要があるのか?あるいは単にシステムソリューションを使用するだけでOKなのか?などです。Appleプラットフォームにおけるデザインアプローチの進化により、UIKitとGoogleのデザイン言語を組み合わせることができました。その結果、多くのカスタムコンポーネントがもはや必要ではないことが判明しました」
This evolution of how we approach design for Apple platforms has enabled us to marry the best of UIKit with the highlights of Google's design language.
— Jeff Verkoeyen (@featherless) October 7, 2021
The result? Many custom components simply aren't needed anymore. And the ones that are, they now get more attention and focus.
Google製のiOSアプリではMDCが採用されてきたため、これまではiPhoneやiPadユーザーからはその他のアプリと異なるデザインおよび挙動に不満が上がることも多くありました。しかし、Googleは自社製品における一貫性を重視すべく、あらゆる製品でマテリアルデザインを採用してきたわけです。
この方針が変わったことで、GoogleはiOS版のGoogleアプリ向けにカスタムコードを作成する必要がなくなります。さらに、iOS版Googleアプリが他のiOSアプリと近いデザイン・挙動をするようになることも考えられるため、iOS版Googleアプリユーザーにとっても歓迎される変更となる可能性があります。
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