文章を「拡散」で高速生成するAIモデル「Mercury 2.5」登場、毎秒1107トークンの高速生成&GPT-5.6 Luna級の性能を100万出力トークン当たり約120円で提供

AI企業のInceptionが2026年9月8日、拡散モデルを使って文章を生成するAIモデル「Mercury 2.5」を発表しました。一般的な大規模言語モデル(LLM)が文章を左から順番に生成するのに対してMercury 2.5は複数のトークンを並行して生成・修正する仕組みを採用しており、毎秒1107トークンを出力できるとのこと。性能はGPT-5.6 LunaのLow設定などに匹敵するとされ、通常料金は100万出力トークン当たり0.75ドル(約120円)です。
Introducing Mercury 2.5 – Inception
https://www.inceptionlabs.ai/blog/introducing-mercury-2-5

一般的なLLMの多くは「直前までに生成したトークンを基に次のトークンを1つ決める処理を繰り返す」という「自己回帰」と呼ばれる方法で文章を作ります。文章を順番に生成する構造上、長い回答を作るほど待ち時間が積み重なります。
単純なチャットなら数秒の待ち時間で済んでも、例えば検索AIであれば検索語の書き換え、検索結果の並べ替え、情報の要約、回答の作成といった処理ごとにAIモデルを利用するため、1回ごとの遅延が最終的な応答時間に積み重なってしまいます。
Inceptionが速度向上のために採用しているのが「拡散大規模言語モデル(dLLM)」です。Mercuryシリーズは最初から完成した文章を順番に確定させる方式を取らず、回答全体を粗い状態から作り始め、複数のトークンを並行して修正しながら何段階かの処理で完成させます。画像生成AIで採用例の多い「ノイズから画像を徐々に整えていく」という拡散モデルの考え方をテキスト生成に応用したものです。
2026年2月にInceptionは拡散モデルベースのAIモデル「Mercury 2」を発表し、「世界最速」をうたっていました。
Inceptionが世界最速の拡散モデルベース推論LLM「Mercury 2」を発表 - GIGAZINE

Mercury 2.5はMercury 2を強化したモデルとのこと。Mercury 2の出力速度はNVIDIA Blackwell GPUで毎秒1009トークンでコンテキスト長は12万8000トークンでしたが、Mercury 2.5では出力速度が毎秒1107トークンになり、コンテキスト長も26万トークンへ拡大しています。

速度を上げるだけなら小型モデルを使う方法もありますが、モデルの能力が下がれば複雑な推論やコーディングには使いにくくなります。InceptionによるとMercury 2.5はMercury 2から性能を引き上げたことで、コスト効率を重視した最先端モデルである「GPT-5.6 Luna(Low)」「Gemini 3.5 Flash-Lite」「Claude Haiku 4.5」と同程度の品質に達したとのこと。
以下の画像はMercury 2.5とMercury 2の性能を比較したものです。Inceptionは実際の利用者から寄せられたフィードバックや運用中に発生した失敗例を評価方法と学習に反映し、Mercury 2.5につなげたと説明しています。

料金は100万入力トークン当たり0.20ドル(約31円)、100万出力トークン当たり0.75ドル(約120円)とのこと。Mercury 2は100万入力トークン当たり0.25ドル(約38円)、100万出力トークン当たり0.75ドル(約120円)だったため、入力側の料金が値下げされています。さらにローンチ時は80%割引となっており、OpenRouterでは100万入力トークン当たり0.04ドル(約6円)、100万出力トークン当たり0.15ドル(約23円)で利用可能です。

Mercury 2.5は用途に合わせて推論の強度を調整する機能にも対応しています。また、複数の外部ツールを並行して呼び出す機能や、指定したJSONスキーマに沿って回答を出力する機能も備えています。
Mercuryシリーズの導入例として、AI電話エージェントを開発するOpenCallではモデルの応答時間の中央値が約170ミリ秒まで短縮されたとのこと。また、コーディングAIを開発するAugment Codeでは長い作業履歴を短くまとめる「コンテキスト圧縮」処理をMercuryに切り替えた結果、処理時間が約150秒から27秒になり、コストも90%削減されたとInceptionは報告しています。
Mercury 2.5はInception API、Baseten、OpenRouterから利用可能です。
InceptionはMercury 2.5と同時に音声AI向けの「Mercury Voice」と、入力内容に応じて適切なAIモデルへ振り分ける「Mercury Router」のプレビュー版も発表しています。さらにInceptionは過去最大規模となる次世代モデルの学習をすでに始めているとも述べており、拡散モデルならではの速度とトークン効率を維持しながら能力をさらに引き上げ、今後数カ月以内の公開を目指しているとのことです。
・関連記事
NVIDIAが拡散言語モデル「Nemotron-Labs-Diffusion」を公開、拡散モードと自己回帰モードを切り替え可能で画像を処理できるVLMもあり - GIGAZINE
日本語を高速生成できる拡散言語モデル「ELYZA-LLM-Diffusion」が登場 - GIGAZINE
AMD製AIチップで開発された拡散言語モデル「ZAYA1-8B-Diffusion-Preview」が登場、自己回帰モデルを拡散モデルに変換 - GIGAZINE
GoogleがGemma 4より4倍高速な拡散言語モデル「DiffusionGemma」をオープンモデルとして公開、数独が得意なファインチューニングモデルもあり - GIGAZINE
AIで「まだ起きていない自然災害」を予測、拡散モデルで異常気象リスク計算の限界克服へ - GIGAZINE
Stable Diffusionなどの画像生成AIに用いられる拡散モデルは「進化的アルゴリズム」だという主張 - GIGAZINE
日本語対応&超高速コード生成も可能な拡散大規模言語モデル(dLLM)「Mercury」が登場 - GIGAZINE
生成AIに使われる拡散処理を超爆速わずか2ステップで完了できるアプローチ「sCM」をOpenAIが発表 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in AI, Posted by log1d_ts
You can read the machine translated English article 'Mercury 2.5,' an AI model that rapidly ….






