偽の「新型コロナワクチン接種証明書」の売買が急増、数千枚の偽造カードが押収へ
アメリカでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を行うと、ワクチン接種の記録カードが交付されます。ニューヨークなど一部地域では飲食店や劇場が利用客に対してワクチン接種の証明書提示を求めることが義務化されており、このような時に記録カードが必要になります。新たに報じられた内容によると、2021年8月以降に数千枚の偽造ワクチン接種証明書が押収されており、メッセージアプリTelegramを中心に違法な売買が急増しているとのことです。
1,683 Fake COVID-19 Vaccination Cards & 2,034 Fake Pfizer Seals Seized by Cincinnati CBP | U.S. Customs and Border Protection
https://www.cbp.gov/newsroom/local-media-release/1683-fake-covid-19-vaccination-cards-2034-fake-pfizer-seals-seized
Fake Covid vaccination card market booms
https://www.nbcnews.com/tech/security/fake-covid-vaccination-card-market-booms-rcna2053
アメリカ合衆国税関・国境警備局(CBP)が2021年8月16日以降、1カ月の間に偽のファイザーワクチン接種ステッカー2034枚と、偽のCOVID-19ワクチン接種カード1683枚が含まれた荷物5つを押収したと9月16日に発表しました。多くの荷物が中国・深センからとなっており、一般の住宅宛てで、「否医療品」として入荷されていました。偽の証明書にはアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロゴが記載されていましたが、文章のつづりにミスがあったり、印刷が低品質であったことから「偽物だ」と突き止められたとのこと。
NBCニュースによると、ここ数週間で偽造証明書のオンラインでの販売が急増しており、1枚数百ドル(数万円)での売買も確認されているそうです。また2021年3月にはアメリカ・イリノイ州の薬剤師が偽のワクチン接種カード125枚を1枚10ドル(約1100円)でeBayにおいて販売したとして逮捕されています。CBPは「偽のCOVID-19ワクチン接種カードを購入することは危険というだけでなく、違法行為です。偽のワクチン接種カードを購入するということは、アメリカ市民の健康や安全について考えず、お金もうけだけが目的の犯罪者をサポートすることになります。私たちスタッフは、偽造者が、自分の行動で苦しむことになる無垢(むく)な人について考えず、自分たちに利益をもたらすものを何でも複製するということを知っています」とコメントしました。
記事作成時点でEtsy、Facebook、Amazon、Twitterといったソーシャルメディアおよびeコマースサイトでワクチン接種カードの販売が禁じられており、この手の売買はアラブ首長国連邦に本拠を置くメッセージアプリ・Telegramで横行しているそうです。Telegramは他のメッセージアプリやソーシャルメディアと比べてモデレーションが緩いため、アメリカにおいては極右の人々からの人気を集めているとのこと。サイバーセキュリティ企業であるCheck Pointは、偽のワクチン接種カードを販売すると主張するTelegramユーザー約1万人を特定していると伝えています。ただし、本件についてTelegramはコメント要求に応じていません。
実際にTelegramでワクチン接種カードを販売するという人物は、NBCニュースの取材に対し、「支払いにはビットコインを要求している」と語っています。また、販売に際して誕生日や電話番号といった必要以上の情報を「登録のため」という理由で求めているそうですが、何の登録が行われているのかについて、取材対象は明示しなかったとのこと。NBCニュースは「実際にカードが送られているのかどうかは不明ですが、CBPはこの数カ月で数千もの偽造証明書を押収したと述べています」とつづっており、個人情報を渡して高価な偽造証明書を購入しても、手元には届かない可能性があることを示唆しています。
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