VRAM容量32GBで30万円未満なIntelグラボ「Intel Arc Pro B70 Creator 32GB」でローカルLLM「Qwen3.8 27B」や動画生成AI「MiniMax H3」を実行して生成速度を確かめてみた

大規模言語モデル(LLM)や画像・動画生成AIを高速実行するにはモデル全体を高速なVRAMに収める必要があります。しかし、AI需要に伴うグラフィックボードの価格高騰によって、VRAM容量32GBのNVIDIA GeForce RTX 5090は100万円を超えるようになってしまいました。一方で、Intel製GPU「Intel Arc Pro B70」を搭載したVRAM容量32GBのASRock製グラフィックボード「Intel Arc Pro B70 Creator 32GB」は30万円以下で購入可能。そんなIntel Arc Pro B70 Creator 32GBを実際に購入したので、LLMや動画生成AIなどを実際に実行してみました。
ASRock > Intel Arc Pro B70 Creator 32GB
https://www.asrock.com/Graphics-Card/Intel/Intel%20Arc%20Pro%20B70%20Creator%2032GB/index.jp.asp
Intel® Arc™ Pro B70 Graphics
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/sku/245797/intel-arc-pro-b70-graphics/specifications.html
・目次
◆1:「Intel Arc Pro B70 Creator 32GB」はどんなグラフィックボードなのか
◆2:PCに接続してセットアップ
◆3:Unsloth DesktopでQwen3.8 27Bを実行
◆4:ComfyUIで画像生成&動画生成
◆5:ゲームのベンチマークテストも実行
◆6:まとめ
◆1:「Intel Arc Pro B70 Creator 32GB」はどんなグラフィックボードなのか
NVIDIAの公式サイトでは、NVIDIA GeForce RTX 5090の価格は39万3800円とされています。しかし、記事作成時点では価格が高騰しており、Amazon.co.jpで90万円を超えることは当たり前で、100万円以上の製品も存在します。これはAmazon.co.jpが特別高いというわけではなく、最安値情報を検索できる価格ドットコムでも同様の状況です。

一方でIntel Arc Pro B70 Creator 32GBはAmazon.co.jpで税込29万8054円で入手可能。GIGAZINE編集部で購入した2026年6月時点の価格は税込22万4800円だったので値上がりはしていますが、それでもNVIDIA GeForce RTX 5090の3分1以下の価格に抑えられています。
Amazon | ASRock Intel Arc Pro B70 搭載 Creator 32GB ビデオカード GDDR6 32GB 国内正規代理店品 | ASRock | グラフィックボード 通販

Intel Arc Pro B70 Creator 32GBの外観や搭載ポートなどは以下の記事にまとめています。
VRAM32GBで激安なIntelグラボ「Intel Arc Pro B70 Creator 32GB」を買ったので開封の儀、外観や搭載ポートはこんな感じ - GIGAZINE

◆2:PCに接続してセットアップ
Intel Arc Pro B70 Creator 32GBの全長は271mmです。電源ポートが外部出力ポートの反対側の面にあり、ケーブルに負荷がかからないように30mmの隙間を設けることが推奨されているので、ケースには合計301mmの横幅が必要です。参考までに、全長331.9mmの「GeForce RTX 5070 Ti GamingPro-S 16GB」と並べるとこんな感じ。

電源と接続する際は、付属の電源ケーブルを奥までしっかり差し込む必要があります。以下のように隙間があいていると危険です。

しっかり力を入れて隙間がなくなるまで差し込んでください。

電源と接続したらマザーボードのPCIe 5.0 x16スロットにセットしてネジ止めすればOK。

PCを起動したらIntelのドライバー配布ページにアクセスしてドライバーのダウンロードおよびインストールを実行します。ドライバーは安定性重視の「Arc Pro グラフィックス」と最新環境に素早く対応する「Arc グラフィックス」の2種類が存在。今回はArc グラフィックスをインストールしました。

インストールしたドライバーのバージョンは「32.0.101.8991」です。

グラフィックボード以外のPC構成は以下の通り。CPUは「AMD Ryzen 5 7600X」、マザーボードは「ASRock X670E Taichi Carrara」、RAMはDDR5-5600の64GB、OSはWindows 11 Proです。

◆3:Unsloth DesktopでQwen3.8 27Bを実行
LLMの実行性能を確認するために「Qwen3.8 27B」を実行してみます。LLM実行アプリは数多く存在していますが、今回はPC環境に合わせて自動的に最適な設定を選択してくれる「Unsloth Desktop」を採用しました。Unsloth Desktopのバージョンは「0.1.808-beta」で、内部で動作するllama.cppのバージョンは「b11007」です。

Unsloth Desktopのモデル管理機能を使ってQwen3.8 27Bをダウンロードします。今回はUnslothが量子化した「Qwen3.8-27B-GGUF」のうち、4bit量子化版の「Qwen3.8-27B-UD-Q4_K_XL.gguf」と8bit量子化版の「Qwen3.8-27B-UD-Q8_K_XL.gguf」をダウンロードしました。

4bit量子化版の「Qwen3.8-27B-UD-Q4_K_XL.gguf」を実行した結果、VRAMを30.0GB使用し、RAM上の共有GPUメモリも1.0GB使用しました。

デコード速度は23.4tok/sで、ローカルLLMとしては実用的な速度です。以前NVIDIA GeForce 5070 Tiを使ってHermes AgentでQwen3.8 27Bを実行した際は「2bit量子化版(IQ2_S)でやっと20~30tok/s」という状況だったことを考えると、Intel Arc Pro B70 Creator 32GBの大容量VRAMの恩恵がよく分かります。

8bit量子化版の「Qwen3.8-27B-UD-Q8_K_XL.gguf」を実行した場合、VRAM使用量は30.2GBで、共有GPUメモリの使用量は1.5GBでした。

デコード速度は15.9tok/s。「目で追えるくらいの生成速度」といった感じでリアルタイム会話などの用途には不向きですが、「AIエージェントを常時稼働させて、受信箱に届いたメールを分析させる」といったリアルタイム処理の不要な場面では役立ちます。一般的に8bit量子化版は非量子化モデルと同等の性能とされているので、「Qwen3.8-27Bの8bit量子化版を15.9tok/sで実行する」という環境を30万円未満のグラフィックボードで実現できるのはかなり有用です。

◆4:ComfyUIで画像生成&動画生成
画像生成AIや動画生成AIの実行速度も検証してみます。実行環境は「ComfyUI」を採用。デスクトップ版ComfyUIならインスタンス作成時に「Intel Arc」を選ぶだけでIntel製GPUに最適化された環境を構築できます。

まずはComfyUI公式ワークフローを使って画像生成AI「Z-Image-Turbo」を実行してみます。解像度は「1024×1024ピクセル」、ステップ数は「8」です。

生成中のVRAM使用量は23.1GB。

1枚目は36.23秒で生成完了し、2枚目以降は5.3秒前後で生成できました。十分に高速な結果です。

生成画像の例が以下。Intel製GPUだからといって画質が下がることはなく、NVIDIA製GPUと同等品質の画像を生成できました。

動画生成AI「MiniMax H3」も実行してみます。ComfyUIの公式ワークフローの設定をそのまま使用しており、diffusion modelは「minimax_h3_fl2va_pruned_int8_convrot.safetensors」、音声VAEは「minimax_h3_audio_vae_fp32.safetensors」、動画VAEは「minimax_h3_video_vae_fp16.safetensors」、テキストエンコーダーは「qwen3vl_32b_minimax_h3_nvfp4_awq.safetensors」、高速化LoRAは「minimax_h3_fl2v_turbo_8step_v1.0_comfyui_bf16.safetensors」を使用しています。生成ステップ数は「8」で、動画解像度は「0.4メガピクセル」、長さは「5秒」です。

生成中のVRAM使用量は28.3GBでした。共有メモリの0.2GBはComfyUIの起動前から使用していた分です。

1本目の生成にかかった時間は302.06秒で、2本目は351.14秒。VRAM容量16GBのNVIDIA GeForce RTX 5070 Tiよりも遅い生成速度です。コンテンツ生成AIではVRAM容量だけでなくGPUの演算性能も重要。また、コンテンツ生成AIの推論システムはNVIDIA製GPUに最適化されていることが多く、同じ演算性能のGPU同士でもNVIDIA製GPUに有利に働きがちです。Z-Image-TurboではVRAM容量の多さが優位に働いて高速生成できましたが、MiniMax H3の場合はVRAM容量以外の影響が大きく働いて生成速度が遅くなったというわけです。このため、MiniMax H3を用いた動画生成が主目的ならNVIDIAのグラフィックボードを選んだ方がいいです。

◆5:ゲームのベンチマークテストも実行
Intel Arc Pro B70 Creator 32GBはAI専用グラフィックボードというわけではなく、ゲームもプレイ可能です。「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」を実行した結果、「1920×1080 最高品質」という設定で1万8434点を記録して「非常に快適」と評価されました。

「3840×2160 最高品質」でのスコアは9342で評価は「快適」でした。

◆6:まとめ
Intel Arc Pro B70 Creator 32GBを実際に使ってみた結果、32GBという大容量VRAMによって高性能なローカルLLMを実用的な速度で実行することができました。動画生成は高速とはいえないものの生成自体は可能。「ローカルでAIエージェントを常時稼働させる」といった用途に非常に有用なグラフィックボードでした。
Intel Arc Pro B70 Creator 32GBは記事作成時点ではAmazon.co.jpで29万8054円で入手可能です。
Amazon | ASRock Intel Arc Pro B70 搭載 Creator 32GB ビデオカード GDDR6 32GB 国内正規代理店品 | ASRock | グラフィックボード 通販

Intel Arc Pro B70 Creator 32GBを使ってAIエージェントを実行するレビュー記事を後日公開予定なので乞うご期待!
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