アメリカ政府が大規模な洋上風力発電プロジェクト5件を「国家安全保障上のリスク」があるとして停止

アメリカ内務省が2025年12月22日、アメリカで建設中の大規模な洋上風力発電プロジェクトのリース契約を、即座に一時停止すると発表しました。内務省は契約停止の理由について、国防総省が機密報告書で特定した国家安全保障上のリスクによるものとしていますが、その詳しい内容は機密扱いのため明かされていません。
The Trump Administration Protects U.S. National Security by Pausing Offshore Wind Leases | U.S. Department of the Interior
https://www.doi.gov/pressreleases/trump-administration-protects-us-national-security-pausing-offshore-wind-leases

US blocks all offshore wind construction, says reason is classified - Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2025/12/us-government-finds-new-excuse-to-stop-construction-of-offshore-wind/
洋上風力発電は陸地から離れた海上に風車を建設し、海風を利用して発電を行う施設です。海上の風は陸地の風と比べて格段に強く、洋上風力発電は陸地の風力発電の3倍の電力を生み出すポテンシャルを秘めているとのこと。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は2025年の大統領選挙期間中、洋上風力発電に否定的な見解を示しており、就任初日の大統領令で洋上風力発電プロジェクトの許可発行を一時停止するよう求めました。この大統領令に対しては、州政府および風力発電会社を代表する団体が訴訟を起こしており、12月上旬に正当な理由がないとして取り消されました。
また、この大統領令が発令される前に許可された洋上風力発電プロジェクトについても、トランプ政権は断続的にプロジェクトの阻止を試みてきました。これまでに、ニューヨーク沖で建設中の「Empire Wind」やニューイングランド南部沖の「Revolution Wind(Orsted project)」といった洋上風力発電プロジェクトに対し、建設停止が命令されてきましたが、いずれもロビー活動や訴訟によって解除されています。
新たに内務省は12月22日、5件の大規模な洋上風力発電プロジェクトについて、リース契約を即座に一時停止すると発表しました。契約が停止された洋上風力発電プロジェクトには、「Empire Wind」や「Orsted project」に加え、バージニア州沖に建設中の「Coastal Virginia Offshore Wind」、ニューヨーク州のロングアイランド沖に建設される「Sunrise Wind」、マサチューセッツ州沖に建設される「Vineyard Wind 1」が含まれます。

内務省は、「これは国防総省が最近完成させた機密報告書で特定した、国家安全保障上のリスクによるものです。この一時停止により、内務省は国防総省およびその他の関係政府機関とともに、リース契約者および州のパートナーと協力し、これらのプロジェクトがもたらす国家安全保障上のリスクを軽減する可能性を評価する時間を確保します」と述べています。
しかし、国防総省が特定したという国家安全保障上のリスクが具体的に何なのかは明かされていません。内務省の声明では、「アメリカ政府の非機密報告書で、巨大なタービンブレードの動きと反射率の高いタワーが『clutter(クラッター)』というレーダー干渉を引き起こすことが、長年にわたり明らかにされています」と記されていますが、これは新しく判明した問題ではありません。
ダグ・バーガム内務長官は今回の発表に際し、敵対勢力のテクノロジーが急速に進化していることに触れましたが、それ以上のことは言及していません。テクノロジー系メディアのArs Technicaは、「発表によると国防総省の分析は機密扱いとなっており、仮に理由が存在するとしても、それが何であるかは誰も知ることができません。この機密指定により、決定について法廷で争うこともはるかに困難になるでしょう」と指摘しました。
内務省の決定で影響を受ける州の多くは、洋上風力発電が供給する電力に大きな期待を寄せており、企業も建設に必要な資金をほぼすべて支出しています。そのため、州や企業は今回の決定に対し、何らかの形で反対する可能性が高いとみられています。
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in メモ, Posted by log1h_ik
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