ハードウェア

人型ロボットがVRドライブシミュレーターに合わせて後ろから椅子を揺らすシステム「HumanoidTurk」


VRで車を運転する時、カーブや加速に合わせて体が揺れるとリアルなドライブ体験になります。光州科学技術院(GIST)とコロラド大学ボルダー校の研究チームは、人型ロボットがユーザーの椅子をつかんで物理的に揺らすVRドライブ用触覚フィードバックシステム「HumanoidTurk」を開発しました。

HumanoidTurk: Expanding VR Haptics with Humanoids for Driving Simulations
https://arxiv.org/abs/2601.18975

Want Driving Simulator Feedback? Make The Robot Do It | Hackaday
https://hackaday.com/2026/05/11/want-driving-simulator-feedback-make-the-robot-do-it/

実際にHumanoidTurkが動作する様子は以下のムービーで確認できます。

[CHI 2026] HumanoidTurk: Expanding VR Haptics with Humanoids for Driving Simulations - YouTube


研究チームは、人型ロボットを会話相手や作業補助ロボットとしてだけでなく、VR体験に触覚を与える装置として使うことを考えました。VRで体全体に動きを伝えるモーションプラットフォームは大がかりになりやすく、コントローラーやウェアラブル機器による振動は手や体の一部への刺激に限られます。そこで研究チームは、人間に近いサイズと腕を持つ人型ロボットなら、専用の大型装置とは別の形で全身へのフィードバックを与えられる可能性があると考えました。こうして開発されたのが「HumanoidTurk」です。


HumanoidTurkでは、人型ロボット「Unitree G1」がVRヘッドセットを装着したユーザーの背後に座り、椅子を両手でつかみます。研究では、Unitree G1にInspire Robotsの「RH56DFTP」ハンドを装着したものが使われました。そして、ゲーム内で車が曲がった時などに発生するGフォース、つまり加速やカーブに伴う加速度の情報を読み取り、その情報をロボットの腕の動きに変換することで、ユーザーの体にゲーム内の動きと同期したフィードバックを与えます。

Unitree G1が椅子の位置を把握するために使うのが、椅子に取り付けられた球形マーカーです。Unitree G1に搭載されたIntelのRealSense D435i深度カメラがこのマーカーを追跡し、椅子の3D位置を推定します。


マーカーを追跡させる方法を採用することで椅子に大がかりな改造を加えなくても人型ロボットが椅子をつかんで動かせるようになり、さまざまな種類の椅子に対応しやすくなるとのことです。


研究では、VRヘッドセットとしてMeta Quest 3、操作用コントローラーとしてDualSense、レーシングシミュレーターゲームとして「Assetto Corsa」が使われました。HumanoidTurkはAssetto CorsaからリアルタイムでGフォースを取得し、横方向のGフォースを椅子の左右方向の揺れに、前後方向のGフォースを傾きや衝撃、振動に変換します。Unitree G1は、この変換結果に合わせて椅子を動かします。


研究チームは16人の参加者を対象に、映像と音だけの「No-Feedback」、コントローラーの振動を使う「Controller」、コントローラーの振動に加えて人型ロボットが椅子を動かす「Controller+Humanoid」、コントローラーの振動に加えて人間が後ろから椅子を動かす「Controller+Human」の4条件を比較しました。


その結果、人型ロボットや人間が椅子を動かす条件は、映像と音だけの場合やコントローラーの振動だけの場合よりも、没入感・リアルさ・楽しさ・ゲームへの適合性で高く評価されたと研究チームは報告しています。一方で、人型ロボットが椅子を動かす条件では快適性やシミュレーター酔いに課題があり、参加者からはロボットが椅子を動かすタイミングの良さを評価する声と、揺れの強さや連続した振動で疲れたという声の両方が出たとのことです。

研究チームはHumanoidTurkについて、人型ロボットをVR空間の出来事を人間の体に伝える「触覚メディア」として使う初期的な試みだと位置づけています。将来的な応用例としては、VR内で重い物を持つ時に感じる抵抗、綱引きのような力のかかる動き、ジョイスティックの硬さ、ドアや葉っぱなどに触れた時の感覚、ホラー体験でユーザーを驚かせる動きなどが挙げられています。

ただし、今回の研究は1分間の短いVRドライブに限られており、長時間利用時の疲労、ロボットの動作音、過熱、トルク低下、予期しない故障が起きた場合の安全性などは今後の課題だと説明されています。

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in 動画,   ハードウェア,   サイエンス,   ゲーム,   乗り物, Posted by log1b_ok

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