サイエンス

女性は他の女性からの反発を避けるため戦略的に謙虚さを装っている可能性


自分の成功をひけらかさず謙虚にいることは一種の美徳とされていますが、謙虚過ぎると自己アピールの機会を逸し、仕事や学業における成功を妨げてしまう可能性もあります。2026年の研究では、女性は他の女性からの反発を避けるため、戦略的に謙虚さを装っている可能性があることが示されました。

Strategic Modesty in Women’s Same-Sex Interactions | Evolutionary Psychological Science | Springer Nature Link
https://link.springer.com/article/10.1007/s40806-026-00479-1

New research suggests women strategically use modesty to avoid backlash from female peers
https://www.psypost.org/women-strategically-use-modesty-to-avoid-backlash-from-female-peers/

近年は女性の社会進出を後押しする動きが増えている一方、依然として企業における女性管理職の割合は低い水準にとどまっています。この停滞の一因として、「女性は自己アピールすることに抵抗感を覚えやすい」という点が挙げられています。


自身の業績や能力、そして他者への貢献をアピールすることは組織内での知名度や評判を高め、昇進する機会を増やすことにつながります。しかし女性の場合、自身の成功をアピールすると周囲からの反発に遭うことがあるそうです。

役割期待理論に基づくと、人々は自分の意思や持っている能力だけでなく、「社会的な期待」に沿うように振る舞いを調整することが多いとされています。女性は一般的に協調的かつ協力的、そして謙虚であることが求められやすいため、女性が主体的に行動したり自己顕示欲を見せたりすると、好感を持たれなかったり信用されなかったりすることが多いとのこと。

このような社会的制裁は、特に同じ集団に属する女性との交流において深刻になることがあります。そこでアメリカの研究チームは、女性が自己アピールによる社会的反発を予測しているのかどうか、そして予測に応じて行動を調整するのかどうかを調べる2つの実験を行いました。


一連の実験では、自己アピールの日常的な機会である「褒め言葉」に着目しました。1つ目の実験では、被験者はアメリカ中西部の大学で募集された838人の学部生に、「同性の同僚に褒め言葉をかける場面」を再現した短いシナリオを読んでもらいました。褒め言葉は相手の「容姿」「専門知識」「人柄」「仕事での成功」のいずれかに焦点を当てていました。

次に被験者らは、同僚がする可能性がある4つの返答について検討しました。1つ目は「自分は最高だと認める」といった自慢げな態度で、2つ目は単に「ありがとう」と返す中立的な態度、3つ目は褒め言葉をかけてくれた相手にそのまま返す謙虚な態度、4つ目は「成功は運が良かっただけ」などと褒め言葉をかわす態度でした。

それぞれのシナリオを読んだ後、被験者は架空の同僚について傲慢(ごうまん)さ・温かみ・親しみやすさといった特性を100点満点で評価しました。さらに、「その同僚が自分のことをどれほど気に入っているか」「その同僚が自分と友達になりたいと思っているか」についても評価したとのこと。

結果を分析したところ、被験者は男女を問わず自慢げな態度を否定的に評価していましたが、女性の方が男性よりもはるかに自慢話を厳しく評価したことが判明。女性は男性よりも同僚の人間性が悪いと評価しており、その同僚が自分のことを好きだったり友達になりたいと思っていたりする可能性も低いと考えていました。

また、褒め言葉を相手に返す謙虚な態度は男女ともに最も好意的に評価され、「ありがとう」などと返す中立的な態度は中間的な結果となりました。一方、「成功は運が良かっただけ」のようにはぐらかす態度は、意外にも否定的な評価を受けました。この結果について研究チームは、褒め言葉をはぐらかすことは善意を拒否する意志表示だと解釈されたり、褒め言葉をかけた相手を軽視していると見なされたりするのではないかと推測しています。


2つ目の実験では、人々が自慢げな態度のデメリットを予測しており、その結果として行動を調整しているのかどうかが調べられました。被験者となった505人の大学生は、同性の仲間から社会的地位に関わる「容姿」または「仕事での成功」で褒められる場面を想像しました。そして「自慢げな態度」「中立的な態度」「謙虚な態度」「はぐらかす態度」の4つの回答タイプのうち、自分がどのタイプで応答するのかを回答しました。さらに被験者らは、各回答タイプによって褒め言葉をかけてくれた相手が自分をどのように評価するのかも推測したとのことです。

データを分析すると、女性は「謙虚な態度」を選択する可能性が男性よりはるかに高く、男性は女性よりも「自慢げな態度」や「中立的な態度」を選ぶ可能性が高いことが判明。また、相手から自分がどのように評価されるのかを想像した時、女性は「自慢げな態度」によって相手から傲慢で冷淡な人物であり、友達になりたくないのだと予想する傾向が強くみられました。

これらの傾向は褒め言葉の種類によって異なり、特に自分の「容姿」を自慢した時に否定的な評価を強く受けるだろうと女性たちは考えていました。これについて研究チームは、容姿が配偶者としての価値や社会的比較と密接に関係しており、仲間との交流においてデリケートな領域だからではないかと推測しています。

一連の研究結果は、女性が褒め言葉に対する自慢げだったり中立的だったりする態度が不利益を招くと理解しており、意識的にせよ無意識的にせよ、相手に嫌われないように謙虚な言動をしている可能性を示唆するものです。


なお、今回の実験はあくまでテキストを読んだ上での想像に頼っており、実際の会話では身ぶり手ぶりや表情などで否定的な評価が和らいだり、ジョークだと理解されたりする可能性があります。また、異性の同僚を評価する際にも同じような傾向が生じるのかどうかや、アメリカではなく東アジアなど謙虚さがより重要視される文化でも同様の結果になるかは不明です。

心理学系メディアのPsyPostは、「多くの女性にとって謙虚さは人間関係を円滑にし、同僚との関係を悪化させないための戦略的な手段として機能します。現代の職場で自己主張がますます重視されるようになるにつれ、女性はキャリアアップと社会的なつながりの維持という2つの間で、難しいバランスを取らざるを得なくなっています」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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