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ラジオでAIパーソナリティの活用が加速、労働組合や人間のパーソナリティからは不満の声


ロサンゼルスのラジオ局で活用されているAIパーソナリティを事例に、アメリカの一部の地域でラジオにおけるAIの活用が加速していることを、ロサンゼルスの地元紙であるLos Angeles Timesが報じています。

Los Angeles’ José FM’s Spanish-language morning show features an AI co-host - Los Angeles Times
https://www.latimes.com/business/story/2026-10-02/ai-radio-star-dj-chatbots-airwaves-humans-pushing-back

「GeeGee」の愛称で親しまれるラジオパーソナリティのはジェラルディン・グスマンさんは、朝のラジオ番組で「コヨーテ」と呼ばれる相棒と共に、スポーツやニュース、プレゼント企画などについて軽妙な掛け合いを行っています。これだけ聞くとありふれたラジオ番組のように思えますが、コヨーテはAIボットであるという点が非常に珍しい点です。


グスマンさんは、AIボットとのラジオについて「やりがいがある一方で、予測不可能」と語っています。コヨーテは会話の話題について、思いもよらない意見を述べたり、時には汚い言葉を吐いたりすることもあるためです。「コヨーテが何を言うのか、私にもまったくわかりません。でもそこが魅力なんです」とグスマンさんは語りました。

グスマンさんがパーソナリティを務めるラジオ番組を放送しているのは、ラジオ局のKLYYです。ラジオでは度々リスナーに対して、コヨーテがAIであることを伝えているそうですが、リスナーはコヨーテの存在を気に入っているとLos Angeles Timesは報じています。実際、グスマンさんのラジオ番組の聴取率は徐々に増加しているそうです。


別のラジオ局であるAlpha Mediaは、2023年にオレゴン州ポートランドでラジオにAIパーソナリティを登場させました。昼の番組を担当する司会者の声を複製し、休暇中の代役として使うためにです。しかし、2025年にはAIパーソナリティの利用を止めました。

アイオワ州ウォータールーのロック専門ラジオ局は、深夜帯の放送でAIパーソナリティの「Tori」を活用しています。アリゾナ州フェニックスのオルタナティブ・ロック専門のラジオ局である「94.9 The Zone」は、2026年1月に1990年代から活躍するベテランラジオパーソナリティ4人の声を許諾を得て複製し、AIラジオ番組を放送するようになりました。さらに、インターネットラジオ局のPhoebe FMでは、AIパーソナリティが複数の番組でホストを務めています。

ラジオ局では番組で流す楽曲の選曲や番組の編成、番組準備用の資料のまとめ作業、広告収益化できる音声コンテンツの制作など、放送以外の業務にもAIが活用されているそうです。


これに対して、労働組合は大手メディア企業に対してAIの利用を制限するよう働きかけています。ラジオパーソナリティも代表する労働組合・SAG-AFTRAの広報担当者は、「人間を人工的な代替物に置き換えようとすることは、視聴者やリスナーを欺き、社会の信頼を損ない、本物の表現を届けるために人生をささげてきた専門家たちの生活を脅かすものです」とラジオ局でのAI利用を批判しました。

850局以上のラジオ局を運営するアメリカ最大のラジオ局運営会社であるiHeartMediaは、著名パーソナリティを含む人員削減を進めており、iHeartMediaに次ぐ規模のAudacyやCumulus Mediaでも、制作費を抑えるためにAI活用が盛んになっているそうです。


KLYYがAIパーソナリティのコヨーテを導入することに決めた理由のひとつが、ロサンゼルスで行われた不法移民の取り締まりです。KLYYを運営するEntravision Audioのエドゥアルド・マイトレナ社長によると、不法移民の取り締まりについて意見を述べることをためらうパーソナリティがいたため、何でも自由に意見できるAIパーソナリティとしてコヨーテを作成したとのこと。名前の由来は不法入国をあっせんする業者が「コヨーテ」と呼ばれるためです。

コヨーテには音声AI企業ElevenLabsのテクノロジーが利用されており、マイトレナ社長の声をベースに作成されている模様。

グスマンさんが取り上げたいニュースや話題をコヨーテにアップロードすると、AIはそれをベースに独自の意見を生み出します。これまでに選挙やロサンゼルス・ドジャース、ヒスパニック文化遺産月間、アメリカ移民・関税執行局(ICE)などについて、独自の意見を展開してきたそうです。コヨーテは放送禁止用語を使わないようプログラムされていますが、時々この制限を忘れて暴言を吐いてしまうこともあるとのこと。

なお、コヨーテは10分を超える音声会話をうまく処理することができないため、グスマンさんは番組を構成する4つのコーナーを別々に収録しているそうです。コヨーテの導入により、25~54歳のラテン系男性リスナーが急増しているそうですが、これがコヨーテによるものなのかグスマンさんによるものなのかは不明。

コヨーテを運用するEntravision Audioは、テレビ向けにも「LIA」というAIニュースキャスターを導入しています。


アメリカン大学の客員研究員であり、合成メディアの専門家でもあるサム・グレゴリー氏は、巧みに作られたAI音声は信頼できる友人や家族のように感じられるため、リスナーにとって危険な存在になり得ると指摘。「AIアバターには、身体を通して得た知識もなければ、当事者としての利害もありません。人々が信頼関係を結んでいる相手は、本質的には、次に来る言葉を予測する機械なのです」と批判しました。

ラジオパーソナリティのジョン・デサンティス氏は、「生身の地元出身のラジオパーソナリティが生み出す、本物のつながりを実現できると期待しているなら、AIがそれを実現することはできません」と語り、人間のラジオパーソナリティならではの良さがあると主張しました。

ラジオ局側もAIパーソナリティに興味を持っていないリスナーの存在を認識しており、iHeartMediaは2025年に「Guaranteed Human(人間であることを保証)」というキャンペーンを行い、AIパーソナリティやAI楽曲を放送で使わない姿勢を強調しました。

一方で、グスマンさんはコヨーテとラジオ番組を作るようになったことでリスナーが増えたため、AIと働くことに肯定的です。「今はこの状況に正面から向き合って、できる限り生かしていくことを考えています」と語りました。

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in AI, Posted by logu_ii

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