75年前に世界で初めて開発された「携帯電話の元祖」とは?
いつでもどこでも通話が可能な携帯電話はもはや現代人にとって必需品となっています。本来電話線をつながなければ通話ができない電話を、屋外にも持ち運び可能になったのは、何十年にわたって多くの科学者やエンジニアが技術開発を行ってきたおかげです。科学系ニュースサイトのSmithsonian Magazineが、75年前に開発された携帯電話の元祖となった通信サービスについて解説しています。
The First Mobile Phone Call Was Made 75 Years Ago | Innovation | Smithsonian Magazine
https://www.smithsonianmag.com/innovation/first-mobile-phone-call-was-made-75-years-ago-180978003/
「屋外で使える無線電話」という点で世界初めての携帯電話を実現したのは、サウスウエスタン・ベル電話会社(現AT&T)によってて、1946年6月17日に開発された「Mobile Telephones Service(MTS、携帯電話サービス)」です。
サウスウエスタン・ベル電話会社によるMTSの宣伝映像が以下のムービー。
1940s BELL TELEPHONE "MOBILE TELEPHONES" MOVIE EARLY CELL PHONE / MOBILE TELEPHONE SYSTEM 90884 - YouTube
MTSは世界初の商用自動車電話サービスです。
車内に取り付けられた受話器を取り出して……
助手席に座っていた男性が電話をかけます。
電話はまず交換手につながり……
会社の上司の電話につながります。
運転中の車から電話をかけるために移動無線電話システムを使っています。各地に設置された電波塔と……
走行中の車で無線通信を行います。
電波塔は高速道路沿いに建設されていたので、使えたのは主に高速道路沿い。
電波の周波数は150MHz帯で、電波の範囲は約25マイル(約40km)と、ちょうど都市を1つカバーできる程度。
実際にミズーリ州のセントルイス市を中心に、大都市にもMTSの電波塔が建設されたとのこと。
MTSを利用する車の屋根には無線アンテナが設置されます。
無線通信の装置はトランクに積載されます。
重量がおよそ80kgもある無線装置はかなり大きく、トランクの容量をかなり圧迫してしまいます。
また、無線装置は電気を大きく消費するため、大型のバッテリーを搭載する必要がありました。
MTSは「携帯」電話ではありませんが、携帯電話に必要な商用の移動無線通信システムの元祖といえます。なお、移動無線通信システムそのものの基礎といわれているのは、第二次世界大戦でアメリカ陸軍が用いたトランシーバー「ハンディートーキー」こと「SCR-536」。開発元のGalvin Manufacturingは、アメリカの通信企業・モトローラの前身です。
そして、世界で初めて「路上を歩きながら通話が可能になった携帯電話」は1973年に発明され、1983年にモトローラから発表された一般向けの商用携帯電話「DynaTAC 8000X」です。
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Smithsonian Magazineは「テクノロジーがどこへ向かうのかを予測するのは常に難しいことですが、将来のテクノロジーは何十年にもわたる研究開発の上に成り立っていることは間違いありません」とコメントしました。
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