地球が「超巨大なブルーベリーの塊」に変わったら一体何が起きるのか?
地球は、太陽系を形作った星間ガスや塵(ちり)が集まってできたものだと考えられています。そんな地球が、岩石ではなく「甘くておいしいブルーベリーでできていたら?」という素朴な疑問に、アメリカ・オックスフォード大学の科学者が真面目に取り組んだ論文が発表されました。
Blueberry Earth
(PDFファイル)https://arxiv.org/pdf/1807.10553v1.pdf
Blueberry Earth – Andart II
http://aleph.se/andart2/uncategorized/blueberry-earth/
What if the Earth was made of blueberries?
https://www.zmescience.com/science/what-if-earth-was-made-of-blueberries/
今回、「地球がブルーベリーになったらどうなるの?」という問題に答えたのは、オックスフォード大学の人類の未来研究所(Future of Humanity Institute)で上級研究員を務めるアンダース・サンドバーグ氏です。サンドバーグ氏の専門は神経科学ですが、天文学や物理学にも造詣が深い同氏は、これまで地球外文明に関する難問であるフェルミのパラドックスを扱った論文や、SF小説に登場するような異星人の超巨大構造物について論じた研究を発表したこともあります。
そんなサンドバーグ氏はある日、物理学者や学生が利用するオンライン掲示板であるPhysics Stack Exchangeで、「地球が瞬時にブルーベリーの粒の塊に置き換わってしまったら、地球上の人から見た景色はどうなるの?」という質問を目にしました。Physics Stack Exchangeでは仮定の質問が煙たがられているため、この質問はすぐに削除されてしまいましたが、興味を抱いたサンドバーグ氏はさっそく「ブルーベリーアース」の研究に取りかかりました。
サンドバーグ氏はまず、ブルーベリーの品種を北米の食用ブルーベリーであるVaccinium corymbosumと仮定しました。このブルーベリーは1立方メートル当たり700kgで、地球を構成する岩石の約7分の1以下の密度しかないので、地球がブルーベリーになると引力は現在の13%にまで減少します。そのため、地球は衛星を軌道上につなぎ止めておくことができなくなり、月がどこかに飛んでいってしまうと考えられます。また、角運動量保存の法則に従い地球の自転が速くなるので、ブルーベリーアースの1日は19時間しかありません。
また、ブルーベリーアースの核はすさまじい圧力で氷になりますが、地球のような金属の核ではなくなるので磁場は発生しなくなります。つまり、地球上の生命を有害な宇宙放射線から守る磁場は存在しないことになります。
こうした結果から、サンドバーグ氏はブルーベリーアースについて「地球がブルーベリーになると、まず地上の人が感じる重力が急激に減少します。その直後にブルーベリーアースは急速に圧縮され、地上のあらゆる物体が中心に向かって715km落下します。この時、史上最悪規模の地震が発生し、内部から吹き出した気体は巨大な間欠泉となって宇宙に向けて吹き出します。そして、最終的に地球は煮立ったブルーベリージャムの海と蒸気でできた空に覆われた世界になるでしょう」と結論づけました。
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