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GoogleがAIを用いてAI専用プロセッサの開発を爆速化したことを発表


Googleは、機械学習に特化した専用プロセッサ「Tensor processing unit(TPU)」の開発を行っており、2021年5月には4世代目となる「TPU v4」を発表しました。新たにGoogleの研究チームは、TPUの開発にAIを用いることで開発速度を飛躍的に向上させたことを明らかにしています。

A graph placement methodology for fast chip design | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-03544-w

AI system outperforms humans in designing floorplans for microchips
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01515-9

Google’s AI approach to microchips is welcome — but needs care
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01507-9

Google is using AI to design its next generation of AI chips more quickly than humans can - The Verge
https://www.theverge.com/2021/6/10/22527476/google-machine-learning-chip-design-tpu-floorplanning

TPUなどのマイクロチップには、CPUやGPU、メモリコントローラーといった数多くのコンポーネントや、合計数キロメートルに及ぶ極細の配線などが含まれています。マイクロチップの開発段階には、これらのコンポーネントや配線のレイアウトを決定する「フロアプラン」と呼ばれる工程が存在していますが、研究チームによると、人間によるフロアプランには数カ月の時間がかかることもあるとのこと。そこで、研究チームはAIを用いてフロアプランの実行にかかる時間を短縮する手法を開発しました。

研究チームは、マイクロチップの基板をチェスや囲碁などのボードゲームの盤面、各コンポーネントや配線をチェスのコマや碁石になぞらえて、「AIにフロアプランを学習させることは、チェスや囲碁などのボードゲームを学習させることと類似している」と指摘。さらにAIが囲碁の世界チャンピオンを打ち負かした事実を挙げ、「AIは人間より優れたフロアプランを導き出せる」という主張を展開しています。

囲碁AI「AlphaGo」に敗北した世界チャンピオンが「AIを負かすことはできない」と棋士を引退 - GIGAZINE


研究チームは、消費電力・配線の長さ・マイクロチップの面積などのタグ付けを施した1万通りのフロアプランをAIに学習させることで、チップ面積が小さく省電力なレイアウトを導き出せるAIを開発しました。以下の図は、人間によるフロアプランのイメージ(左)とAIによるフロアプランのイメージ(右)を示しています。図を確認すると、人間によるフロアプランでは各コンポーネントが整然と並んでいるのに対して、AIによるフロアプランでは各コンポーネントがバラバラに分散した状態になっていることが分かります。


以下の写真は、実際にTPUのフロアプランを人間が実行した結果(左)とAIが実行した結果(右)です。機密保持のために写真にはボカシ加工が施されていますが、よく見るとAIによる結果は、人間による結果と比べて不規則なレイアウトであることが分かります。研究チームによると、このフロアプランの実行にかかった時間は人間が数週間、AIが6時間とのことで、AIがフロアプランを爆速で実行できることが示されました。


研究チームは、「今回開発したAIによるマイクロチップの開発手法は、何千時間もの人間の労働時間を節約することに役立つ可能性があります」「AIによって設計された強力なハードウェアが、AIの進歩を後押しするといった、AIとハードウェア間の共生関係が生まれることを信じています」と述べています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1o_hf

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