ジャガイモが体によい6つの理由とは？

ジャガイモは多くの国で安価な主食として普及している食材ですが、近年ではフライドポテトやポテトチップスに使われることが多くなり、「ジャガイモ＝ジャンクな食べ物」という印象を持っている人もいるかもしれません。ところが、実際にはジャガイモは人の体によい食材であるとして、「ジャガイモが体によい6つの理由」をイギリス・アストン大学で栄養学を教えるDuane Mellor氏が解説しています。

Six reasons why potatoes are good for you
https://theconversation.com/six-reasons-why-potatoes-are-good-for-you-160889

◆1：ビタミンC
多くの人は「ビタミンC」についてレモンなどのかんきつ類に豊富なイメージを持っていますが、実はジャガイモにもビタミンCが豊富に含まれています。150gほどの小さいジャガイモにも1日に必要なビタミンCの15％ほどが含まれているそうで、実際に20世紀のイギリス人にとってはジャガイモが主要なビタミンC供給源だったとのこと。

ビタミンCは免疫機能をサポートし、抗酸化物質を含んでいるだけでなく、骨や皮膚、結合組織などの形成・成長・修復に必要不可欠な栄養素です。ビタミンCが欠乏すると壊血病になり、皮膚や粘膜からの出血および歯の脱落といった症状が出ることもあります。

◆2：ビタミンB6
ビタミンB6は主要な栄養素の代謝に関わっているほか、100以上の酵素が適切に機能するのを助ける補酵素の役割を果たします。また、ビタミンB6はドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の生成にも必要であるため、しっかり摂取することでメンタルヘルスの改善につながる可能性もあるとのこと。小さなジャガイモには、推奨されているビタミンB6摂取量のうち約4分の1が含まれているそうです。

◆3：カリウム
人体に不可欠な電解質であるカリウムは、筋肉や神経の電気信号を調節するために必要な栄養素です。なんらかの原因で血中カリウム濃度が低下してしまう低カリウム血症や逆に血中カリウム濃度が高くなる高カリウム血症は、時として人を死に至らしめます。

カリウムは水に溶ける性質があるため、ボイルドポテトやマッシュポテトよりもフライドポテトなどの方が豊富にカリウムを含んでおり、皮付きのベイクドポテト1個には1日の推奨摂取量の3分の1が含まれているとのこと。なお、腎臓病の人は体内からカリウムを除去する能力が低下するため、高カリウム血症を避けるためにカリウム摂取量を制限する必要があります。

◆4：コリン
コリンは細胞膜を構成・保全したり、アセチルコリンとなって骨格筋や心臓などに神経刺激を伝達したりする役割を果たす栄養素で、卵や肉、大豆などに次いでジャガイモに多く含まれています。

脳・神経・筋肉にとって必要不可欠な栄養素であるコリンですが、遺伝子の影響でコリンを自ら作り出すことが難しい人もいることがわかっています。1個のベイクドポテトには1日に必要なコリンの10％が含まれているため、特に体内で胎児が発達している妊娠中の女性などにジャガイモがオススメだとMellor氏は述べています。

◆5：腸に優しい
調理したジャガイモを食べる前に冷やすと、デンプンでありながら消化されにくい難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)が形成されます。大腸まで届いたレジスタントスターチが発酵すると短鎖脂肪酸になり、腸内細菌の栄養源となったり、有害な腸内細菌の増殖を抑えたり、腸の動きを活発化させたりしてくれます。

◆6：グルテンフリー
一部の人は小麦などに含まれるタンパク質の一種・グルテンによって引き起こされるグルテン関連障害を有しており、小麦を使った料理を食べると下痢になったりアレルギー反応を起こしたりします。しかし、ジャガイモにはグルテンが含まれていないため、グルテン関連障害の人も安心して食べることが可能です。

Mellor氏は体重増加を懸念してジャガイモを避けている人に対し、ゆでたジャガイモは同じサイズのバナナよりもカロリーが少なく、油を使って揚げたりバターをたっぷり塗ったりしなければそれほど太らないと説明しています。また、ジャガイモは米よりも育てるのに必要な水の量が少なく、栽培に伴う温室効果ガスの排出量も米や小麦よりも少ないため、環境に優しい食品でもあるとのことです。