サイエンス

「音速超えの風速」や「メタンの雨」など太陽系に存在する異様な「天気」7つ


地球では異常気象が問題化していますが、宇宙レベルで見ると、地球の比ではない異常気象が至るところで起こっています。太陽系惑星で発生するスケールの違う異常気象を、科学系メディアのLive Scienceがまとめています。

7 solar system worlds where the weather is crazy | Live Science
https://www.livescience.com/craziest-weather-in-space.html

◆1:木星で起こる地球超えサイズのハリケーン
木星にある巨大な大赤斑は地球でも望遠鏡で確認できますが、これは1万8000km×1万2000kmから4万km×1万4000kmほど、およそ地球2~3個分の大きさだといわれています。大赤斑はハリケーンのように回転し、海の100倍の深さにまで根付いていると考えられるとのこと。近年の研究で大赤斑は縮小している可能性が示されていますが、一方で他のハリケーンを飲み込んでいるとも報告されています。

木星の異常気象は大赤斑だけにとどまりません。木星の南極と北極には複数のサイクロンが集合している場所があることがわかっています。

木星の縞模様の大気の下には「9つのサイクロンが密集」など地球の想像を絶する世界が存在することが判明 - GIGAZINE


◆2:地球の1万倍強力な土星の稲妻
2004年から2017年にかけて土星を周回したNASAの探査機カッシーニは、日中に稲妻が発生しているのを観測しました。この稲妻のボルト数は地球で発生するものの1万倍であるとNASAは報告しています

土星は時々30万キロメートルに及ぶ嵐を発生させ、惑星全体を覆ってしまうことがあります。またカッシーニは土星の北極に存在する六角形のジェット気流の様子も観測しています。


◆3:電力網をダウンさせる太陽嵐
太陽嵐は、太陽で大規模な太陽フレアが発生した時に太陽風が爆発的に放出され、その電磁波や粒子などが地球などに注がれる現象をいいます。多くの場合、太陽嵐は地球上の生活に影響しないのですが、大規模な太陽嵐は地球上の磁場を乱し、送電網に影響を与えることがあります。実際に、1859年、1872年、1909年、1921年、1989年、2012年に大規模な太陽嵐が発生し、1989年にはカナダで大規模な停電が発生しました。

太陽嵐について、以下の記事からその仕組みや影響を詳しく読むことが可能です。

地球に多大な影響を与えうる太陽活動「太陽フレア」「コロナ質量放出」とは何なのか? - GIGAZINE


◆4:惑星よりも早く移動する金星の渦
金星の南極には、ヨーロッパを覆うほどに巨大な渦が存在します。欧州宇宙機関によると、この渦は金星の回転速度の60倍にあたる、時速400kmで移動するとのこと。


また金星はガスで覆われており、温室効果によって大気がセ氏465度に達する可能性があります。硫酸の雨が降るものの、雲からすぐに落下して蒸発するため、地面に到達することはないそうです。

◆5:音速よりも速い海王星の風
太陽から最も遠い惑星である海王星では、太陽系で最も速い風が吹いています。その風は時速2100km以上、つまり音速の1.6倍の速度に達する可能性があるとのこと。この風は大暗斑と呼ばれる巨大な嵐を引き起こしました。


大暗斑は1989年にボイジャー2号によって観測されましたが、その5年後には消失。これをきっかけに科学者らが海王星を観測し続けたところ、巨大な嵐をいくつか観測したとのこと。多くの嵐は惑星の赤道に向けて南下しますが、2020年には南下したもののUターンして北上するという、他とは違った動きの嵐が観測され、科学者を困惑させました。

◆6:火星の竜巻
アフリカ北部のサハラ砂漠やアラビア半島などではハブーブと呼ばれる強い嵐が起こります。


火星ではハブーブのような砂嵐が数年ごとに規則的に発生します。これは太陽が大気を熱することでチリが舞い上がるためだと考えられてていますが、なぜこんなにも大きな砂嵐に発展するのかという理由は科学的に解明されていません。この砂嵐は、火星探査機のマーズ・ローバーに頻繁に問題を引き起こしました。

この嵐は時に塵旋風も発生させるとのこと。2012年に発生した高さ800メートル・直径30メートルの巨大な塵旋風は、地球からも観測されました。


◆7:降り注ぐメタンの雨
土星最大の衛星であるタイタンは、太陽系の中でも謎めいた存在。

タイタンでは、メタンが地表から蒸発して雲を形成した後、雨として降ることがあります。アイダホ大学の物理学者であるRajani Dhingra氏によると、タイタンでは重力が弱く分厚い霧が存在するため、雨がゆっくりと降るそうです。タイタンの水循環ならぬメタン循環は、メタンとエタンの巨大な湖「クラーケン海」を作り出し、その深さは300メートルに及ぶとみられています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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