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Appleが13億円超の罰金をApp Storeからカスペルスキーのアプリを削除した問題で科される


2019年3月、ロシアのコンピューターセキュリティ会社であるカスペルスキーが「AppleはApp Storeのプラットフォーム所有者としての立場を乱用している」として、ロシアの公正取引委員会であるロシア連邦反独占局(FAS)にAppleを訴えました。そしてFASは2021年4月26日、独占禁止法違反でAppleに9億600万ルーブル(約13億1700万円)の罰金を支払うように命じました。

ФАС России | ФАС оштрафовала Apple на 12 миллионов долларов США
https://fas.gov.ru/news/31268


Russia Fines Apple $12M for Blocking Third Party Apps - The Moscow Times
https://www.themoscowtimes.com/2021/04/27/apple-a73757

Russia fines Apple $12 mln for alleged app market abuse | Reuters
https://www.reuters.com/business/retail-consumer/russian-competition-watchdog-fines-apple-12-mln-abusing-dominant-position-2021-04-27/

Apple fined $12M in Russia over alleged app market abuse | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/04/27/apple-fined-12m-in-russia-over-alleged-app-market-abuse

問題の原因となったのは、カスペルスキーがApp Storeで販売していたペアレンタルコントロールアプリの「Kaspersky Safe Kids」を巡る騒動です。Appleは2018年、カスペルスキーに対して「Kaspersky Safe KidsはiOS内のプロファイル設定を使用しており、App Storeの規約に違反している」として一部機能の削除を求めましたが、カスペルスキーは機能がアプリに必要不可欠なものだとして拒否。その後、AppleはApp StoreにおけるKaspersky Safe Kidsの販売を差し止めました。

同時期にAppleから取り締まりを受けたのはKaspersky Safe Kidsだけではなく、これ以外にも複数のペアレンタルコントロールアプリが2018年後半に販売差し止めとなっていました。この動きについてカスペルスキーは、Appleが2018年に実装した「スクリーンタイム」が、ペアレンタルコントロールアプリの取り締まりに影響していると指摘。スクリーンタイムはアプリやウェブサイトに費やした時間を表示する機能であり、ペアレンタルコントロールアプリと重複する機能が多いことから、スクリーンタイムの実装とアプリの締め出しが同時期に起きたのは偶然ではないと主張しています。

そしてカスペルスキーは2019年3月に、Appleが市場における支配的な立場を乱用して意図的な独占状態を作り出したとしてFASに訴えました。

「Appleは自社アプリのために他社アプリをApp Storeから削除している」としてカスペルスキーがAppleを独占禁止法違反で訴える - GIGAZINE

by Koisny

カスペルスキーの訴えを受けたFASは、AppleがiOSアプリ市場における支配的な立場を用いて反競争的な行為を行っていたと判断し、2020年8月にサードパーティーのアプリを拒否する権利を抑制する業務改善命令を出しました。

ロシア連邦反独占庁、App Storeでの反競争行為についてAppleに改善命令 | 財経新聞
https://www.zaikei.co.jp/article/20200830/582993.html


さらにFASは、この業務改善命令のフォローアップとして、2021年4月26日にAppleに対して9億600万ルーブルの罰金を支払うように命じました。FASは声明の中で、「Appleは自社製品の競争優位性につながる一連のアクションで、iOSのモバイルアプリ配布における支配的な立場を悪用し、同時に競合製品の配布条件を悪化させていたことが判明しました」と述べています。

AppleはFASの罰金命令に関する声明の中で、「私たちはカスペルスキーと協力して、子どもを保護するために制定されたルールに準拠したアプリを入手しました」とコメント。この言葉の通り、記事作成時点では新たなKaspersky Safe KidsアプリがApp Storeでリリースされています。

今回の罰金はAppleにダメージを与えるほどの額ではないものの、ロシアが巨大テクノロジー企業の活動を抑制する試みを活発化させている事例の1つといえます。なお、AppleはFASの決定に引き続き上訴すると述べており、罰金命令は上訴によって停止されたとのことです。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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