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読唇術で読み取るのが最も難しい言語とは?


唇の動きを見て何を話しているのかを読み取る読唇術は、言語によってその難易度が異なります。世界に6000以上ある言語のうち、読唇術を行うのが難しいのはどの言語なのか、なぜ難しいのかを、ライターのDan Nosowitz氏が解説しています。

What Is the Hardest Language in the World to Lipread? - Atlas Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/lipreading-around-the-world

読唇術を行う時に必要不可欠な要素は、話者の視覚的な情報です。唇の動きや目の動き、喉の動きなど、体が表現するさまざまな動きが読唇術の助けとなり、話者の意図を正確に把握することにつながります。


Nosowitz氏は「読唇術を行うのが難しい言語」をはっきりと断定することは困難だと話します。なぜならば、読唇術の習得には個人の経験が大きく影響し、また特定の言語に精通している人が他の言語に精通しているとも限らないため、習得の容易さを客観的に判断するには多くの推測を必要とするとのこと。それでも、いくつかの条件の下で例を挙げると、読唇術を行うのが難しい言語はヘブライ語やチェチェン語、日本語、ヒンディー語やタミル語などのインドで話されている言葉であるとNosowitz氏は指摘します。

「d」「g」「n」「k」といった、唇に頼らず発生する音は一般的に目で認識するのが難しいとされ、これらが多く使われる言語は読唇術が難しいはずだとNosowitz氏は述べています。また、ヘブライ語やチェチェン語に多い、口の奥で調音する「喉音」、日本語や中国語にみられる、音の高低で単語の意味を区別する「声調」を使う言語は目視だけでは判断がつきにくく、読唇術が難しいとNosowitz氏は指摘。


加えて、文化的な観点から読唇術が難しい言語も存在します。熊本大学の研究によると、日本語話者は英語話者よりも会話に視覚的情報を必要とせず、聴覚のみに重点を置いていることが明らかになっています。また、日本人は北米圏の人々ほど会話の際に感情を露呈しないという研究もあり、会話の際に視覚的に目立つ要素が少ない日本語は読唇術が難しいと考えられています。他にも、唇の動きを隠す口ひげも視覚的要素を弱める原因だとNosowitz氏は指摘。インド圏の言語で読唇術を行うのが難しい理由の1つに、インド人には口ひげを生やしている人が多いことが挙げられています。


読唇術に必要なのは言語に使われる音素を把握することだけでなく、文全体を理解すること、そして視覚的な手がかりをつかむことだとNosowitz氏は述べていますが、読唇術だけで話者の意図をすべて把握することは難しいとも指摘しています。

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in Posted by log1p_kr

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