8兆円以上の利益をGoogleがタックスヘイブンで上げていたことが判明
GoogleやAppleなどの大企業は、税率の低いタックスヘイブンと呼ばれる地域に関連会社を設立することで、税金の支払いを回避しています。しかし、大企業が税金の支払いを回避することで国に不利益が生じるケースもあり、国が企業に対して訴訟を起こすケースも発生しています。そんな中、Googleが2019年に、租税回避に利用しているアイルランドで8兆円以上の売上を獲得していたことが明らかになりました。
Google used ‘double-Irish’ to shift $75.4bn in profits out of Ireland
https://www.irishtimes.com/business/technology/google-used-double-irish-to-shift-75-4bn-in-profits-out-of-ireland-1.4540519
アイルランドには「国外から管理される企業には法人税を課さない」という法律があります。そのため、企業はアイルランドに「海外事業拠点となる子会社(会社A)」と「ライセンス付与だけを行う子会社(会社B)」の2つの会社を設立し、会社Bを介して本社のライセンスを会社Aに付与しつつ会社Bを「アイルランド国外のタックスヘイブンに設立したペーパーカンパニー」から管理することによって、多額の税金の支払いを免れることができます。この節税方法は「ダブルアイリッシュ」と呼ばれ、GoogleやApple、Facebookなどの大企業に利用されてきました。
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By Jakob Esben H.
しかし2015年に行われたアイルランドの法改正によって、ダブルアイリッシュの利用は2020年から禁止されることになり、GoogleやFacebookはアイルランドを利用した租税回避を縮小しています。
そんな中、Googleの収支報告から、Googleがダブルアイリッシュを利用した最後の年にアイルランドで630億ユーロ(約8兆1840億円)もの利益を上げていたことが明らかになりました。また、4000人の従業員を抱えるGoogleの海外事業拠点「Google Ireland」は457億ユーロ(約5兆9300億円)の収益を得たものの、わずか2億6300万ユーロ(約341億円)しか税金を支払っていなかったことも判明しています。
Googleの広報担当者は、「2019年12月に、Googleはアメリカとアイルランドの法改正に対応するために、アイルランドの子会社をアメリカから管理するように変更しました。今回の収支報告は、変更前の2019年のものです」「過去10年間でGoogleの実効税率は20%を超えており、その80%がアメリカに支払われています」と述べ、Googleが租税回避を縮小していることとアメリカへ多額の税を納めていることを強調しています。
なお、アメリカ国内でも、デラウェア州の法律を利用した法人所得税の節約手法「デラウェアの抜け穴」などの租税回避手法が広く用いられており、企業の租税回避に対する各国の対応に注目が集まっています。
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