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「計算機科学のノーベル賞」ことチューリング賞がコンパイラの改良に貢献した2人の研究者に贈られる


「計算機科学のノーベル賞」ともいわれるチューリング賞が、コンピューター科学者のジェフリー・ウルマン氏とアルフレッド・エイホ氏に授与されることが発表されました。プログラミング言語のコンパイラへの多大な貢献のほか、強い影響力を持つ教科書を執筆した功績などが評価されたとのことです。

Jeffrey Ullman receives ACM Turing Award | Stanford News
https://news.stanford.edu/2021/03/31/jeffrey-ullman-receives-acm-turing-award/

Turing Award Goes to Creators of Computer Programming Building Blocks - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/03/31/technology/turing-award-aho-ullman.html

ACM Turing Award honors innovators who shaped computer programming | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-03/afcm-ata033021.php


スタンフォード大学の名誉教授であるウルマン氏とコロンビア大学の名誉教授であるエイホ氏は、プリンストン大学の大学院で出会ったとのこと。2人はプリンストン大学で博士号を取得した後、1967年からベル研究所で研究者として働き始め、プログラミング言語の解析や変換のためのアルゴリズムを研究しました。

2人はプログラミング言語の理論や実装、アルゴリズムの設計や分析の基盤を数十年にわたって形成してきたとのことで、中でもプログラミング言語のコンパイラに多大な貢献をしたことで知られています。コンパイラは、人間が記述した高水準言語によるソースコードを、コンピューターが実行できる低水準のコードに変換するプログラムであり、ソフトウェア開発において非常に重要な部分です。現代でも使用されるコンパイラ技術の多くに、ウルマン氏とエイホ氏の研究が役立っているとのこと。

コンパイラはさまざまなソフトウェアの基盤となる技術であり、現代社会の至る所に影響を与えています。エイホ氏に師事したMicrosoftの研究者・Krysta Svore氏は、「(2人の業績がなければ)私たちはスマートフォン用のアプリを書くことができなかったでしょう。現代の私たちが乗っているような車もありません」とコメントしています。

また、2人は影響力のある計算機科学の教科書を共同執筆したことでも知られており、「Design and Analysis of Computer Algorithms(アルゴリズムの設計と解析)」や「Principles of Compiler Design(コンパイラ―原理・技法・ツール)」は、多くの計算機科学を勉強する人々にとって必読の書となりました。


2021年3月31日、計算機分野の国際学会であるAssociation for Computing Machinery(ACM/計算機協会)は、ウルマン氏とエイホ氏にチューリング賞を授与することを決定しました。チューリング賞は「計算機科学の父」であるアラン・チューリングにちなんで名付けられたものであり、計算機科学における「永続的な重要性を持つ主要な業績」をたたえる賞です。

チューリング賞はGoogleの支援によって100万ドル(約1億1000万円)の賞金が用意されており、ウルマン氏とエイホ氏で賞金を分け合うことになります。計算機協会のGabriele Kotsis会長は、ウルマン氏とエイホ氏の業績はコンパイラやプログラミング言語の設計において大きな影響力を持っているとして、「彼らの仕事は今日まで何世代にもわたるプログラマーや研究者を導いてきました」とコメントしています。

ウルマン氏はチューリング賞の受賞を受けて、「私は幸せに死ぬことができますね」とユーモアを交えてコメント。「私がチューリング賞を受賞するとは予想していませんでした。エイホと私が行った貢献は通常であればチューリング賞を受賞するようなものではありませんでしたが、このように認められたことを大変光栄に思います」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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