【訃報】NASAのシンボルをデザインしたブルース・ブラックバーン氏死去
「ワーム」として知られるアメリカ航空宇宙局(NASA)の赤い4文字のシンボルや、1976年の独立戦争200周年記念ロゴなど、近代的でミニマルなデザインに定評のあったグラフィックデザイナーのブルース・ブラックバーン氏が、アメリカ・コロラド州の介護施設で2021年2月1日に亡くなったことがわかりました。82歳でした。
Bruce Blackburn, Designer of Ubiquitous NASA Logo, Dies at 82 - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/02/18/us/bruce-blackburn-dead.html
ブラックバーン氏が考案したNASAのシンボルが以下。赤く太い文字で「NASA」と書いただけのシンプルなデザインで、特に2つの「A」はロケットを思わせるデザインになっているのが特徴。ブラックバーン氏が考案したシンボルは、その見た目から「ワーム」と呼ばれました。
なお、1958年のNASA設立時に採用された初代シンボルは以下。
また、記事作成時点でNASAが採用しているシンボルは1959年にデザインされた2代目で、「ミートボール」と呼ばれるもの。1992年にワームシンボルが廃止された後、再びNASAのロゴに採用されました。
1960年代のアポロ計画によって、アメリカの宇宙開拓計画に世界中の注目が集まり、NASAはより先進的なイメージを打ち出したいと考えました。そこで、1959年から使われてきたミートボールシンボルを廃止して、別のデザインを募集。この発注を受けたのが、ニューヨークで「ダン&ブラックバーン」という小さなデザイン会社を経営していたブラックバーン氏と同僚のリチャード・ダン氏でした。
ブラックバーン氏らが考案したワームシンボルは採用され、1975年から公的に使われるようになりました。しかし、1992年にNASAは組織刷新の一環でワームシンボルを廃止し、先代であるミートボールシンボルを再び採用しました。
ブラックバーン氏はミートボールシンボルを「不器用かつずさんで、未来を代表するようなシンボルではない」と評価しており、ワームシンボルが廃止されてミートボールシンボルが再採用されたことに対し、強い憤りを表わしたそうです。
しかし、NASAが2020年に打ち上げロケットにSpaceXのファルコン9を採用した際、ワームシンボルは再び日の目を見ることとなり、打ち上げロケットの側面に大きく描かれました。ブラックバーン氏の娘は、「父は自分のデザインしたワームシンボルが宇宙に戻ったことを知り、うれしかったと思います」と語りました。
by NASA HQ PHOTO
ブラックバーン氏は1976年にアメリカ独立戦争200周年記念シンボルもデザインしています。星条旗に使われている赤・白・青の3色を使い、やわらかな曲線の中に白い星を作るデザインで、切手からコーヒーマグまであらゆるものにプリントされました。
2016年に公開された、ブラックバーン氏を追いかけた短編ドキュメンタリー映画「Blackburn」の中で、ブラックバーン氏は自身のデザインスタイルについて「プログラマティックなもので、一般の人々に目にイメージを育む永続的なもの」と説明し、「デザインの芸術とは問題の解決であり、視覚的な生命の息吹を与えてくれるものです」と語っています。
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