レビュー

小説や映画を「テーマ」や「内容」から逆引きできる「物語要素事典」


人類は数千年にわたり「物語」を愛し続けており、古今東西にさまざまなテーマを持つ物語が存在します。そんな物語の内容やテーマから映画・小説といった作品を調べられる「物語要素事典」が愛知学院大学文学教授の神山重彦氏によって公開されています。

物語要素事典
http://www.aichi-gakuin.ac.jp/~kamiyama/index.html

上記URLにアクセスすると、以下のようなページが開きます。画面左側に索引、画面右側に物語要素の目次が五十音順に並んでいます。


たとえば「う」の一覧にある「ウロボロス」をクリックすると……


「ウロボロス」を扱った作品タイトルと、作品の概要がずらっと表示されます。


ウロボロスは以下7つの項目で構成されており、己の尾を噛んで環となったヘビもしくは竜を図案化したものという本来の意味合いから派生して、「始まりも終わりも無いもの」を扱った物語がまとめられており、非常に興味深いです。

1.自分の尾をくわえて円環状になる蛇や魚。
2.「自分の足指を用いて妊娠する女」というのは、「自分の尾をくわえる蛇」と同類のものであろう。
3.自分の尾をくわえて回転する犬。
4.自分の排泄物を主食とする虫。
5.自分の頭の池へ身投げする男。
6.自分の持つ瓶(びん)の中へ落ちる男。
7.自分の身体から自分自身を産み出す女。

また「1」に含まれる「南島の神話」ではウロボロスと地震との関連が描かれており、「地震」というワードへのリンクがあったのでクリックしてみると……


こんな感じで地震のうち「地震を防ぐ重石」という項目に飛びます。地震とウロボロスを結び付けた物語は2つありました。


さらに、古今東西のテーマである「母子婚」をクリックしてみると……


これも「互いに母であり息子であることを知らずに、性関係を結ぶ」「互いに母であり息子であることを知りつつ、性関係を結ぶ」「母親との性関係を夢想する」「男が誰もいないので、女が自分の産んだ息子と交わる」「男が誰もいないので、女が自分の産んだ息子と交わり、さらに孫とも交わる」「神々の母子婚」「青年が、母親同然の年配の中年女と性交する」とさまざまなバリエーションがあったほか、「母が転生して、息子と結婚する」という項目への関連リンクもありました。


物語要素事典が扱っているのは日本の物語だけではなく、「麻薬」という項目の中には太宰治の「斜陽」のほか、コナン・ドイルの「四つの署名」、スタンリー・キューブリックの「アイズ ワイド シャット」など、海外小説や映画作品も含まれていました。


画面左には作者・作品の索引があり……


試しに「た」をクリックしてみたところ、ブラウザの右側に「ダーティハリー」「ターミネーター」といった作品名が並びました。なお、ダーティハリーは「ロシアン・ルーレット」、ターミネーターは「時間旅行」といった「要素」で登録されていました。

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in レビュー, Posted by darkhorse_log

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