「飲食店の許可なく勝手に食事配達サービスのパートナー店リストに加える」ことを禁じる法律が施行される
2021年1月1日から、「フードデリバリーサービスが飲食店と明示的な契約を締結することなく食事の配達を手配することを禁止する法律」がアメリカ・カリフォルニア州で施行されました。その影響により、Uber Eats、DoorDash、Postmatesなどのアプリから大量の飲食店が削除されたと報じられています。
Why Thousands of Restaurants Were Removed From GrubHub, Postmates, and DoorDash - Eater SF
https://sf.eater.com/2021/1/4/22213402/restaurants-removed-postmates-grubhub-california-law-2021
Uproar Over Grubhub's Kin Khao Debacle Leads to New Law Prohibiting 'Non-Consensual' Restaurant Listings
https://sfist.com/2021/01/04/uproar-over-doordash-and-sf-ghost-kitchens-leads-to-new-law-prohibiting-non-consensual-restaurant-listings/
新型コロナウイルス感染症の影響により外出や外食が制限されたことで、レストランの食事を自宅の玄関に届けてくれるフードデリバリーサービスの市場規模は急拡大しました。しかし、フードデリバリーサービスが成長している傍らでは、「飲食店が配達サービス対象店リストに勝手に記載される」ことが問題化していると指摘されています。
飲食店がフードデリバリーサービスの対象となれば、客の間口が広がり料理の注文も増えるため、飲食店にとってはメリットだらけなようにも思えます。しかし、正式に対応してないフードデリバリーサービス経由で注文を受けると、「サービス側の不手際による注文の取り違えが多発する」「メニューや価格を改訂してもフードデリバリーサービスに反映されず、クレームの原因となる」といったトラブルがしばしば発生するため、飲食店側からは反発する声が上がっています。
具体的にどのような問題が起きているかは、以下の記事を読むと良く分かります。
便利な出前代行サービスの裏でレストラン側が泣いているという証言 - GIGAZINE
こうした問題を背景に、カリフォルニア州議会は2020年9月に「2020年公正な食事配達法(通称:議会法案第2149号)」を制定し、2021年1月1日から正式に施行しました。この法律により、フードデリバリーサービスは飲食店と「食事の配達に関する明示的な契約」を事前に取り交わさない限り、食事の配達を受注することができなくなります。
この法律が制定される契機となったのは、2020年1月にサンフランシスコにあるタイ料理店「Kin Khao」のオーナーであるPim Techamuanvivit氏がTwitterに投稿した、「フードデリバリーサービスにKin Khaoの偽のメニューが掲載されている」というツイートです。
GrubhubやYelpにKin Khaoをかたった偽情報が掲載されていることを訴えたTechamuanvivit氏のツイートは、記事作成時点で合計3000件以上のリツイートや5000件を超える「いいね」が寄せられるなどの注目を集め、フードデリバリーサービスの横暴なふるまいが取り沙汰されるきっかけとなりました。
I told him we’ve never been on it, not in our entirely lifetime as @kinkhao. He sounded really confused, so we said goodbye and I hung up the phone. Then I got a little curious, so I went into the office and googled “kin khao delivery”, and guess what came up.. pic.twitter.com/cptMoYtoZu
— Pim Techamuanvivit (@chezpim) January 26, 2020
ウォール・ストリート・ジャーナルの調べによると、Uber傘下のフードデリバリーサービスであるPostmatesのアプリには、2020年9月の時点で70万店の飲食店が掲載されていましたが、そのうち正式な契約を結んでいるのはわずか11万5000店に過ぎなかったとのこと。そのため、Postmatesは2020年9月に「カリフォルニア州だけでも4万店以上の飲食店を有料パートナーシップに変更したり、リストから削除したりしなければならない」と発表していました。
また、ニューヨーク州やペンシルベニア州フィラデルフィアをはじめとするさまざまな州や都市がカリフォルニア州に追随する動きを見せているほか、ミネソタ州ミネアポリスでは既に同様の法律が制定されており、今後フードデリバリーサービスはカリフォルニア州以外の地域でも厳しい対応を迫られると見られています。
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