メモ

「太陽光発電で生じた電力を使い切れない」ということの何が問題なのか?


パリ協定以降、多くの国が自国から排出される温室効果ガスを削減する試みを続けており、その一環として、化石燃料を使った既存の発電方法から太陽光や風力など二酸化炭素を排出しない発電方法への転換が進められているところもあります。こうした施策により電力のほとんどを太陽光発電で賄えるようになる地域も現れ始めたのですが、一方で過剰な発電による別の課題に直面しているとして、ローカルニュースサイトのSFGATEがカリフォルニア州の事例を挙げて問題点を解説しています。

California can't use all its solar power. That's a huge problem.
https://www.sfgate.com/tech/article/california-solar-power-oversupply-problem-19953942.php

California’s Growing Solar and Wind Problem – EcoBlock
https://ecoblock.berkeley.edu/blog/californias-growing-solar-and-wind-problem/

カリフォルニア州は、いわゆる「カーボンフリー」の電力エネルギー源への移行を野心的に進めている州の1つで、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで2030年までに電力の60%を賄い、2045年までにこの割合を100%にまで伸ばすことを州法で義務づけています。現に、2022年4月3日には一時的に電力供給源の97.6%を再生可能エネルギーが占めた状態となり、目標達成に向けて着々と進んでいることが明らかになっています。

カリフォルニア州の電力網で再生可能エネルギーの割合が97.6%を記録 - GIGAZINE


ところが、カリフォルニア州では過剰な発電による電力の余剰が問題になっています。SFGATEによると、カリフォルニア州の太陽光発電所は2024年の1年間に300万メガワット時以上の電力生産を抑制(減速または停止)していて、この電力量はカリフォルニア州の平均的な家庭51万8000世帯の1年分の電力に相当するとのこと。

さらに、余った電力を他の州に引き取ってもらうために発電所がお金を払わなければならないというパターンもあり、単純に発電すればするほどもうかるわけではないという状況にあるといいます。これは、太陽光発電の電力を貯蔵したり移動したりするインフラが整っていないために起こるそうです。


このように、発電能力だけが進歩し、蓄電や給電能力が追いついていないという状況はカリフォルニア州以外でも見られており、このままだと電気を消費すればするほどお金がもらえる時代が訪れるかもしれないと分析する専門家もいるほどです。

太陽光発電が普及すると「電気を消費するほど報酬がもらえる」時代が来るかもしれない - GIGAZINE


カリフォルニア州のソーラーパネル建設量はアメリカで最も多く、また北アメリカ最大級の太陽光発電所も抱えています。2023年にはカリフォルニア州だけでアメリカ全土の太陽光発電量の4分の1を占めるなど、太陽光発電の聖地としても知られていますが、蓄電や給電設備は発電設備ほど充実していません。

おまけに、太陽光発電所の建設や発電にかかるコストを鑑みてカリフォルニア州の電気料金は全国平均の約2~3倍になっていることに加え、前述のように他の州へ電力を売り払った場合、他の州民の電気料金はカリフォルニア州民より安価になるか、あるいは無料になることがあり、不公平が生じているとのことです。


SFGATEは「明確な解決策はバッテリーを増設することですが、その技術は太陽光発電に比べて遅れており、インフラ整備も追いついていません。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は『政権発足以来、州内のバッテリーが1250%増加した』と宣伝しましたが、まだまだ先は長いと考えられます」と指摘しました。

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in Posted by log1p_kr

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