メモ

違法だった「ジェイウォーキング」が人種差別の温床となっている


歩行者が交差点で横断歩道以外の場所を歩いたり、交通規則を無視して道路を横断したりすることを、英語で「ジェイウォーキング」と呼びます。ジェイウォーキングはヨーロッパ諸国では基本的に合法となっていますが、アメリカでは犯罪行為として取り締まる州が多く、警察に捕まって罰金を科されることも。そんなジェイウォーキングが「アメリカにおける人種差別の温床になっている」と指摘されています。

Jaywalking decriminalization is coming, 100 years after the auto industry helped make it a crime - Virginia Mercury
https://www.virginiamercury.com/2020/12/21/jaywalking-decriminalization-is-coming-to-virginia-100-years-after-the-auto-industry-helped-make-it-a-crime/

自動車大国であるアメリカの歴史は、交通事故との戦いの中にありました。自動車が社会全体に普及しはじめる1920年までに、アメリカで発生した交通事故による死者はすでに20万人を超えていたとのこと。

交通事故の多発を受けて、自動車業界は「交通事故の原因は車の運転手ではなく、車道を好き勝手に横断しようとする歩行者にある」とするジェイウォーキングキャンペーンを展開。これによって、ジェイウォーキングは警察に取り締まられる違法行為となりました。


ジェイウォーキングが違法行為となったことで、警察が歩行者を取り締まるケースが増加します。特に、アフリカ系アメリカ人は「黒人が歩いている」というだけで警察から呼び止められて職務質問を受けることもあり、これに不満を抱く人も多くいるそうです。

実際、2019年に行われたニューヨーク市警での調査結果によれば、警官が「違法・危険横断」と書かれたチケットを発行した市民のうち90%が黒人あるいはヒスパニック系であったことがわかっています。


また、フロリダ州での調査でも、黒人の居住者のうち78%が「歩道のある車道を歩いてください」というチケットを警察から発行されたことがあると答えていましたが、市民全体ではチケットをもらったのは29%だったとのこと。

バージニア州アーリントン市の場合、アフリカ系アメリカ人は市の人口全体の10~12%であるにもかかわらず、警察に呼び止められたことのある歩行者のおよそ65%が黒人だったことが判明しています。


バージニア州のパトリック・ホープ下院議員は、2020年秋に行われた特別議会で、「ジェイウォーキング」を合法化するような法案を提出しました。この法案が可決されれば、歩行者が車道の横断を理由に警察に逮捕されたり罰金を徴収されたりすることは、少なくともバージニア州ではなくなります。

バージニア州では歩行者の交通事故による死亡率の上昇が問題視されており、「ジェイウォーキングを合法化することは歩行者をさらに危険な目に合わせるのではないか」と懸念する声も挙がっています。しかし、刑事司法改革を訴える人たちは「ジェイウォーキングの合法化は、特に有色人種の人たちにとって、警察とのもめごとを減らすためには重要な1歩です」と訴えています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
走行中の車内で聞こえる騒音を大幅に減らす「自動車用ノイズキャンセリング機能」が開発される - GIGAZINE

運転中に道路情報や音楽を流す車載システムを使用すると「飲酒運転よりも反応が遅くなる」という研究結果 - GIGAZINE

Amazonで購入可能な偽ブランドのチャイルドシートは安全基準を全く満たしていないとの検証結果 - GIGAZINE

交通事故のリスクを下げる安全機能を搭載した車で保険料が高くなるケースがある - GIGAZINE

ホノルルのど真ん中に「ハワイ出雲大社」があるとのことなのでラブ&ピースで参拝してきた - GIGAZINE

「運転席のない」自動運転車の一般道走行が許可される - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.