世界最大級の電波望遠鏡を持つ「アレシボ天文台」が崩壊する瞬間の映像が公開される
アメリカ国立科学財団(NSF)・SRIインターナショナル・全米天文学大学連合・プエルトリコ・メトロポリタン大学のもと運営されているプエルトリコのアレシボにある電波天文台「アレシボ天文台」で、2020年12月1日に900トン超の受信機が140メートル落下し、主鏡を粉砕するという事故が起きました。この事故の様子を捉えた新しい映像がNSFにより公開されています。
Arecibo News Media | National Science Foundation
https://www.nsf.gov/news/special_reports/arecibo/
Drone footage shows the shocking collapse of the Arecibo Observatory - The Verge
https://www.theverge.com/22150330/arecibo-observatory-collapse-drone-footage-video
Exact moment of Arecibo telescope collapse captured on video
https://mashable.com/article/arecibo-telescope-collapse-video/
1963年に建設されたアレシボ天文台の電波望遠鏡は、50年以上にわたって「世界最大の電波望遠鏡」の座に君臨してきました。数々の惑星観測で活躍してきた同天文台ですが、2020年に入って2度の大事故を起こしたため、11月には解体が決定しています。この解体計画の詳細が決まる前の現地時間2020年12月1日7時53分頃、空中に吊られた900トン超の受信機が落下し、電波望遠鏡の主鏡が壊れるという事故が発生しました。
アレシボ天文台の900トン超の受信機が落下して主鏡を粉砕 - GIGAZINE
事故発生後のアレシボ天文台の様子を撮影した映像は、一般市民やメディアにより公開されていたのですが、新たに事故発生の瞬間を捉えた映像をNSFが公開しています。崩壊の瞬間の映像は、アレシボ天文台のオペレーションコントロールセンターにあるカメラと、ドローンのカメラの2台で撮影されたそうです。
最初の映像はアレシボ天文台のオペレーションコントロールセンターに設置されたカメラで撮影されたもの。空中に吊り上げられているのが、アレシボ天文台の電波望遠鏡用受信機。受信機は約900トンの重量があり、18本のケーブルで地上150メートルの位置に吊されていました。
この受信機は複数のケーブルで吊り上げられているわけですが、風に吹かれてか突如ゆらゆらと揺れ……
ケーブルが断線。受信機の左方向に伸びるケーブルが粉を吹きながら断線しているのがわかります。
受信機の右方向に伸びるケーブルが断線していないため、振り子のように落下して……
ガシャン
最後は画面上から受信機もケーブルも姿を消してしまいました。
ここからはケーブルを固定している塔の先端を撮影していたドローンの映像になります。
ケーブルが固定された部分から煙のようなものがあがったかと思うと、突如ケーブルの1本が断線。
続いて残り2本のケーブルも断線します。
ドローンの操縦者が慌てて消えたケーブルの方向にカメラを回転させると……
すでに受信機が主鏡に落下しているのがわかります。
ドローンなのでそのまま高度を上げていき、事故時のアレシボ天文台の全体像を捉えて映像は終了。
NSFのプログラムマネージャーであるアシュリー・ザウデラー氏は、記者会見の中で「我々は幸運だったと思います。ドローンのオペレーターが事故の瞬間を見て、カメラを向けることに成功しました」と語り、ドローンで事故の瞬間を撮影することに成功したのは偶然であるとしています。
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