Facebookを支える広告事業は飽和状態に達しつつある
Googleと並んで世界最大の広告企業として成功を収めるFacebookですが、その広告事業が飽和状態にあると報じられています。Facebookが収益を増加させるには「プラットフォームに表示する広告数を増やす」「他のプラットフォームを買収する」といった方法が考えられますが、どれも手段として選択できない状況になっているとのことです。
Facebook Ads Could Be Reaching Saturation Point - WSJ
https://www.wsj.com/articles/facebook-ads-could-be-reaching-saturation-point-11606132807
Are Facebook Ads at Saturation as Users Seek Other Venues? – 24/7 Wall St.
https://247wallst.com/media/2020/11/23/are-facebook-ads-at-saturation-as-users-seek-other-venues/
2020年6月、Facebookの人種差別への対策が不十分であるとして、大手企業などがFacebook上での広告出稿を取りやめるボイコット運動を実施。それにもかかわらず、Facebookは収益を増加させたことが話題となりました。また、2020年10月29日に発表されたFacebookの第3四半期業績報告によると、同社の収益は前年同期比で22%増を記録しており、広告ボイコットにもかかわらず大きく成長しています。
このように2020年は収益を大きく増加させたFacebookですが、その業績は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行やロックダウンの影響でオフラインからオンラインへの移行が加速したことが理由だとみられています。このため、ワクチン開発によって2021年以降は逆の現象が起こり、収益が減少する可能性もあります。Facebook自身、決算報告の際に2021年の成長が鈍化する可能性があると示唆しました。
またFacebookは2012年にInstagramを10億円(当時のレートで約810億円)で買収しましたが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2020年時点でFacebookの広告収入のうち4分の1はInstagramによるものとのこと。
Facebookの年間収益は708億ドル(約7兆5000億円)に達しますが、その98.5%が広告収入となっています。このためFacebookが収益を増やすためにはプラットフォーム上に表示する広告の数を増加させるか、もしくは広告表示のためのプラットフォームを増やす(買収する)ことが考えられます。
しかし、FacebookやInstagramに表示される広告の数は2015年から平均30%も増加しており、これ以上広告を増やすと広告を嫌うユーザーによってプラットフォーム離れが起こる可能性があります。
また1プラットフォームあたりの広告数を増やせない場合、広告単価を上げる方法もありますが、広告単価を高く設定しすぎると、今度は広告を出稿する側が他のプラットフォームに流れる可能性が考えられるとのこと。
Facebookよりもはるかに規模は小さいものの、同様に広告によって利益を上げるプラットフォームであるSnapchatやPinterestは、2020年第3四半期の収益が前年同期比で50%以上増加しました。収益増加のために、このような新興のプラットフォームを買収する手段もありますが、独占禁止法違反の目が向けられているFacebookがこのような行動を政府から許可される可能性はわずかだとみられています。実際にFacebookの収益がどうなるのかは2021年になってみないとわからないものの、このような状況から株価の値下がりも起こっているとのことです。
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