「SIMロックされたスマートフォンの販売を禁止する」とイギリスの規制当局が発表
あるキャリアでiPhoneなどのスマートフォンを購入した後に、別のキャリアに乗り替える場合、端末のSIMロックを解除しなければ別キャリアのネットワークを使用することはできません。イギリスの規制当局はこの慣行がユーザーの不利益になっているとして、「SIMロックされたスマートフォンやガラケーの販売を禁止する」と発表しました。
Mobile firms to be banned from selling ‘locked’ handsets - Ofcom
https://www.ofcom.org.uk/about-ofcom/latest/features-and-news/mobile-firms-banned-from-selling-locked-handsets
UK to ban sale of carrier-locked phones from December 2021 - The Verge
https://www.theverge.com/2020/10/27/21535957/uk-ofcom-locked-carrier-phone-ban-ee-vodafone-tesco-mobile
iPhoneなどの携帯電話はキャリアの加入者を特定するSIMカードを挿入することで通信機能を使うことが可能となりますが、一部のキャリアは販売する携帯電話にSIMロックを設定しています。SIMロックを解除すれば別のキャリアのSIMカードを挿入してネットワークを使用することができますが、解除の際に費用や手間がかかる場合があります。
イギリスの電気通信・放送等の規制当局であるOfcomはSIMロックの解除は複雑な手続きをユーザーに要求し、約10ポンド(約1400円)のコストがかかる可能性があると指摘。実際にOfcomが行った調査によると、別キャリアへの乗り替えを検討した人の3分の1以上が、SIMロックの解除につまづいて乗り替えを延期したとのこと。
Ofcomは、「スマートフォンのSIMロックを解除しようとする顧客のほぼ半数が、解除に苦労しています。たとえば、携帯電話のSIMロックを解除するために必要なコードの取得に遅延が発生したり、コードが機能しなかったり、乗り替え前に携帯電話がロックされていることに気づかずサービスが利用できなくなってしまったりします」と述べています。
キャリアが設けるSIMロックによってユーザーが気軽にキャリアを乗り替えることが阻害され、ユーザーにとって不利益になっているとの考えから、Ofcomは「キャリアがSIMロックされた携帯電話を販売することを禁止する」という新たな規則を発表しました。
Ofcomは、「これにより、人々は手間をかけずに別のネットワークに移動できます」とコメント。SIMロック付き携帯電話の販売を禁止する規則は、2021年12月から導入されるとのことです。
イギリスの主要なキャリアのうち、O2、Sky、Three、VirginはすでにSIMロックなしで携帯電話を販売していますが、EE、Vodafone、Tesco Mobileは標準でSIMロックが設けられた携帯電話を販売しています。VodafoneはBBCニュースに対し、すでにOfcomのガイドラインに準拠するための変更を準備していると答えました。
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