サイエンス

2020年ノーベル物理学賞受賞者が語る「ビッグバン以前の宇宙」とは?


宇宙物理学においてさまざまな功績を修めた権威、ロジャー・ペンローズ氏は「ブラックホールの形成が一般相対性理論の裏付けとなること」を明らかにして2020年のノーベル物理学賞を受賞したほか、ペンローズの三角形ペンローズの階段のような不可能図形の考案でも知られる人物。ペンローズ氏は「ビッグバン以前にも別の宇宙が存在し、今でも観測することができます」と語っています。

An earlier universe existed before the Big Bang, and can still be observed today, says Nobel winner
https://news.yahoo.com/earlier-universe-existed-big-bang-174323840.html

ビッグバンは宇宙の始まりのように捉えられていますが、ビッグバンが発生する前にも別の宇宙が存在しており、その痕跡を今でも観測することができるとペンローズ氏は述べています。「ビッグバンは始まりではなく、ビッグバン以前にも何かが存在しているのです。それは私たちの未来にあるものとも言えます。私たちが今いる宇宙は膨張を繰り返し、すべての質量は減衰していくのですが、私の狂気じみた理論では、別の力によるビッグバンが遠い未来にあるのです」とペンローズ氏は主張。


ペンローズ氏が語る、ビッグバン以前に宇宙が存在していたことを示唆する痕跡の発見については、ペンローズ氏による2019年の研究をまとめた以下の記事を見るとよく分かります。

ループしている宇宙の「前の宇宙の痕跡」を発見したとの研究結果 - GIGAZINE


消滅したブラックホールの痕跡であり、強力な電磁波が観測される領域「ホーキング・ポイント」が、遠い昔に存在していたと思われる宇宙の痕跡であるとのこと。ペンローズ氏は2019年の研究で20カ所のホーキング・ポイントについて言及していましたが、2020年の研究では「少なくとも6つのホーキング・ポイントが宇宙マイクロ波背景放射(CMB)中に存在する確実な証拠がある」と主張しています。ペンローズ氏はCMB中のホーキング・ポイントについての理論を王立天文学会発表しており、ホーキング・ポイントの存在が立証されれば、ビッグバン以前の宇宙の存在がより確かなものになるとのこと。

なお、ペンローズ氏の主張と同じく、宇宙は膨張を繰り返し、いずれ収縮して無次元の特異点へと収束し、その後新たなビッグバンが起こる可能性があるという説、「ビッグクランチ」を支持する科学者は多く存在する一方で、一部の研究者からは「議論の余地がある」という声も上がっています。


また、ペンローズ氏は、スティーヴン・ホーキング氏と共に物体が高密度になりすぎると重力崩壊を起こして無限質量に達し、既知の自然法則がすべて消滅してしまう特異点定理を証明したことでも知られています。ペンローズ氏とホーキング氏の特異点定理についての論文は、「相対性理論に対するアインシュタイン以来の最も重要な貢献」とも考えられています。

ケンブリッジ大学の天文学者であるマーティン・リース教授は、ペンローズ氏のノーベル賞受賞について「彼は驚くほど独創的で、60年以上にわたって創造的な洞察を提供してきました。また、ペンローズ氏とホーキング氏は、アインシュタイン以来、重力に関する知識を深めるために最も多くのことを成し遂げた人物です。ノーベル賞の受賞があまりにも遅れたため、ホーキング氏がペンローズ氏と名誉を分かち合うことができなかったことは、本当に残念です」と語っています。


ペンローズ氏は、今回の受賞時期については前向きな見解を示しており「早くに受賞したせいで研究がだめになってしまった科学者を知っているので、ノーベル賞の受賞が早すぎるのも良くないと思っています。科学でノーベル賞を受賞するなら、いい歳になってから、くたびれてしまう前、まだやるべきことが残っているときに受賞するのがいいでしょう。それが私のアドバイスです」と語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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