レビュー

二度と使えないレベルで割れたお皿を味のある器として復活させる「簡単! おうちで金継ぎ」を使ってみた


形あるものはいつか壊れるとは言うものの、お気に入りの器をうっかり割ってしまった時の悲しみは深く、もう二度と使えないのはわかっていながらも捨てられずに「いつか修復に出す……」とズルズル保管してしまっていたところ、おうちで割れたり欠けたりした器を復活させることが可能な「大人のおしゃれ手帖特別編集 簡単! おうちで金継ぎ」を発見。果たして初心者でも死んだ器を生き返らせることができるのか……?ということで、実際に付録の金継ぎセットを使ってお皿の修復に挑んでみました。

大人のおしゃれ手帖特別編集 簡単! おうちで金継ぎ (TJMOOK) | |本 | 通販 | Amazon


これが「大人のおしゃれ手帖特別編集 簡単! おうちで金継ぎ」(宝島社)


MOOKは24ページの冊子と金継ぎセットが一体となっており、厚さは3.7cmほど。


冊子の部分をめくってみると、目次は「基本の金継ぎ」「LEVEL.1 ひびを補修する」「LEVEL.2 割れ」「LEVEL.3 欠け」「LEVEL.4 呼び続ぎ」「お手入れ法」といった実用の部分と、陶芸家や料理家による金継ぎアイデアを紹介する部分にわかれていました。


さらにページをめくるとこんな感じ。器の修復方法から金継ぎの方法までが、写真付きで分かりやすく解説されています。これが「LEVEL.1 ひびを補修する」で……


「LEVEL.2 割れ」はこんな感じ。


「LEVEL.3 欠け」。MOOKには最低限の道具がついており、「ひび補修」「割れ」「欠け補修」でそれぞれ別途道具を用意する必要があります。手元にあるお皿によって修復方法が異なるので、必要な道具だけを用意して、使わない道具を持てあますことがないのはいいところ。


また、「金継ぎのある暮らし」として料理人・金繕い教室主宰・陶芸家の金継ぎ作品や道具が紹介されており、基礎を理解した後にさらにディープな金継ぎの世界に入っていくことができます。


以下の画像に写っているのは、欠けたところに種類の異なるガラスや陶器の破片をくっつけていく「呼び継ぎ」という方法。


ざっと修復から金継ぎの流れを確認したところで、付録部分をみていきます。


箱の内容物は、合成うるし・うすめ液・金の粉(真ちゅう)・銀の粉(アルミニウム)・竹串2本。


ということで、おうちにある要修復の器を用意してみました。以下の湯飲みは、パッと見ただけでは分かりづらいのですが……


こんな感じで縦に大きなヒビが入っています。


そして、洗い物の最中に別の食器とぶつかり欠けたお皿。


上から見ても……


下から見ても割れが目立ち、ごまかしようがありません。


そして、棚から落ちて砕け散ったおわん。悲しみに暮れつつもお気に入りだったため捨てることもできず、割れたまま保管されていたのでした……。


さっそく修復作業を行っていきます。まずは「LEVEL.1 ひびを補修する」からやってみます。


付録以外のものでは、カッターが必要です。


合成うるしは、接着剤によくあるような容器で、フタの裏側についた突起で穴をあけて開封します。


竹串の先端に合成うるしをつけて……


ひびをなぞっていきます。合成うるしは乾きが速く、皮膚についてもかぶれないのが特徴。装飾する時に色のベースとして使いますが、補修時にもひびを埋める役割で使用します。補修に合成うるしを塗ったら最低24時間は置いてうるしを硬化させます。


24時間後、合成うるしがしっかり硬化したら、ひびからはみでた余分な合成うるしを削り取ります。この時、力をできるだけ入れずに細かく、軽く、何度も刃を動かすのがポイント。力を入れてしまうと陶器の表面を傷つけてしまうので、そーっと行います。


削りのターンが終わったら、金粉で色を作ります。合成うるしと金粉を1:1の割合で小皿などに入れて……


うすめ液を数滴たらし、しっかりとかき混ぜます。


あとは竹串の先端でひびの上をなぞっていきます。筆を使ってもいいとのことですが、竹串の先端を使うと細い線も簡単に引けるので、力の入れ方を調整しなくていいぶん、シンプルな装飾であれば筆よりもやりやすそうでした。


これが完成形。単体で見ると派手な金色ですが、落ち着いた色合いの湯飲みにもなじんで、悪目立ちすることはありませんでした。


続いて「LEVEL.2 割れ」へ。完全に割れてしまったお皿の修復には、やすりと接着剤を使います。やすりは陶器を傷つけないようにできるだけ目の細かいもののを、接着剤は衣料にも使われ毒性が少ないシアノアクリレート系のものが推奨されています。シアノアクリレート系の接着剤にはアロンアルファ全般、セメダイン 瞬間接着剤 3000シリーズなどがあります。


接着剤を断面に塗って……


サクサク組み立てていきます。接着剤がはみ出ることもありますが、後で処理していくのでそのままでOK。


しばらく時間をおいて接着剤が固まったところで、継ぎ目をスムーズにしていきます。こんな感じで継ぎ目から接着剤がはみ出ているので……


やすりをかけたり……


カッターで削ったりします。この時も、特に磁器のように表面がツルンとしているものは傷がつきやすいので、力を入れずにやすりやカッターを動かすのがポイント。


この「余分なところを削る」「表面をなめらかにする」という作業が「金を塗る」よりも何よりも時間がかかる&丁寧さが必要な作業でした。


表面が滑らかになったら先ほどと同じく、竹串を使って金粉と合成うるしを混ぜたもので塗っていきます。


裏側を塗り終えたら24時間乾かし……


24時間後、さらに表側をぬっていきます。


修復の丁寧さは仕上がりにダイレクトに影響するので、「接着剤を使う時に継ぎ目をしっかり合わせること」「削りの作業で表面をできるだけ滑らかにすること」がとにかく重要。継ぎ目が少しズレていたようで、よく見るとがたつきがわかってしまう仕上がりに……。


……が、実際に使ってみると、初心者のいびつな修復でも、「味がある」といえる範囲には収まっているといえそう。「もう二度とこのおわんを使うことはあるまい」と思っていたお気に入りの1枚だったので、自分の手で復活させることができたこともあって、喜びもひとしお。


基本的には料理を盛って大丈夫のようですが、接着剤まみれになってしまい心配な時は小物入れにしてもOKです。


最後は「LEVEL.3 欠け」へ。欠けの修復には、「ロックタイト 多用途補修パテ」や「セメダイン エポキシパテ」のようなエポキシ系の補修材と、目の細かい紙やすり、カッターが必要。


エポキシパテはこんな感じで2層構造になっており……


フタについているカッターで必要な分だけを切断。


2色の素材が完全に混ざりあった状態にして使います。完全に混ざりあうと熱が発生し、すぐにパテが硬化しはじめるので、一気に大量を混ぜすぎず必要な分だけを使うわけです。


パテを使ってお皿の欠けた部分を穴埋め。硬化のため1日置きます。


1日後、これもパテが完全に固まったら、これもカッターや……


やすりを使って表面を滑らかに。


こんな感じ。


最後に竹串の太い部分を使ってパテを塗装していきます。


銀粉もついているので、銀粉で補修しても良い感じでした。


ということで完成。実際にお菓子を盛ってみたところ、これも金継ぎした部分はそこまで目立ちませんでした。


銀継ぎしたお皿はこんな感じ。


このほか、本には寄せ継ぎの方法も記載されているので、さらにこだわりたい人は寄せ継ぎで器を生まれ変わらせてもOKです。


金継ぎセットがあれば二度と使えないレベルで割れたお皿も修復可能で、工夫次第ではお皿にひと味・ふた味も加えていけるので、お皿を割ったときのえもいえぬ悲しみを軽減でき、お皿が好きな人としては家に置いておきたいところです。


なお、「大人のおしゃれ手帖特別編集 簡単! おうちで金継ぎ」は記事作成時点でAmazonで税込4180円で購入可能となっていました。

大人のおしゃれ手帖特別編集 簡単! おうちで金継ぎ (TJMOOK) | |本 | 通販 | Amazon

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in レビュー, Posted by darkhorse_log

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