サイエンス

地球から300光年以上離れた太陽そっくりの恒星を周回する惑星を初めて撮影することに成功


地球から300光年以上離れたところにある「TYC 8998-760-1」は、太陽とほぼ同じ質量と性質をもつといわれています。そんなTYC 8998-760-1の周囲を公転する惑星を直接撮影することに成功したと、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が発表しました。

Two directly-imaged, wide-orbit giant planets around the young, solar analogue TYC 8998-760-1
(PDFファイル)https://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso2011/eso2011a.pdf


First Ever Image of a Multi-Planet System around a Sun-like Star Captured by ESO Telescope | ESO
https://www.eso.org/public/news/eso2011/


地球からはえ座の方向に約310光年離れた位置に存在するTYC 8998-760-1は、太陽の1.00±0.02倍の質量を持つ恒星で、スペクトル分類も太陽と同じであることで知られています。


ESOの研究チームは、ESOの超大型望遠鏡VLTで、このTYC 8998-760-1の周囲を回る2つの巨大ガス惑星「TYC 8998-760-1 b」と「TYC 8998-760-1 c」の直接撮影に成功しました。

以下の写真が実際に撮影されたもので、矢印で示されているのがTYC 8998-760-1 bとTYC 8998-760-1 cです。さらなる観測の結果、TYC 8998-760-1からの距離は、TYC 8998-760-1 bがおよそ160天文単位、TYC 8998-760-1 cがおよそ320天文単位であることが判明。なお、1天文単位とは地球から太陽までの平均距離で、約1億4960万kmです。


また、惑星それぞれの質量については、TYC 8998-760-1 bは木星のおよそ14倍、TYC 8998-760-1 cは木星のおよそ6倍だと判明しました。なお、木星の質量は1.8986×1027kgで、地球のおよそ318倍です。

自ら光を放つ恒星と異なり、惑星は恒星の光の反射や恒星上に映る影という形でしか確認できないため、太陽系外惑星を直接撮影することは非常に難しいといわれています。これまでにも太陽系外惑星が撮影されたケースはあったものの、太陽によく似た恒星を公転する惑星が撮影されたのは今回が初めてだとのこと。


ライデン大学の天文学者であるマシュー・ケンワーシー准教授は、「太陽系外惑星はごく一部しか直接画像化されていません。太陽系外惑星を直接観察することは、生命を維持できる環境を探す上で重要です」とコメントしています。

研究チームのメンバーでありライデン大学の博士課程の学生であるアレクサンダー・ボーン氏は「今回の発見は、太陽系と非常に似ているが、太陽系の進化のずっと早い段階にある環境のスナップショットだといえます」と語り、「TYC 8998-760-1系の研究は、複数の惑星を抱える恒星系を理解する上で重要なマイルストーンとなり、私たち自身の太陽系の歴史にも影響を及ぼす可能性があります」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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