宇宙学者が日焼け止めを正しく使うために理解すべきことを解説
肌にダメージを与える紫外線は、冬を含め1年中注意する必要がありますが、太陽がギラギラと照りつけ露出も多くなる夏は特に注意する必要があります。紫外線から肌を守る日焼け止めの成分に着目した正しい選び方と使い方を、アメリカの宇宙学者であるサブリナ・スティエルヴァルト氏が解説しています。
8 Rules for Picking the Right Sunscreen According to Science | Everyday Einstein
https://www.quickanddirtytips.com/education/science/science-sunscreen
◆1:日焼け止めを使う目的をはっきりさせる
太陽から放たれる紫外線の一部はオゾン層や雲などによって遮断され、紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)と呼ばれる2種類の紫外線が地表に到達します。UVAは地表に届く紫外線の9割以上を占め、肌の色が濃くなる一般的な日焼けだけでなく、肌の弾性を奪いシワやたるみを引き起こす原因にもなるもの。地表に届く紫外線の約1割以下であるUVBは、長い時間浴びると肌が赤く腫れてヒリヒリと痛むことがある一方で、ビタミンDの生成を促す効果もあります。
UVAおよびUVBの両方を長時間浴びすぎてしまうと、シミの原因になるだけでなく皮膚がんを引き起こす可能性も高くなります。日焼け止めが持つ効果はUVAからの保護(PA)とUVBからの保護(SPF)で表されますが、「肌を何から守りたいのか」を考えてそれぞれの数値を選択することが重要です。
◆2:SPF30以上の日焼け止めを使用する
日焼け止めのPAが大きいほどUVAを、SPFが大きいほどUVBを防ぎやすくなります。特にSPFについては2011年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が行った実験では、SPF15の場合はUVBの約93.3%、SPF30の場合はUVBの約96.7%、SPF50の場合はUVBの約98%をカットできると報告されました。SPF15でもおよそ9割のUVBを防いでおり、SPFが30になるとUVBをカットできる割合は3.4%増加しています。しかしSPF30からSPF50に上がった場合は1.3%ほどしか上昇していません。
UVBを最もよく防ぐのはSPF50、もしくはそれ以上の日焼け止めですが、数%の差にこだわらないならSPF30の日焼け止めを選ぶのが適当であるとスティエルヴァルト氏は述べています。
◆3:日焼け止めの成分を確認する
日焼け止めにはさまざまな成分が含まれており、中には口に入れると危険なものや、皮膚アレルギーを引き起こす有害な成分がふくまれているという調査結果がアメリカの環境保護団体、Environmental Working Group(EWG)により報告されています。肌の弱い人や、日焼け止めを誤飲する可能性のある子どもが使用する場合は、なおさら日焼け止めに含まれる成分に注意が必要です。
EWGによると、主にオキシベンゾン・オクチノキサート・オクトクリレンなどの成分が皮膚アレルギーを引き起こしたり、妊婦が使用した場合に成分が母乳に混入したりする可能性があるとのこと。また、記事作成時点で各成分の安全性を立証するデータは不十分であると述べられており、日本国内でも厚生労働省のポジティブリストで一部成分の使用が制限されています。
◆4:「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の違いを理解する
日焼け止めは「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類に分類できます。紫外線吸収剤は紫外線を吸収して熱に変換し、紫外線散乱剤は紫外線を反射することが可能。紫外線吸収剤はSPFの数値を上げやすい一方で、肌への刺激が強い成分も含まれています。紫外線散乱剤の成分は肌に吸収されにくいことから刺激が弱く、SPFの数値も低めでFDAによる試験では人体への安全性も立証されました。多くの日焼け止めには紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の両方が使用されています。
◆5:日焼け止めを正しく使う
日焼け止めは「正しく塗ること」で初めて効果を発揮します。まずは外出する15分前に肌を乾燥させた状態で日焼け止めを塗り、その後は日光を2時間浴びるごとに日焼け止めを塗り直すことが医師により推奨されています。また、スティエルヴァルト氏は「個人的には、油分の少ないものの方が顔や体へのつけ心地が良く、塗りやすくなります」とも語っています。
◆6:耐水性のある日焼け止めを選ぶ
「汗や水に強い」「ウォータープルーフ」と表示されている日焼け止めは、およそ40~80分間の水泳や大量の汗に耐えられるとスティエルヴァルト氏は述べています。つまり、水にぬれている状態では、頻繁に塗り直す必要があります。水は日光を反射するため、水辺の近くは紫外線の量も増加してしまい、さらなる注意が必要となります。
◆7:日焼け止めの消費期限を守る
夏が来るたび「1年前に買った日焼け止めが余っているから使ってしまおう」と古い日焼け止めを使い続ける人は少なくないはず。市販されている日焼け止めの多くは3年間効果が持続するように作られているので、1~2年前の日焼け止めなら問題なく使用できます。しかし、日焼け止めを温度や湿度の高いところで保管していたり、ふたを閉めずに放置していたりすると、短い期間で効果が失われてしまう可能性もあります。
◆8:日焼け止めを過信しない
どんなに優れた日焼け止めを買ったからといって、「日焼け止めに頼りすぎてはいけません」とスティエルヴァルト氏は指摘。肌を紫外線から守るためには、日光の強い時間帯は日なたを避けて日陰で過ごしたり、日傘を使ったりするなど日焼け止め以外の紫外線対策を取り入れることも重要です。
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