ソフトウェア

Apple製ウェブブラウザ「Safari 14」の新機能まとめ、拡張機能の強化やFace IDによる生体認証など


Appleの開発者向け会議「WWDC 2020」で、iOS 14macOS Big Surなど、各OSの新バージョンが明らかになりました。そしてWWDC 2020の中で、Appleが提供するウェブブラウザの次バージョンとなるSafari 14も発表され、ベータ版のリリースノートが公開されました。

Safari and Web - WWDC20 - Apple Developer
https://developer.apple.com/news/?id=e4u1mtfu

Safari 14 Beta Release Notes | Apple Developer Documentation
https://developer.apple.com/documentation/safari-release-notes/safari-14-beta-release-notes

Safari 14 removes Flash, gets support for breach alerts, HTTP/3, and WebP | ZDNet
https://www.zdnet.com/article/safari-14-removes-flash-gets-support-for-breach-alerts-http3-and-webp/


◆WebExtensions APIのサポート
WebExtensions APIはもともとChrome向けに開発された拡張機能APIで、Firefox、Opera、Vivaldi、Edgeにも採用されています。つまり、WebExtensions APIをサポートしたことによって、既存のChromeやFirefox向けの拡張機能を、Safari向けに移植することが可能となります。ただしAppleによれば、記事作成時点でWebExtensions APIに対応しているのはmacOS版のSafariのみとのこと。

◆WebP形式のサポート
WebPはGoogleが開発したオープンな静止画像形式で、記事作成時点で最もメジャーな画像形式の1つであるJPEGの代替となることが期待されています。

GoogleがJPEGに代わる新画像フォーマット「WebP」を発表、ファイルサイズが小さくウェブの表示が高速化 - GIGAZINE


以下のサイトの形式対応表を見てわかる通り、Safariは主要なウェブブラウザの中でWebP形式のサポートが最も遅れていましたが、Safari 14でようやく正式に対応することとなります。

Can I use... Support tables for HTML5, CSS3, etc
https://caniuse.com/#feat=webp


◆HTTP/3のサポート
ウェブサイトを閲覧する際の通信プロトコルHTTPの次世代バージョン「HTTP/3」への対応が、Safari 14から始まります。HTTP/3はもともと「HTTP-over-QUIC」と呼ばれていたプロトコルで、記事作成時点では仕様策定中であり、CloudflareとChromeでHTTP/3へのサポートが発表されています。

ウェブサイトの高速化を目指す「HTTP/3」の現時点でのパフォーマンスは? - GIGAZINE


◆Adobe Flashのサポート終了
Adobe Flashは動画形式の1つで、ウェブコンテンツとして1時代を築いたといっても過言ではないほど普及していました。しかし、2020年12月31日をもってAdobeはFlash Playerの配布と更新を終了し、さらにFlash Playerでコンテンツの実行をブロックすると発表。およそ24年にわたるFlashの歴史がついに幕を閉じることとなりました。

Flashの終了は2017年から告知されていたこともあり、SafariでもFlashのサポートを終了することがすでに発表されていました。Safari 14からはFlashへの対応が正式に完全終了することとなります。

Appleのブラウザ「Safari」がAdobe Flashのサポート終了秒読み段階に入る - GIGAZINE


◆Face IDあるいはTouch IDによる認証
Safari 14から、パスワード不要の多要素認証標準である「WebAuthn」に対応したウェブサイトで、Face IDやTouch IDをログイン認証に使えるシステムが追加されます。

また、iCloudキーチェーンに保存されているパスワードがデータ侵害に遭った場合、ユーザーに通知が行われ、パスワード更新ページを開かれるとのこと。なお、主要なウェブサービスのパスワード更新ページのURLは、Appleが立ち上げたオープンソースプロジェクト「Password Manager Resources」によってまとめられています。

Appleがパスワード作成アプリを開発するためのオープンソースプロジェクトを立ち上げる - GIGAZINE


◆SMSによるワンタイムパスコードの自動入力
SMSで1回限りのワンタイムパスコードを送るOTP方式は、主流な二段階認証のやり方となっています。AppleはこのSMSを利用したOTP形式の標準化を提案しており、すでにGoogleからもサポートを受けています。この標準に準ずるOTP形式を利用する場合、SMSを介してユーザーの端末に送信されたOTPコードがSafari内に自動入力されるようになるとのこと。

◆翻訳機能の追加
Safari 14から、ブラウザ上でそのままページを翻訳することができる翻訳機能が追加されます。対応言語は英語・スペイン語・中国語(簡体字)・フランス語・ドイツ語・ロシア語・ポルトガル語(ブラジル)となっています。

◆プライバシーの向上
Safariは2020年3月のバージョンアップで、プライバシー保護を目的としたトラッキング防止機能「Intelligent Tracking Prevention」でサードパーティーCookieを完全にブロックする機能を、一般向けウェブブラウザとして初めて搭載しました。

AppleのSafariがサードパーティーCookieを完全にブロック、一般的なブラウザでは初 - GIGAZINE


そしてSafari 14から、Intelligent Tracking Preventionが識別情報へのアクセスを妨げた時に、そのトラッカーを示すプライバシーレポート機能が追加されます。加えて、プライベートブラウジングモードでのStorage Access APIが有効になるとのこと。

◆パフォーマンスの向上
Safari 14ではPDFファイルの増分読み込みがサポートされるほか、IndexedDB APIやJavaScriptによるCookie処理、JavaScriptのfor-of構文、タブを閉じる際のパフォーマンスが向上。

また、JavaScriptについては、データ型のBigIntEventTarget、パブリックフィールド宣言などへの対応が追加されました。また、CSSの対応も拡張されており、詳細については以下のサイトで、ムービーで解説されています。

What's new for web developers - WWDC 2020 - Videos - Apple Developer
https://developer.apple.com/videos/


なお、Safari 14のベータ版を抱えるiOS 14やiPadOS 14、macOS BigSurの開発者向けベータ版は2020年7月、一般向けは2020年秋の公開が予定されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
iOS14・iPadOS14・watchOS7・macOS Big Sur・Apple Siliconなどが発表された「WWDC 2020」まとめ - GIGAZINE

「iOS 14」が発表、ホーム画面をカスタマイズ可能に - GIGAZINE

iPad向け最新OS「iPadOS 14」が発表、Apple Pencilで手書き文字をテキストに自動変換可能に - GIGAZINE

Mac向けOSの最新版「macOS Big Sur」が発表、UI刷新でよりiOS・iPadOSライクな見た目に - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.