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日本のスーパーコンピューター「富岳」が4つの世界ランキングで1位を獲得


日本の「富岳(ふがく)」がスーパーコンピューターの性能を競う世界ランキング「TOP500」「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」の4つで1位を獲得しました。日本のスーパーコンピューターが「TOP500」の1位を獲得するのは、2009年に行われた「事業仕分け」時に「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」という指摘を受けて予算を削減されかかったことでも知られる「京」が2011年6月・11月に首位を獲得して以来、およそ8年半ぶりです。

スーパーコンピュータ「富岳」TOP500、HPCG、HPL-AIにおいて世界第1位を獲得 : 富士通
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/06/22.html

スーパーコンピュータ「富岳」がGraph500において世界第1位を獲得 : 富士通
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/06/22-1.html

Japan Captures TOP500 Crown with Arm-Powered Supercomputer | TOP500
https://www.top500.org/news/japan-captures-top500-crown-arm-powered-supercomputer/

Arm Technology Powers the World’s Fastest Supercomputer
https://www.hpcwire.com/off-the-wire/arm-technology-powers-the-worlds-fastest-supercomputer/

2020年6月22日に開催された国際スーパーコンピューティング会議で理化学研究所と富士通が開発した「富岳」が、計算能力と信頼性を総合的に判断する「TOP500」、産業利用など実際のアプリケーションでの処理速度を計測する「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、人工知能(AI)の深層学習に関する性能を測る「HPL-AI」で、それぞれ1位を獲得しました。さらに、同日開催された大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングである「Graph500」でも「富岳」は1位を獲得し、世界4部門で首位となりました。

「富岳」は富士通が開発したARMベースのCPU「A64FX」が1ラックあたりに384個収納されたラック396個からなる、計15万2064個のA64FXを搭載したスーパーコンピューターです。「A64FX」は省電力性を重視した52コアのCPUで、製造はTSMCの7nm FinFETプロセス、トランジスタ数は87.9億個に到達、比較対象となったIntelのCPUに比べて同じ電力消費で3倍の性能を誇っているとのこと。このA64FXを768個搭載した「富岳」のプロトタイプ版は2019年11月にスーパーコンピューターの消費電力性能ランキングである「Green500」で首位を獲得しており、A64FXの省エネ性能が世界トップであることが示されていました。


今回、TOP500リストに登録した「富岳」はランキングの指標となるLINPACK性能において、415.53PFLOPS(ペタフロップス)を達成。前回1位を獲得したアメリカの「Summit」の148.6PFLOPSという結果の約2.8倍となるスコアをたたき出しました。

富岳の詳細なスペックは、以下から確認できます。

スーパーコンピュータ「富岳」開発概要 | 理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/fugaku/overview.html


「富岳」を利用した新型コロナウイルス感染症の研究は、「富岳」がまだ開発・整備段階だった2020年4月からスタートしており、新型コロナウイルスの性質の解明や治療薬となりえる物質の探索、診断法や治療法を向上させうる方法の模索、感染拡大や社会的影響などの解明などに用いられてきました。「富岳」が開発・整備段階で新型コロナウイルスの研究に用いることができた理由については、A64FXがスマートフォンと同じプログラムを稼働させられる設計になっていることが要因とのこと。

富士通の時田隆仁代表取締役社長は記者会見の中で「日本のものづくりの強さを世界に示せたのではないかと考えています」とコメントし、新型コロナウイルス研究などに関するスーパーコンピューターの重要性をアピールしました。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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