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1年以上「1日500kcalの消費」をきっちり計算したダイエットが思い通りにならなかった理由とは?


ダイエットは一朝一夕で効果が出るものではなく、バランスの取れた食事、適度な運動を行い、長い時間をかけて徐々に体重を減らすダイエットが推奨されています。ダイエットがなかなか続かない人も多い中で、自身の摂取エネルギーと消費エネルギーを計算し、「1日500kcalの消費」を目標にダイエットを行った男性が1年間のダイエットの記録を公開しています。

Biohacking Lite
https://karpathy.github.io/2020/06/11/biohacking-lite/

2019年6月時点でのアンドレイ・カルパシー氏の体重は約200ポンド(約90キログラム)。カルパシー氏は自身の性別、年齢、身長から適正体重を調べ、175ポンド(約79キログラム)まで体重を落とすことを目標にダイエットを開始しました。


人間の体重は、人体を構成する炭素、水素、窒素、酸素などの原子の重量を合計したものとも言えます。また、体重はナトリウムやグリコーゲン、ホルモン、ビタミン、ミネラルの含有量や胃や腸の内容物、便や尿素によっても大きく変化します。脂肪が燃やされるときは、脂肪を構成する炭素や水素原子が気化し、息から放出されていることで体内から放出されることが研究で明らかになっています。息は透明に見えますが、酸素を大量に吸い込み、二酸化炭素を大量に吐き出しています。吐いた二酸化炭素に含まれる炭素は、ほんの数秒前は脂肪の一部、トリアシルグリセロールであった可能性もあるとのことです。

また、人間は非常に単純なエネルギーシステムを持っています。人間がエネルギーを得る唯一の方法は、食物の消化吸収です。食物とは、人間がエネルギーを生み出すために消化可能な有機分子を指しています。人間が得られるエネルギーは食物のカロリー数から推定できますが、食物繊維のように消化不可な食物もあるため、単純なカロリー測定では食品から得られる正確なエネルギーを知ることは難しいとカルパシー氏は指摘しました。


エネルギー消費のほとんどは運動が占めていると思われがちですが、実際には人体の生命活動を維持するための基礎代謝が大きな割合を占めています。人間は生き続けるために体温調節や呼吸、心拍、脳、神経機能、血液循環などを継続して管理しなければなりません。そのために消費されるエネルギーが基礎代謝量です。カルパシー氏は「基礎代謝量と比較すると、スポーツジムで行う30分の運動で消費するエネルギーはスズメの涙です。有酸素運動の習慣化は素晴らしいことですが、もし有酸素運動そのものが体重を減らすことに大きく貢献していると思っているのなら、それは間違いです」と述べています。

体重を減らすためには、食べる量を減らして、動く量を増やすことが定説。つまり、エネルギー摂取量を減らし、消費するエネルギー量を増やせば体重を減らせるということです。カルパシー氏はダイエットを始めるにあたり、ストレスを感じたり、めまいをおこしたりするような過度の減量を避けるため、1週間につき約1ポンド(約454グラム)体重を減らすことを目指しました。

1週間につき約1ポンドというのは、ボディービルのための健康的な減量方法を示した研究でも推奨されている目安です。脂肪1gは約9kcalと推定されており、人体の脂肪組織は約87%が脂質であることから、体重1ポンドは約3500kcalに相当するとカルパシー氏は仮定し、1日の消費エネルギーが摂取エネルギーを約500kcal上回るようダイエットを行いました。


カロリー制限だけでは1日約500kcalの消費は難しいと判断したカルパシー氏は、食事制限をしつつ、有酸素運動も取り入れながらダイエットを続けました。また、カルパシー氏は食欲をコントロールし間食を減らすため、1日のうち16時間断食して残りの8時間は好きなものを食べる「16:8ダイエット」も同時に行っています。

他にも、カルパシー氏はダイエット中、ベリー類を除く糖類、加工食品、ソーダ、オレンジジュース、アルコール、牛乳の摂取を禁止していました。定期的な有酸素運動には週に数回のサイクリングを行い、筋力トレーニングも行っていたそうです。

以下のグラフは縦軸が体重(ポンド)、横軸が日数を表しています。緑の点はカルパシー氏の体重、緑の線が体重の変化傾向です。カルパシー氏は2019年6月、青の縦線が引かれた約195ポンド(約88キログラム)の時点からダイエットを開始しました。なお、最初の120日はダイエットの効果を比較するために体重を測定した期間で、カルパシー氏は満腹になるまで好きなように食べていたとのこと。ダイエットを開始してから1年後にはカルパシー氏は165ポンド(約74キログラム)になり、全体を通して1週間あたり0.58ポンド(0.26キログラム)の減量に成功しました。


1週間あたり0.58ポンドの減量は、当初の「1週間あたり1ポンド」という目標には届いていません。カルパシー氏はダイエットの途中、思ったより減らない体重の原因を調査するため2019年後半頃から100日間を費やして自身のエネルギー増減を細かく調べ上げました。

エネルギー摂取についてはカルパシー氏が食べたすべての食品の栄養成分表示を確認してノートアプリに記録し、栄養成分表示がない食品は摂取量を推定して記録したとのこと。エネルギー消費については、Apple Watchの「アクティビティ App」から得られる値を記録し、1日のエネルギーの増減から予想される体重減少を計算し、最後に実際の体重減少と比較しました。

以下のグラフは縦軸が体重(ポンド)、横軸が日数を表しています。カルパシー氏が計算した体重が青、実際の体重が赤で描かれており、カルパシー氏の計算と実際の体重には大きな差があったことが分かります。


カルパシー氏は差が生じた原因として、「食べたカロリーを過小評価していた」「Apple Watchが消費カロリーを過大評価していた」「脂肪1ポンド=3500kcalという換算が外れていた」など、さまざまな可能性が考えられると述べています。

また、パン、パスタ、ジャガイモなどの炭水化物の摂取でも想定以上に体重が増加していたともカルパシー氏は述べています。食べた炭水化物がスポンジのように水を吸収して重量を増したり、体内のグリコーゲンが増加したりしたことにより体重増加につながった可能性があるとカルパシー氏は推測しています。炭水化物の摂取で体重は上昇しましたが、「低炭水化物の食事を心がけると数日で体重が元に戻った」ともカルパシー氏は述べています。

結果的に体重は減少し、体重以外にも心拍数や血糖値、体力、持久力などの改善にも成功したそうです。カルパシー氏は「体調が大幅に良くなったとか、ボディラインがシャープになったと言えればいいのですが、正直なところダイエット前と同じくらいの感じです。でも、数字を見るといい方向に向かっているようなので満足しています」とコメントしています。

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in Posted by darkhorse_log

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