ムンクの「叫び」が呼吸で色を失いつつあることが判明
by Jeremy Keith
ノルウェーの画家であるエドヴァルド・ムンクの「叫び」は、独特のタッチで描かれた人物の顔と血のように赤く染まった夕景が印象的な1枚で、ムンクの代表作として知られています。この名画「叫び」の色彩が少しずつ劣化していると以前から指摘されており、その答えが「呼吸」にあったと最新の研究で判明しました。
Probing the chemistry of CdS paints in The Scream by in situ noninvasive spectroscopies and synchrotron radiation x-ray techniques | Science Advances
https://advances.sciencemag.org/content/6/20/eaay3514
Edvard Munch's The Scream needs to practise physical distancing, say experts | Art and design | The Guardian
https://www.theguardian.com/artanddesign/2020/may/18/human-breath-taking-its-toll-on-munch-the-scream-say-scientists-1910-damaging-humidity-paint
「叫び」は1893年から1910年にかけて制作された作品群です。この作品はムンクが見た幻覚を描いたもので、絵の中央に描かれている頬を抑えている男性は、青黒いフィヨルドと血のように赤く染まった空という「自然を貫く果てしない叫び」に対する恐怖に顔をゆがませています。
ノルウェーのムンク美術館には、複数存在する「叫び」のうち、1893年に描かれたパステル画と1910年に描かれたテンペラ画が所蔵されています。テンペラ画の「叫び」が以下。
このテンペラ画の「叫び」は年々色が薄くなっていっていることが以前から指摘されてきました。
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