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新型コロナウイルスによりオンラインショッピング需要が爆増、ブラックフライデー以上の取引を記録


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴い、人々は実店舗ではなくオンラインショッピングサイトでさまざまな製品を購入するようになっています。そんな中、メーカー向けに消費者行動に関するデータを提供しているPriceSpiderが、ブログ記事で「新型コロナウイルスの影響でオンラインショッピング需要が大幅に増加し、取引件数がブラックフライデーを超えた」と報告しました。

Online Pandemic Platform Transactions Are Officially Bigger Than Black Friday - PriceSpider
https://www.pricespider.com/pandemic-shopping-black-friday-sales/

アメリカでは感謝祭の翌日に当たる金曜日をブラックフライデーと呼んでおり、クリスマスセールの前哨戦と感謝祭プレゼントの売れ残り一掃セールを兼ねて、小売店などで大規模な安売りが展開されます。そのため、アメリカの小売業界では1年で最も売上を見込める日とされているとのこと。

以下の記事を読むと、ブラックフライデーの商戦がいかに大規模なものなのかがよくわかります。

すさまじい規模と勢いで人がお店に押し寄せる「ブラックフライデー」のカオスな様子を映したムービー - GIGAZINE


2019年11月のにアメリカ人は74億ドル(約8000億円)をオンラインショッピングに費やし、そのわずか3日後のサイバーマンデーには、過去最高となる94億ドル(約1兆円)もの売上がオンラインショッピングサイト上で記録されました。しかし、2019年に記録的な売上を達成したにもかかわらず、そのわずか数カ月後に発生したCOVID-19のパンデミックにより、オンラインショッピングサイトでの取引やトラフィックは再び増加しているとのこと。

COVID-19のパンデミックが感謝祭からサイバーマンデーまでの期間より長いことを考えれば、パンデミック期間全体を通したオンラインショッピングサイトのトラフィックが、ブラックフライデー前後のトラフィックを上回ることは不思議ではありません。しかし、PriceSpiderのデータによると、2020年4月22日~2020年4月28日の1週間におけるオンラインショッピングの取引件数は、ブラックフライデーに当たる2019年11月29日から2019年12月5日までの1週間と比較して、22%も多かったことが判明しています。以下のグラフでは水色に塗りつぶされた部分が昨年の同じ時期の取引件数を表していますが、アメリカでCOVID-19の被害が深刻化した3月中旬頃から、一気に取引件数が増加していることがわかります。


また、4月22日~28日におけるオンラインショッピングサイトのトラフィック量も、ブラックフライデー前後と比較して59%も増加しているそうです。PriceSpiderは「ブランドや小売業者はブラックフライデーの週末をその年で最大のセールスイベントにするため、最大の努力を行っています。そして数十年もの間、消費者はこの5日間で取引を探し、大きな買い物をするように訓練されてきました」と指摘。「COVID-19のパンデミックによる自発的な消費者行動の変化が、ブランドが数カ月もの準備を費やしているブラックフライデー前後を上回る取引をもたらしていることは衝撃です」と述べました。


PriceSpiderは、COVID-19のパンデミックがオンラインショッピングのトラフィックや取引を増加させたことについて、以下のような理由が考えられるとのこと。

◆1:外出禁止に伴うパニック買いと暇をつぶすアイテムの需要増加
COVID-19のパンデミックは人々のパニックを引き起こし、トイレットペーパーや手指消毒剤の買い占めが世界各地で発生しました。こうしたパニックによる生活必需品の枯渇を恐れた人々は、市場の在庫がなくなる前に日用品を買いこんでいます。

また、COVID-19のパンデミックによってアメリカ各地で不要不急の外出が禁じられているため、退屈から逃れるためのアイテムの需要も増加しています。実際に、COVID-19のパンデミックに伴ってボードゲームやパズルなどの娯楽商品の需要が増えていることが報告されているほか、手芸やパン作りに手を出す人、自宅で筋トレするためにヨガマットやトレーニングチューブを購入する人も増えているとのこと。


◆2:オンラインで購入する製品の多様化
以前から食品や飲料をオンラインショッピングで購入することは可能でしたが、「口にするものや日用品は実店舗で手に取って購入したい」という考える人が多かったそうです。ところが、COVID-19のパンデミックによってスーパーなどを訪れること自体に感染リスクが伴うようになり、消費者はこれまで実店舗で購入していた食品や日用品をオンラインで購入するようになっているとPriceSpiderは指摘。もちろん食品などだけでなく、美容品やペット用品、電化製品、自動車のパーツなど、消費者があらゆるものをオンラインで探す傾向が増加しています。

◆3:政府が実施した景気刺激策の影響
平均的なアメリカ人は、およそ4万ドル(約4万3000円)をブラックフライデーを含むホリデーシーズンに費やすことを計画しているとのこと。一方、COVID-19のパンデミックに伴う経済の停滞を食い止めるため、アメリカ政府は年収が7万5000ドル(約800万円)未満の世帯に対し、最低でも1200ドル(約13万円)、扶養する子ども1人につき追加で500ドル(約5万4000円)を支給する大型景気刺激策を実施。ほとんどの人々はこの臨時収入を、実店舗ではなくオンラインで何かを購入するために使うだろうPriceSpiderは予想しています。


◆4:家電製品の需要増加
COVID-19のパンデミックによる予想外の消費者行動の変化としてPriceSpiderが挙げているのが、家電製品の需要が大幅に増加している点です。学校がオンライン授業に切り替わり、多くの労働者が在宅ワークを始めているため、人々は以前より大幅に長い時間を自宅で過ごすようになっています。そのため、自宅で過ごす時間を快適にしたいという欲求が増加しており、便利な家電製品の需要が増加しているとのこと。

◆5:ブランドや小売業者がオンラインショッピングに注力している
実店舗に人が集まることで新型コロナウイルスの感染が拡大するリスクがあるため、「生活に必要不可欠ではない」とされた店舗は休業するか、オンラインでの展開を模索せざるを得ませんでした。そのため、これまでオンラインに注力していなかったブランドや小売業者も方針を転換し、消費者に対して魅力的な選択肢を提示しています。

◆6:オンラインショッピングは常に利用可能
COVID-19に関する情報が日々アップデートされる中で、アメリカの多くの州では外出禁止令の延長が実施されるとみられています。しかし、それでも消費者は生活に必要なものを購入しなければならず、非常事態でも製品の購入が可能なオンラインショッピングに依存する消費者が増加していると、PriceSpiderは指摘しました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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