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トランプ大統領が「紫外線や消毒剤による新型コロナウイルス感染症の治療」に言及、ホワイトハウス発のデマは想定外と専門家


トランプ大統領の発言がきっかけとなって、SNS上で「消毒剤の注射で新型コロナウイルス感染症が治療可能」とのデマが拡散される事態が発生しました。これに対し、インターネット上で行われているプロパガンダなどについて研究してる専門家は「誤情報に対するIT企業らの努力が水の泡になった」と指摘しています。

Trump’s Disinfectant Talk Trips Up Sites’ Vows Against Misinformation - The New York Times
https://www.nytimes.com/2020/04/30/technology/trump-coronavirus-social-media.html

トランプ大統領は、2020年4月23日にホワイトハウスで開かれた記者会見の中で、「消毒剤の注射や紫外線による新型コロナウイルス感染症の治療に期待する」ことを示唆する発言をしました。

トランプ大統領の発言は、国土安全保障省長官の科学技術顧問を務めるウィリアム・ブライアン氏が会見中に、「新型コロナウイルスが直射日光に当たると、すみやかに不活性化します」と報告を受けてのものです。しかし、ブライアン氏が取り上げた研究は、あくまでもステンレスの表面や空気中に存在する新型コロナウイルスの粒子が不活性化するまでを調べたものであって、人体に関する研究ではありません。また、国土安全保障省がこの論文を公開していないことも問題視されています。

それにもかかわらず、ブライアン氏の報告を聞いたトランプ大統領はその場にいた専門家らに対して、「もし私たちが紫外線や何か強力な光を浴びたり、皮膚を通して体内に取り入れたりすることができると仮定したら、研究結果は非常に興味深いものです。実際、あなた方はそれをテストするつもりだと言ったと記憶しています」とコメント。さらに、「消毒剤も新型コロナウイルスを1分もしないうちにノックアウトできます。消毒剤を体内に注射したり、消毒剤で何かを洗浄したりするような、いい方法はありませんか?」と述べて、紫外線や消毒剤を用いた治療法の研究を促すような発言をしました。

by ~jar{}

この記者会見がメディアで報じられると、SNSはこの話題でもちきりになりました。ニューヨーク・タイムズの分析によると、4月30日の時点で780個のFacebookグループ、290件のFacebookのページ、9個のInstagramアカウントがトランプ氏の「紫外線と消毒剤の治療」に言及していたとのこと。また、消毒剤を治療薬として勧めるかのようなコメントは、Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeなどで合計5000件も見つかりました。こうした投稿やコメントの中で、削除されたものはごく一部しかなかったとのことのです。

この事態を受けて、ワシントン州緊急事態管理局は「漂白剤のTide Podを食べたり、消毒剤を注射したりしないでください。悪い状況をさらに悪化させないで」とツイート。

Please don't eat tide pods or inject yourself with any kind of disinfectant.

If you do need help with #COVID19 issues, we have lots of resources at https://t.co/C4x8jjWL0x

Just don't make a bad situation worse.

— WA Emergency Management (@waEMD)


また、衛生用品メーカーのCloroxやLysolも、消費者に対して自社製品を注射したり摂取したりしないよう求める声明を相次いで発表するなど、トランプ大統領の発言は各方面に大きな影響を及ぼしました。

かねてから、アメリカでは新型コロナウイルスが原因と見られる漂白剤や消毒剤関連の中毒事故が激増していると報じられています。

洗剤や消毒剤での中毒事故が激増、新型コロナウイルスが原因か - GIGAZINE

by Sergio Russo

トランプ大統領の発言がメディアで取り上げられたのをきっかけに、SNSで急速に誤情報が拡散される結果となってしまいましたが、ホワイトハウス発の誤情報に対するSNS各社の足並みはそろっていません。Facebookはニューヨーク・タイムズの取材に対し、「紫外線や消毒剤に関するものも含めて、新型コロナウイルス感染症の治療に関する断定的な主張を削除していきます」とコメントしました。

一方、YouTubeは「トランプ大統領の発言は我々の誤報対応基準に抵触していません」と述べたほか、Twitterも「行動の呼びかけを伴わない限り、今回のような大統領の発言やそれにまつわる議論などはポリシー違反ではありません」と回答したとのことです。


スタンフォード・インターネット観測所の技術調査責任者であるレニー・ディレスタ氏は、「多くのIT企業が健康に関する誤情報への対応策を打ち出していますが、これらは有能な政府と信頼できる保健当局が正しい情報を発信することを前提としたものです。ホワイトハウスから誤情報が発信されてしまうと、企業らの努力は水の泡になってしまいます」と話しました。

なお、記者会見での発言について問われたトランプ大統領はメディアに対し、「私は何が起こるかを見るために、あなたのような記者への皮肉を込めた質問をしたまでです」と回答し、誤情報の拡散についての責任を否定しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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